アイナ・ジ・エンド、“キリエバンド”一夜限りのライブで「感慨深い日」と涙!松村北斗はギター演奏を初披露
監督を岩井俊二、音楽を小林武史が担当する音楽映画『キリエのうた』(10月13日公開)の公開直前プレミアシアターライブイベントが9月25日にZepp新宿で開催され、アイナ・ジ・エンド、松村北斗(SixTONES)、村上虹郎、粗品、石井⻯也、広瀬すずが出席した。イベントでは、アイナが主題歌をはじめとする劇中曲4曲を熱唱。アイナの歌にあわせて松村と村上がギターを、粗品をキーボードを担当するなど、この日のために練習を重ねた“キリエバンド”が一夜限りの生演奏を披露した。
本作は、『スワロウテイル』(96)、『リリィ・シュシュのすべて』(01)など名作を生みだしてきた岩井監督と、小林による最新作。壮絶な運命と無二の歌声を宿したキリエの音楽がつなぐ、13年に及ぶ壮大な愛の物語を描く。アイナが、歌うことでしか“声”を出せない路上ミュージシャンのキリエ役として、映画初主演を飾った。
アイナは主題歌を歌唱するほか、劇中曲として6曲を制作し、劇中でパフォーマンスも披露している。この日はそのなかから「名前のない街」、「燃え尽きる月」、「ずるいよな」、「キリエ・憐れみの讃歌」を披露。「ずるいよな」では、松村と村上がギター演奏で参加。「キリエ・憐れみの讃歌」では、村上がギター、粗品がキーボートとして参加した。岩井監督は、新型コロナウイルスに感染したために欠席となった。
松村にとってギターの生演奏を披露するのは、この日が初めてのこと。アイナは「3人でライブをするのは実質、今日が初めて。最初で最後になるんじゃないですかね」と切り出し、「松村さんは人生で初めてギターを練習されたみたいで」と話を向けると、松村は「そうですね。弾く前にその話をするとめちゃくちゃ緊張しちゃう。『そうだった。めっちゃ素人だった』と思いだしちゃいました」と苦笑い。アイナは「最初で最後だと思うと言葉に詰まる。1年以上前から撮影をしていたので、やっと人様に触れられるというか、初めて聴いていただける気持ちで、今日は感無量。大切な曲です」と胸をいっぱいにしながら、「ずるいよな」の歌唱をスタートさせた。アイナと時折目を合わせつつ、ギターを鳴らした松村と村上。アイナの激しくも優しい歌声にそっと寄り添う見事な演奏で、会場から拍手を浴びていた。
松村は劇中で、姿を消したフィアンセを捜し続ける夏彦役を演じた。劇中のギター演奏について聞かれた松村は「今回まったく初めてだったので、本当に苦戦しました。(ギタリストの)羊毛さんに、夏彦オリジナルの楽譜を作っていただいた。決してまだ僕は、ギターを弾けるわけではない。『ずるいよな』という曲だけは、弾けるようになった」と明かしつつ、「本編では、特に“間”みたいなものをできるだけ感じ取ろうとしていました。ただの演奏というよりかは、感情的なところが多かったと思います」と話す。石井は「すずちゃんと(松村が)一緒にいるシーンで、2人の関係性がその画のなかにすべて入っている感じがした。向き合っているだけで透明感が出る役者さんって、そんなにいない。2人の横顔がとにかくよかった」とその存在感を絶賛。松村は「ありがとうございます」と照れ笑いを浮かべていた。
圧倒的な歌声で会場を魅了したアイナだが、広瀬は「この華奢な身体から、どうやってあんなエネルギーの放出になるのかと改めて感動しました」と惚れ惚れ。松村は「音に包まれるとより音楽ってすごいなというのを実感して。この音楽映画が広く日本中、世界中にも届いてほしいと思うステージでした」、「元気になってきました」と挨拶した村上も「楽しかったです」と特別な一夜の感想を述べた。最後には感極まったアイナが、涙を流すひと幕もあった。アイナは「岩井俊二さんの世界に皆さんと一緒に飛び込んで、もう1年以上が経つんですが、やっと歌とか聴いてもらえて…」と声を震わせながら、「正直、なにもわからない自分が飛び込んだことが不安でたまらなかった。今日、(観客が)目を合わせて観てくれて、すごく感慨深い日になりました」と胸の内を告白。会場からは大きな拍手が上がっていた。
取材・文/成田おり枝