くるり・岸田繁、不朽の名曲「東京」への想い語る「すごく適当で、ちゃんと作ってない」
結成当時のオリジナルメンバーが揃ってのニューアルバム制作の舞台裏に迫ったドキュメンタリー『くるりのえいが』(10月13日公開)。その完成披露試写会が9月26日に都内で行われ、くるりの岸田繁、佐藤征史、森信行、そして佐渡岳利監督が登壇した。
くるりといえば、「東京」や「ばらの花」が不朽の名曲として、時代を超えて聴き継がれている。「ばらの花」への想いを聞かれた岸田は、「自分が作者だけれど好きではなくて。デコボコしていて出来が悪い曲なのでライブでも苦労する。でもみんなが好きだというからやる!」と意外な心境を吐露。森が「『東京』は“衝動的"な曲で、『ばらの花』は“構築美"の曲」と分析すると、岸田は「“衝動的"な曲とは、言い換えると適当に作った曲。ちゃんと作っていない。すごく適当だった。でもちゃんと作ったことがいいことなのかはわからないし、衝動的にやってもいい時だってある」とモノづくりの神髄のようなことを口にしていた。
また岸田は、伊豆スタジオで30日間行われたニューアルバムのレコーディングを振り返り、「レコーディングは長時間に及ぶので、音楽が一番大事だけれど食事も実は大事。食事も重要なエピソードです」と予告。すると佐藤も「22時くらいまでレコーディングしたあとに、僕らは朝4時くらいまで飲む。次の日は二日酔いのままでレコーディングを始めるけれど、その前に食べる食事が大事。七輪でクサヤを焼いて食べるパーティも楽しかった」と回想した。
森も「エンジニアさんが作るカレーが最高においしかった」とグルメトークに舵を切り、これに佐渡監督は「食事ばかりしていたわけではありません!」とメンバーの脱力系トークに爆笑しながら「くるりの音楽に対する愛情や、音楽第一主義の姿勢に胸を打たれた。ファンの皆さんも、なぜくるりが好きなのかを再確認できる内容になっている」とメンバーに代わって本作をアピールしていた。
この日の舞台挨拶は超満員で実施。映画の舞台挨拶という慣れない状況に、緊張気味の岸田が「普段ライブでは緊張しないけれどこれは…。手汗がヤバい」とガチガチに。佐藤も「体が熱いです」と苦笑いだった。
取材・文/石井隼人