ヴォルデモートの鼻で監督らと激論!?「ハリポタ」「ウォンカ」プロデューサーが明かす成功の秘訣「自分が最終的な決定権を“持たない”こと」 - 2ページ目|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
ヴォルデモートの鼻で監督らと激論!?「ハリポタ」「ウォンカ」プロデューサーが明かす成功の秘訣「自分が最終的な決定権を“持たない”こと」

インタビュー

ヴォルデモートの鼻で監督らと激論!?「ハリポタ」「ウォンカ」プロデューサーが明かす成功の秘訣「自分が最終的な決定権を“持たない”こと」

「ティモシー・シャラメはまったく違う役、違う演技をこなす才能の持ち主だと実感」

本作の成功のカギを握ったのは、ウォンカ役のキャスティングだったのではないか。『君の名前で僕を呼んで』(17)や『DUNE/デューン 砂の惑星』(20)で大人気のティモシー・シャラメがこの役に臨んだことに、ヘイマンは心から満足しているようだ。

「ティミー(ティモシー・シャラメ)ほど勇敢で、チャレンジ精神が旺盛な俳優は少ないでしょう。本作のウォンカ役のあとに、彼はボブ・ディランの伝記映画でディランを演じる予定があり、まったく違う役、違う演技をこなす才能の持ち主だと実感します。本作ではミュージカルシーンもあり、ティミーは歌やダンスのトレーニングも積みました。もともと声のいい俳優で、その才能を強化した印象です」。

本作のため、ティモシー・シャラメは歌やダンスのトレーニングも行ったという
本作のため、ティモシー・シャラメは歌やダンスのトレーニングも行ったという[c]2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

ちなみに撮影現場ではチョコレートを食べ過ぎ、体重が増えてしまった人も多かったというが、シャラメもそうだったか尋ねると「いや、彼はチョコレートを作る側の役だったので、そんなに食べていないはずです」とヘイマンは笑う。またヘイマンも、ティモシー・シャラメも、1971年の映画『夢のチョコレート工場』のジーン・ワイルダーのウォンカ役が大好きだったという点で意見が一致したという。そうは言っても、今回のウィリー・ウォンカのキャラクターが、ジーン・ワイルダー版を意識したわけではないことを、ヘイマンは強調する。

「1971年の映画やロアルド・ダールの原作に忠実になることは避けました。違和感のないことだけを心がければよく、自由にキャラクター創作ができたと思います。1971年の映画、あるいは2005年のティム・バートン監督の『チャーリーとチョコレート工場』の冒頭シーンのウォンカと一致させるのではなく、その冒頭につながることを、映画を観る人になんとなくイメージしてもらおうと考えただけです。大人になる途上のウォンカは、無邪気でナイーブ。夢と希望、そして楽観的な考えに満ちています。工場に1人で閉じこもってから、彼は外部の人間と接触しなくなり、ちょっと精神的に打ちのめされてもいました。そんなウォンカを誰も信用しませんが、もともとの彼は信頼感もあり、周囲に心を開く性格だったのではないでしょうか」。


「IPはトロイの木馬だと思う。人々の注目を集めつつ、重要なのはその内容」

2005年の『チャーリーとチョコレート工場』が日本でも興行収入50億円超えの大ヒットを記録したことから、本作にも大きな期待がかかっている。これまで数々の人気作を送りだし、この夏特に全世界興収13.4億ドル(約1,960億円)を記録し、大ブームを巻き起こした 『バービー』も手掛けたヘイマンは、どのような結果を予想しているのだろうか。新たなシリーズの構想についても聞いてみた。

「ヒットに関しては正直言って誰もわからないと思います。例えば『バービー』は、グレタ(・ガーウィグ監督)がすばらしい才能を発揮しましたが、ここまでムーブメントを起こすことは想像していませんでした。観客がなにを求めているのかを、最高のタイミングで捉えるのは至難の業です。『バービー』や『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』はIP(知的財産)からの作品という共通点がありますが、IPはトロイの木馬だと思います。人々の注目を集めつつ、重要なのはその内容。現在の観客は私たちが思っている以上に、オリジナルの物語を渇望しています。その点、やはりIPであるウォンカの映画は可能性を秘めており、クリスマスシーズンに公開され、家族みんなで楽しめますし、誰かと一緒でも、1人で観ても、ウォンカの運命はエモーショナルに迫ってくると自信を持って言えます。続編に関してはもちろん希望や可能性はありますが、いまこの作品のオリジナリティを誇りに思っていますし、未来はコントロールできませんからね(笑)」。

【写真を見る】グラスの容器に閉じこまれたウンパルンパを演じるのはあのビッグスター!
【写真を見る】グラスの容器に閉じこまれたウンパルンパを演じるのはあのビッグスター![c]2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

最後に日本の観客へのメッセージをお願いすると、こんな答えが返ってきた。

「日本の方たちは私の作る映画をいつも愛してくれるので感謝しています。私の作品の多くは、アウトサイダーについて描かれています。私は普段、家族と幸せな日常を送っていますが、孤独を感じることもあり、そんな私がウォンカや、パディントン、ハリーやロン、ハーマイオニーと出会い、その出会いを幸福だと感じ、彼らに自分を一体化させているのです。ですから皆さんにもウォンカを通して誰かと心を一つにする喜び、そのパワーや美しさを味わってほしい。それこそが私が映画でやりたいことなのですから」。

若きウィリー・ウォンカのどんな部分に共感してしまうのか。デイビッド・ヘイマンの想いは、この12月、全世界の観客に届くはずである。

『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』は12月8日(金)公開
『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』は12月8日(金)公開[c]2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

取材・文/斉藤博昭

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