“オードリーの再来”英国の新星女優にオスカーの期待
“オードリー・ヘプバーンの再来”と英米の評論家を騒がせている無名女優が、アカデミー賞主演女優賞候補として期待されている。
『17歳の肖像』(原題:An Education)で16歳の少女を演じた英国女優キャリー・マリガン(24歳)は、米国では“新人”と表現されているが、『プライドと偏見』(05)、『パブリック・エネミーズ』(09)などにも出演したことがあり、本国ではテレビドラマにも出ている。しかし、オスカーにノミネートされるほどの知名度がないのは事実で、その点でも『ローマの休日』(53)で主演女優賞を獲った時のヘプバーンと似ている。
『17歳の肖像』は、英国の女性ジャーナリストの自伝を『ハイ・フィデリティ』(00)のニック・ホーンビィが脚色した作品。60年代のロンドンを舞台に、一人の少女が大人へと脱皮していく話だ。基本的には30代の男性に16歳の少女がだまされるというダークな話だが、みずみずしくやんちゃなマリガンの魅力のため、キュートなロマコメのようにさえ見えてくる。チェロを抱えて雨の中に佇むマリガンの可憐な表情などは見る者の記憶に鮮烈に残り、ヘプバーンにとっての『ローマの休日』がそうであったように、この映画もまたマリガンという女優を待っていたかのようだ。
近年のオスカーでの英国女優の活躍ぶりは誰しも知るところ。今年もヘレン・ミレンなどのノミネートが予想されるが、一歩リードしていると言われているのは新進のマリガンだ。【UK在住/ブレイディみかこ】
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