大沢たかお『沈黙の艦隊』撮影現場は「いつもピリピリ」と苦笑い!鋭いメッセージを放つ映画のヒットに「うれしいし、驚いている」

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大沢たかお『沈黙の艦隊』撮影現場は「いつもピリピリ」と苦笑い!鋭いメッセージを放つ映画のヒットに「うれしいし、驚いている」

かわぐちかいじによる人気コミックを実写映画化した『沈黙の艦隊』の大ヒット舞台挨拶が10月3日にTOHOシネマズ新宿で開催され、大沢たかお吉野耕平監督が登壇。上映後の会場で、観客からの質問に答えた。

 『沈黙の艦隊』の大ヒット舞台挨拶が開催された
『沈黙の艦隊』の大ヒット舞台挨拶が開催された

原作は、1988年から1996年まで週刊漫画雑誌「モーニング」(講談社)にて連載され、累計発行部数3200万部(紙・電子)を突破する人気コミック。日米で極秘裏に開発された原子力潜水艦「シーバット」の艦長に任命された海江田(大沢)が、「シーバット」に核ミサイルを搭載して乗員たちと共に反乱逃亡。自らを国家元首とした独立戦闘国家「やまと」の建国を宣言する姿を描く。主演の大沢は、プロデューサーも務めた。また防衛省、海上自衛隊の協力により、邦画では初めて実物の潜水艦が撮影に使用されたことでも話題だ。

新宿の映画館によく通っていたという大沢たかお
新宿の映画館によく通っていたという大沢たかお

イベントが行われた新宿は、映画が大好きだった少年時代の大沢が劇場へと通った、“映画愛の原点の地”なのだとか。「親が厳しかったので、昼や週末の朝に来ていました。たくさんの映画をここで(新宿)観させてもらって、自分のなかでは自分の家に帰ってきたよう。客席ではなくて、ステージ側にいることがすごく不思議。すごく幸せです」と笑顔を見せていた。

【写真を見る】観客からの質問に答えた大沢たかお
【写真を見る】観客からの質問に答えた大沢たかお

また、観客からの質問にたっぷりと答えたこの日。潜水艦を舞台にした撮影が中心となった大沢だが、観客からは「楽しかった撮影現場のエピソードはありますか?」と聞かれると、「撮影中はあまり楽しくなかった」と率直に語り、会場も大笑い。「海江田はああいう人物ですし、見方を変えればテロリストや裏切り者でもある。いつも孤独を感じているようにして現場にいた。乗組員たちも、自分の使命をわかって現場に来ている俳優さんたちだったので、いつもピリピリしている空気だった」と振り返り、「長期間、そういった緊張感が続くことってあまりないんですが、それが維持できたすごく珍しい現場でした。逆にいうと、それが楽しかったのかもしれません。笑うといった空気よりも、ピリッとしている感じでした」と緊張感がありつつ、充実感あふれる時間となった様子だ。

映画に込めた想いを語った吉野耕平監督
映画に込めた想いを語った吉野耕平監督

リピート鑑賞する際に注目してほしいポイントについてもトークが繰り広げられたが、吉野監督は「音が非常に重要になる物語。なかなか聴いたことがない音が、いっぱい響いていると思います。耳を広げるようにして楽しんでもらううと、また別の世界が見えてくるんじゃないかと思います」と音に注目してほしいとアピール。大沢は30年前に誕生した原作だということに触れながら、「漫画を通じて、国家、平和、核兵器などいろいろなことを問うている物語。混乱した令和の時代に、また今度は実写映画のなかで30年の時を超えて、彼(海江田)が宣戦布告をした。僕らは出演しながらも、その宣戦布告を受け取った。彼がなにを言いたかったのか、そういったヒントが作品のなかにある。ちょっとした言葉なども感じてもらえると、彼の宣戦布告を受け取れるんじゃないかと思う」と想いを巡らせた。

『沈黙の艦隊』の大ヒット舞台挨拶の様子。30年の時を経て登場した実写映画に込めた想いを語った
『沈黙の艦隊』の大ヒット舞台挨拶の様子。30年の時を経て登場した実写映画に込めた想いを語った


最後に「この作品にはいろいろなメッセージやテーマが入っていて、実は『どうなのかな』と公開までドキドキしていた」と観客に受け入れられるのか不安もあったと打ち明けた大沢。結果として「たくさんの方にご来場いただいた。女性の方もたくさんお越しいただいている。すごくうれしいし、驚いている」と喜びをにじませた。さらに「海江田は、ほとんど自分の想いをしゃべっていないんですよね。海江田は行動していくだけで、周りがそれに対して悩んだり、考えたり、動いたりしていく話。おそらく、漫画だったら読む人、映画だったら観る人が主人公なんだと思います。海江田のような改革者が出た時に、みんながどう受け取るのか、どのように議論するのか。イエスなのか、ノーなのか。そういうことを、海江田は求めているんだと思う。もしもう一度観ていただけるなら、『自分はどう思うのか』と考えるきっかけにしてほしい」と海江田からのメッセージを受け取ってほしいと呼びかけ、大きな拍手を浴びていた。

取材・文/成田おり枝

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