舞台映像で「劇場空間」を再現できる?た組「綿子はもつれる」から舞台『弱虫ペダル』まで、東京芸術祭2023で上映会開催
舞台に関わる資料の収集、デジタルアーカイブ化やそれらの利活用のサポートを行なうEPAD(緊急舞台芸術アーカイブ+デジタルシアター化支援事業)。このたびEPADが、東京芸術祭2023において「EPAD Re LIVE THEATER in Tokyo〜時を越える舞台映像の世界〜」を10月11日(水)〜10月22日(日)まで、東京芸術劇場、シアターウエストで開催し、舞台映像で「劇場空間」を再現できるのかを検証する。
EPADでは、劇場での臨場感ある観劇体験も含めて「100年後の未来に残せないか?」という想いから、超高精細8K映像での収録や立体音響での編集など、最新技術を使用しながら舞台映像を残してきた。今年度からはその映像を使用し、劇場での上映会に取り組んでいる。今年の7月には渋谷のPARCO劇場にて、三谷幸喜やいのうえひでのり、野田秀樹など豪華演出家による過去作や最新作を大スクリーンで上映し、いずれのプログラムも好評を博した。
今回の上映会では、た組「綿子はもつれる」、マームとジプシー「cocoon」、公益財団法人スターダンサーズ・バレエ団「くるみ割り人形」、維新派「トワイライト」、イキウメ「人魂を届けに」、舞台『弱虫ペダル』THE DAY 1、東京芸術劇場「気づかいルーシー」、蜷川幸雄七回忌追悼公演「ムサシ」が上映される。注目作品ばかりのラインナップを見ていこう。
イキウメ「人魂を届けに」(2023年上演)
前川知大作・演出による、イキウメ「人魂を届けに」。魂となって極刑を生き延びた政治犯は、小さな箱に入れられて拘置所の片隅に置かれている。扱いに困った当局は恩赦として、その魂を放免することにしたが、生真面目な刑務官は、その魂を母親に届けようと思い立つ。
舞台『弱虫ペダル』THE DAY 1 (2023年上演)
千葉県の総北高校に入学した小野田坂道は、千葉から秋葉原まで往復90㎞の距離を毎週ママチャリで通うほど、アニメやフィギュアが大好き。ひょんなことから自転車競技部へと入部した坂道は、自転車を通じて出会った仲間や先輩たちとともにインターハイ優勝を目指す!
た組「綿子はもつれる」(2023年上演)
綿子と悟の夫婦関係は破綻していたが、綿子と不倫相手のある出来事によって、夫婦は再構築を始める。
東京芸術劇場「気づかいルーシー」(2022年上演)
おじいさんと暮らす女の子ルーシー。ある日、おじいさんが馬から落ちて死んでしまったため、ルーシーを悲しませたくないと思った馬は、その皮をはいで自ら被り、おじいさんになりすます。一方、本当は生きていたおじいさんは、皮をはがれた中身だけになり、ルーシーを見守っていく。
マームとジプシー「cocoon」(2022年上演)
島の女子校に通い、賑やかな学校生活を送る主人公のサンと同級生の少女たち。戦況の悪化により、看護隊として軍事活動に協力することになり、日に日に死と隣り合わせの日々へと変化していく。
公益財団法人スターダンサーズ・バレエ団「くるみ割り人形」(2022年上演)
舞台はドイツのとある街。クリスマスを迎えてにぎわうクリスマスマーケットで、ごく普通の家で暮らす1人の少女クララに起こる不思議な物語を描く。人形の世界に迷い込んでしまったクララが、家族の愛と温かさに気づき、大人への階段を一歩登る。
蜷川幸雄七回忌追悼公演「ムサシ」(2021年上演)
慶長17年4月、豊前国舟島。後に「巌流島の決闘」と呼ばれることになる宮本武蔵と佐々木小次郎の世紀の大一番は、武蔵の勝利に終わった。それから6年後の夏。武蔵憎しの一念でついに宿敵をとらえた小次郎が現れる。二大剣客の命をかけた再対決が、「三日後の朝」と約束される。
維新派「トワイライト」(2015年上演)
伊勢をめざす旅に出た少年ワタルが、奈良の山中で道に迷った際に、不思議な生き物を見かける。導かれるままにたどりついた曽爾村で、ハルという腕白な子どもに出会い、2人で一緒に村祭りで獅子舞を見たり、秘密の洞窟を探検したりする。彼らをかたわらで静かに見つめているのは、成長して曽爾村を再び訪れたワタルだった。
まるで“演劇図書館”のよう!「鑑賞ブース」とは?
EPADでは、「EPAD Re LIVE THEATER in Tokyo~時を越える舞台映像の世界~」の開催期間中、「鑑賞ブース」と銘打って、観たい時に、観たい舞台作品の映像を鑑賞できる”演劇図書館”を開館する。ここでは、少し前に話題になった作品から、いまはもう観ることができない過去の名作まで、舞台映像を気軽に、そしてじっくりと鑑賞できるので、こちらもぜひチェックしていただきたい。
文/山崎伸子