チャンネル登録者数680万人の双子YouTuber監督来日!デビュー作の全米大ヒットホラーで「観客の何人か気絶」
全米でA24ホラー史上最高興収を叩き出した映画『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』(12月22日公開)。その来日舞台挨拶が10月16日、都内で実施され、チャンネル登録者数680万人の双子YouTuberで監督のダニー・フィリッポウとマイケル・フィリッポウが登壇した。
本作は、母を亡くした女子高校生がSNSで流行りの「#90秒憑依チャレンジ」に参加し、そのスリルと快感にのめり込んでしまったことからかつてない事態に発展していく新世代ホラー。2023年のサンダンス国際映画祭で上映されるや大きな話題となり、長編映画監督デビュー作にしてアリ・アスター監督、ジョーダン・ピール監督、サム・ライミ監督、スティーブン・スピルバーグ監督、スティーブン・キングらが熱狂的に支持した。
サンダンス国際映画祭での熱狂についてマイケルは「アメリカ人は映画を観ながらリアクションを声に出す。叫んだり、『そこにいるぞ!』とか言ったりね。それを聞くのが本当に面白かった」と振り返ると、ダニーも「しかも観客の何人かが気絶してさ!その姿を目の当たりにしたときに俺ら泣いたよ」と大感激。ところがこれにマイケルは「いや、泣いていたのはお前だけだろ!」と仲良さそうにツッコんで場内爆笑となった。
各社争奪戦のうえ、『へレディタリー/継承』(18)『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(22)などで知られるA24が配給権をゲット。この快挙にダニーは「A24から連絡が来たときは夢が叶った気分だったよ。しかもまだシナリオを書いていない時点で続編製作のOKも出てさ。俺らは本当ラッキー」と大喜び。マイケルも「サンダンス国際映画祭では小切手を持って『この映画をすぐに買うぞ!』と言う奴もいたりして。セールス担当者は『ど、ど、どうしよう』と心底ビビってたな。ちなみにA24が話に来たとき、俺たちは『ふ~ん』って態度を取ったけれど、内心大興奮だったな」と喜色満面だった。
容赦のない展開が待ち受ける作風だが、ダニーは「ホラーでありながらもドラマをやりたかった。だからえげつないバイオレンスシーンも撮ったけれど短くカットした。意識したのはキャラクター視点からの“怖さ”かな」と分析。マイケルも「そう、俺らは単なるスプラッター映画を作りたいわけではなかったから」と本質的な怖さを追求したと説明した。
本作を製作する上で影響を受けた作品について聞かれると「トーンでは『殺人の追憶』や『ぼくのエリ 200歳の少女』を参考にした。悲劇的結末でいうと『ザ・バニシング -消失-』かな」とシネフィルの一面を覗かせるダニーだった。
双子だからなのか、最後まで息ぴったりの2人。マイケルが「俺らの映画を楽しんでほしい」と急にかしこまったPRをしだすと、すかさずダニーは「面白くねえコメントだな!」といじりだして、マイケルも「ならお前のこと殴ったろか!」と兄弟喧嘩の寸劇を始めたりして、終始舞台挨拶を盛り上げていた。
取材・文/石井隼人