アツいドラマを通して浮かび上がる人類とAIの未来図…『ザ・クリエイター/創造者』など週末観るならこの3本!

コラム

アツいドラマを通して浮かび上がる人類とAIの未来図…『ザ・クリエイター/創造者』など週末観るならこの3本!

週末に観てほしい映像作品3本を、MOVIE WALKER PRESSに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!
週末に観てほしい映像作品3本を、MOVIE WALKER PRESSに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!

MOVIE WALKER PRESSスタッフが、いま観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画「今週の☆☆☆」。今週は、人間とAIの種別を超えた絆を描くSFアクション、石油資源を巡る先住民連続殺人事件を基にしたマーティン・スコセッシ最新作、新人コンシェルジュの奮闘の日々を収めた“動物×百貨店“エンタテインメントの、バラエティに富んだ3本。

アツいドラマを通して浮かび上がる人類とAIの未来図…『ザ・クリエイター/創造者』(公開中)

いなくなった妻を探すジョシュアはとある超進化型AIの少⼥に出会う(『ザ・クリエイター/創造者』)
いなくなった妻を探すジョシュアはとある超進化型AIの少⼥に出会う(『ザ・クリエイター/創造者』)[c] 2023 20th Century Studios

AIの進化は現代人には軽視できない事象だが、それが進んだとき、AIと人類は敵対するのか!?そんな未来をシミュレートしたのが、このSF大作。進化し過ぎたAIの使用を全面禁止した米国が、AIと共存するニューアジアと戦争を繰り広げている世界。辛い過去を抱え、密命を受けて戦地に飛んだ米国の兵士が、幼い子どもの姿をしたAIと出会ったことで数奇な運命をたどる。

壮絶な戦場を行くアドベンチャーに主人公のラブストーリーが絡むドラマは、観る者の感情を揺さぶらずにおかない。『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(16)をよりエモーショナルにしたような、ギャレス・エドワーズ監督の共感性の高い語りも光る。アツいドラマを通して浮かび上がる人類とAIの未来図に注目を!(映画ライター・有馬楽)


メリハリのある流れで飽きさせない…『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』(公開中)

実際にアメリカで起きた怪奇連続殺人事件をモチーフにした『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
実際にアメリカで起きた怪奇連続殺人事件をモチーフにした『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』画像提供 Apple TV+

その世界に安心して身を任せられつつ、激しく心がざわめき続ける…。そんな映画体験を望む人には極上の一作。巨匠マーティン・スコセッシが再現する、いまから100年前のアメリカ、オクラホマの街のムードに没入した後は、この地で起きるあまりに奇怪な連続死亡事件のミステリーへと引き込まれていく。先住民オセージ族の不可解な死が次々と紹介される冒頭からして、圧巻の映像。FBI誕生のきっかけとなった事件を描くとあって、要所で背筋も凍るシーンを用意され、斬新な演出のクライマックスまで、3時間26分、メリハリのある流れで飽きさせない。

レオナルド・ディカプリオ、ロバート・デ・ニーロというスコセッシ作品の“顔“を担ってきた2人の名優が、物語のなかでは悪の側面を演じているが、誤った信念で非情な行動もとる人間のサガを、大げさにならず表現し続けたのは、さすがの一言。さらに印象的なのは、こちらもスコセッシ作品には何度も関わってきたロビー・ロバートソンの音楽で、今回はシーンや演出との異様な一体感に驚くばかり。今年8月に逝去したロバートソンの、最後にして最高の仕事を堪能したい。(映画ライター・斉藤博昭)

気持ちを前向きにリセットしてくれる…『北極百貨店のコンシェルジュさん』(公開中)

訪れるお客様が全て動物という不思議な百貨店の新人コンシェルジュの奮闘を描く『北極百貨店のコンシェルジュさん』
訪れるお客様が全て動物という不思議な百貨店の新人コンシェルジュの奮闘を描く『北極百貨店のコンシェルジュさん』[c]2023 西村ツチカ/小学館/「北極百貨店のコンシェルジュさん」製作委員会

小学館「ビッグコミック」で連載、第25回(2022年)文化庁メディア芸術祭マンガ部門で優秀賞を受賞した作品を、「ハイキュー!!」シリーズや「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」などで知られるProduction I.Gがアニメ映画化。原作者の西村ツチカはイラストレーターとしても活躍するだけあり、絵柄が実にスタイリッシュで全てのカットがアート作品。北極百貨店の新人コンシェルジュ、秋乃が、百貨店を訪れる動物たちの要望に応えるべく奮闘しながら成長、その先に心温まる展開と感動が待ち受けている…。

ワライフクロウ、ウミベミンク、ニホンオオカミなど絶滅種が多く登場し、いわゆる“お仕事モノ”でありながら、生物の多様性における問題にもさらりと触れているのもミソ。約70分という長さもちょっとした気分転換にぴったりで、物事に行き詰まったり心がちょっと疲れてしまった時、気持ちを前向きにリセットしてくれる大人のファンタジー作品だ。(映画ライター・榑林史章)

映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて。

構成/サンクレイオ翼

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