ヴィム・ヴェンダース監督「自分には日本の魂がある」第36回東京国際映画祭『PERFECT DAYS』舞台挨拶

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ヴィム・ヴェンダース監督「自分には日本の魂がある」第36回東京国際映画祭『PERFECT DAYS』舞台挨拶

第36回東京国際映画祭オープニング作品『PERFECT DAYS』(12月22日公開)の上映が、10月23日にヒューリックホール東京で開催。舞台挨拶にヴィム・ヴェンダース監督、役所広司、柄本時生、中野有紗、アオイヤマダ、麻生祐未、石川さゆり、田中泯、三浦友和、共同脚本でプロデューサーの高崎卓馬、製作の柳井康治が登壇した。

『PERFECT DAYS』の監督で審査委員長も務めるヴィム・ヴェンダース
『PERFECT DAYS』の監督で審査委員長も務めるヴィム・ヴェンダース

ヴェンダース監督が長年リスペクトしてやまない役所を主演に迎えた本作は、渋谷の公共トイレ清掃員である平山を主人公にした物語。第76回カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞したほか、第50回テルライド映画祭、第48回トロント国際映画祭、第71回サンセバスチャン映画祭、第43回台北金馬映画祭などに招待され、米国アカデミー賞国際長編映画賞の日本代表にも選出された。

まずは、ヴェンダース監督が「1年前は撮影していたので、ここにいる人たちのおかげで、親しい友人に会うことができませんでした」と言って笑いをとる。

平山役の役所広司
平山役の役所広司

そのあとで「キャスト全員が日本人、スタッフも全員日本人。撮影してる時にうかがいたかったのですが、この映画は本当にドイツ人監督が撮ったものだと思われますか?自分はずっとドイツ人監督であると思っていたけど、自分には日本の魂があると感じました」と語り、観客の心を鷲づかみにした。

役所は笑顔で「飛行機が遅れて、ヴェンダース監督はちょっと時差ボケですが、元気です」と言うと、ヴェンダース監督は役所に頭をもたれかけ、笑いを誘った。

タカシ役の柄本時生
タカシ役の柄本時生

役所は演じた平山役について「ヴェンダース監督は、いつも平山みたいに生きたい、平山が羨ましいとおっしゃってました。僕もそういう人物を目指せばいいのかと、撮影中ずっと思ってました」と撮影を振り返った。

続いて柄本はヴェンダース組に参加できたことに感激しきりの様子で「とにかくこんなご褒美はないぞと思っていて。参加できたことを光栄に思っています」と笑顔を見せた。

アヤ役のアオイヤマダ
アヤ役のアオイヤマダ

アオイヤマダは「すばらしい役者さんとご一緒できるってことで最初は不安でした。でも、ヴィムさんに会った時、私という人物を見つけてくれました。アヤ役に自分を近づけるのではなく、アヤが私に近づいてくれた気がします。ヴィムさんは偶然をつまんで、愛をつまんでこの作品ができたと思っております」と監督に感謝した。

麻生は「レジェンドと呼ばれる人と過ごしました。いつ見ても監督はニコニコと楽しそうに笑ってらして、私たちもいつのまにかリラックスして楽しく撮影することができました」とうれしそうにコメント。

本作で女優デビューを果たした中野有紗
本作で女優デビューを果たした中野有紗

本作で女優デビューを果たした中野は「初めての演技で、右も左もわからないまま、、こんなにもすばらしいチームに加えていただいて、本当にいま、ありがとうございますの気持ちでいっぱいです」と感激するとヴェンダース監督は「最初に撮った銭湯のシーンで、本当に彼女は生まれもっての役者であると思いました」と中野を称えた。

居酒屋の女将役の石川さゆり
居酒屋の女将役の石川さゆり

石川はヴェンダース監督について「私はそこまで監督のすごさがわからなくて、役所さんの映画、すばらしい監督の映画ということで、歌い手の好奇心で『出ます!』と言いました」と語ると、田中は「木の下で、監督から踊ってくれと言われたんです。これはうれしかったです。映画監督から踊ってくれと言われたのは初めてでした」と大喜びだった。

全員でフォトセッション
全員でフォトセッション

最後に三浦が「不安のまま、現場に行きました。私は最後にちょこっとだけ出ますので、見逃さないようにしてください」とおちゃめに言って、舞台挨拶を締めくくった。

取材・文/山崎伸子

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