「出来上がった映像を観て『ヤバい』と思った」緒方恵美と釘宮理恵が映画『デジモン02』のアフレコを振り返る
声優業の醍醐味は「お客様に快感を渡すことができる」(緒方)、「人の心を動かすことができる作品に出会える」(釘宮)
――緒方さんと釘宮さんは、これまでにも年齢や性別、人間ではないものなど、あらゆる壁を超えていろいろなキャラクターを演じられています。そんなお2人がいま感じている、声優業の醍醐味とはどのようなものでしょうか。
緒方「人間は80%の情報を視覚から得ていると言われていて、実写のお芝居では視覚の映像として、お客様の印象に残ることが多いと思います。一方、声のお芝居は、演者が細かい部分まできちんと想像することができていると、お客様のなかでいろいろなものが増幅されて、ぶわっと世界を広げていくことができる。そういう意味では、想像力を注ぎ、お客様に快感を渡すことができるのが、声優業の醍醐味であり、楽しいことだなと思っています。例えば朗読劇などはとてもそれが顕著に表れるのですが、朗読劇は演者が想像を広げきれないままやると、退屈なものになってしまう場合もあって。きちんと演者が細部の細部や深い部分まで想像してやり切ることができると、不思議なことにお客様がその物語の空気感や背景までを感じることができる。いいものを追求していくことには限りがなく、一生をかけてもっといろいろなことができるのではないかと思っています」
釘宮「人の心を動かすことができる作品に出会える。そういったことが起きることが、醍醐味だと感じています。本作のように作り手が愛情を注いで臨み、シリーズとしての歴史もあって、たくさんの人に伝えられるストーリーを持っている作品に出会えると、とてもうれしく思います。もちろん観てくださる方の受け取り方は、それぞれ自由です。そんななか『誰かの心を動かすことができるかもしれない』と思えるような要素がたくさん含まれているものこそ名作と呼ばれるものだと思いますし、演者としてそういった作品に出会えることは稀であるだけに、ものすごく幸せなことです」
緒方「『デジモン』を通っていない人は尻込みをしてしまうかもしれませんが、本作ははじまりの物語でもあって、単体のお話として楽しんでいただける作品だなと思っています。『デジモン』を好きな人、そして通って来なかった人にも楽しんでいただけて、なおかつ人間が生きていくうえで根源的な部分に触っているような作品。ぜひいろいろなことを感じていただけたらうれしいです」
取材・文/成田おり枝