稲垣吾郎、『正欲』で東京国際映画祭に帰還し笑顔!新垣結衣の新境地に「イメージを覆された」と絶賛

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稲垣吾郎、『正欲』で東京国際映画祭に帰還し笑顔!新垣結衣の新境地に「イメージを覆された」と絶賛

現在開催中の第36回東京国際映画祭にて10月25日、コンペティション部門作品『正欲』(11月10日公開)のワールドプレミア舞台挨拶がTOHOシネマズ日比谷で行われ、稲垣吾郎、新垣結衣、磯村勇斗、佐藤寛太、東野絢香、岸善幸監督が登壇した。

朝井リョウによるベストセラー小説を『前科者』(22)の岸善幸監督が映画化した本作。家庭環境、性的指向、容姿などさまざまな背景を持つ人々の人生が、ある事件をきっかけに交差していく群像劇だ。

『正欲』いよいよお披露目!ワールドプレミア舞台挨拶が行われた
『正欲』いよいよお披露目!ワールドプレミア舞台挨拶が行われた

主演映画『半世界』(18)、『窓辺にて』(22)も同映画祭のコンペティション部門に選出され、2度も観客賞を受賞した経験がある稲垣は、「またこの場所に帰って来られて光栄に思っています」と喜びを吐露。「東京国際映画祭というのは、映画を愛するみんなにとっても特別な場所。こうやって皆さんに、そして世界中の人にも観ていただける機会になるので、本当にうれしく思っています。ちょっとドキドキしますね。観終わった皆さんの声を早く聞きたい」と緊張感を明かしながら、笑顔を見せた。

主人公の啓喜を演じた稲垣吾郎
主人公の啓喜を演じた稲垣吾郎

劇中で稲垣は、検察官として横浜検察庁に務め、妻と息子と3人でマイホームに暮らす寺井啓喜役を演じた。「普段からいろいろな作品で拝見させていただいている、すばらしい俳優さんたち。共演できることをうれしく思いました」と感激しきりの稲垣は、「新垣さんや皆さんも、普段見させてもらっている表情とは違った、その映画の登場人物になりきった人として存在していた。僕も自然とその世界に誘われて、気持ちよく演じることができました」と語った。

夏月の複雑な心のひだを繊細に演じた新垣結衣
夏月の複雑な心のひだを繊細に演じた新垣結衣

広島のショッピングモールで契約社員として働く桐生夏月役を演じた新垣は、稲垣の言葉通り、本作で新境地を開いている。稲垣は「いままでの新垣さんの作品やビジュアル、コマーシャルなどを見てきたなかで、それぞれが描く新垣さんのイメージってあるじゃないですか。僕もそれを覆された」と目尻を下げ、「映画の現場で会った時は、本当にびっくりした。普段イメージする新垣さんとはまったく違っていて、この後に皆さんも観ていただいたらびっくりするんじゃないかと思う」と新垣の熱演を絶賛。続けて「皆さんが大きな覚悟を必要とする役を演じた。それが報われるような形に、すばらしい作品に仕上げていただいた」と岸監督に感謝を伝えた。

磯村勇斗が、夏月と感情を共有していく佳道を演じた
磯村勇斗が、夏月と感情を共有していく佳道を演じた

本作に出演する覚悟を決めた理由について聞かれた新垣は、「企画書などを読ませていただいて、すごく心惹かれるものがあった」と告白。「監督とも直接お話をさせていただいて、同じ方向を向いて挑むことができるという、意思疎通ができた。『ぜひよろしくお願いします』というスタートでした。こうやって映画が完成して、岸監督のもとで、このすばらしい皆さんと一緒にこういう作品に参加できたことをうれしく思っています」と充実感をにじませた。また稲垣との共演については、「ご一緒できたシーンが本当に濃密。重要なシーンだった」と共演シーンを回想しつつ、「濃い時間を共にして、ひとつのシーンをつくりあげることに一緒に力を尽くすことができたのが、とても光栄でした」ととても豊かな時間になったと明かした。

メガホンを取った岸善幸監督
メガホンを取った岸善幸監督

岸監督は、原作の魅力について「世界には大多数と言われている人たちがいて、一方でそこのカテゴリーに入らない方々も存在している。マイノリティーのなかのマイノリティーが存在している。その存在を丁寧に、世界でどう生きているかを描いている。衝撃でしたし、目からウロコが落ちるようでした」と語った。衝撃作とも言える原作を映画化し、観客の心を激しく揺り動かすような作品を共につくりあげたメンバーは、終始笑顔を見合わせるなど息ぴったり。映画初出演を果たし、この日は初めての舞台挨拶だという東野も、緊張しつつも「八重子の人生にすごく向き合った時間でした」と演じた役柄への愛情を力強く語っていた。


佐藤寛太も楽しそうな笑顔!
佐藤寛太も楽しそうな笑顔!

国際映画祭とあって、通訳がトークの間に入るため、佐藤が「会話のテンポが難しい」と苦笑いを見せると、稲垣が「僕も(トークの)ワンセンテンスが長かったんじゃないかなと、後悔したりしている。さっきから(横にいる佐藤に)僕の話、長かった?って聞いているんだよね」と通訳への気遣いを口にして、会場も大笑い。また稲垣、新垣と“ダブルガッキー”だったことで、司会からどちらの名前を呼ばれたのかわちゃわちゃとするひと幕もあった。最後の挨拶で稲垣は「稲の垣の、稲垣です」と茶目っ気たっぷりに切りだし、「人それぞれの個性というものを認め合うことの大切さ、そういうものを発見する喜びを感じていただける作品だと思います。登場人物を見ていると、息が苦しくなるようなせつない物語ではありますが、最後には深い感動をお届けできる作品に仕上がっていると思います」と完成作に胸を張り、新垣も「じっくり観てください」と呼びかけていた。

第36回東京国際映画祭は、11月1日(水)まで、日比谷、有楽町、丸の内、銀座地区にて開催中。

取材・文/成田おり枝

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