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SFアニメの金字塔「ゼロテスター」から声優人生がスタート!一龍斎春水が語る神谷明や広川太一郎らレジェンドへの感謝とアニメ愛

インタビュー

SFアニメの金字塔「ゼロテスター」から声優人生がスタート!一龍斎春水が語る神谷明や広川太一郎らレジェンドへの感謝とアニメ愛

「私はとちってばかりでしたが、神谷明さんたちみんなから頑張れオーラをいっぱいいただきました」

「ゼロテスター」には「北斗の拳」(84~87)のケンシロウ役の神谷明、「ドラゴンボールZ」(89~96)のフリーザ役の中尾隆聖、テレビ朝日版「ドラえもん」(79~05)ののび太役の小原乃梨子、吹替界のレジェンドの広川太一郎ほか、そうそうたるメンバーがレギュラーで出演していた。現場では、チームメートを演じた吹雪役の神谷、荒石役の中尾の両氏から助けられたという。「最初のころはどうやってタイミングを取ればいいのか、画面にどう合わせるのかもわからなくて。しかも画はほとんどできていないんです(笑)。キャラクターの顔の線画があるだけで、顔が映っていない時はさっぱりでした。3人で喋っている時は神谷さんの次、中尾さんの次みたいに付いていき、私だけで喋る時は神谷さんがポンって背中を叩いてくださったんです」。彼らのチームワークを高めたのが佐藤ディレクターだった。「私たちが仲良くできる環境を作ってくださったんです。佐藤さんは広川さんとすごく仲が良かったので、スタジオでは(剣持キャプテン役の)広川さんがリーダー的な存在になってくれました。私はとちってばかりでしたが、神谷さんたちみんなから頑張れオーラをいっぱいいただきました」と「ゼロテスター」の物語と同様、仲間たちと乗り切った現場を振り返った。

テスター隊と天才科学者ヤン、タチバナ博士は様々な危機に立ち向かう
テスター隊と天才科学者ヤン、タチバナ博士は様々な危機に立ち向かう[c]J.D&東北新社

「ゼロテスター」の放映当時、アニメは子どもが観るものという位置づけで、アニメ作品の放映本数も少なかった。そのためほかの仕事がブッキングすることもまれで、みんなで遊びに行く余裕もあったという。「仲もよかったのでみんなでスキーに行ったり、軽井沢の別荘に遊びに行ったりしてました。『宇宙戦艦ヤマト』の時はスタジオが渋谷寄りの青山にあったので、収録が終わるといつも(沖田艦長役の)納谷悟朗さんを先頭に渋谷で飲み会でしたね(笑)」。ただし「私はしぶしぶ付いていく感じ」だったそう。「だってそこで始まるのが、私へのお説教(笑)。ちゃんと芝居を学べってことです。売れる声を作るためには、努力をしなきゃダメだって」。遊びだけでなくプロとしての厳しさも多くの先輩から学んだという。「私が声優を始めたころ、周りはベテランの役者さんばかり。スタッフの方も『こういうふうに演じて』という指示はなく、まずは声優さんのお芝居を尊重するんです。だから私も野沢雅子さんの声の出し方や、キャラに合わせた声の変え方を自分なりにインプットしてみたりしました」。

富野由悠季は演出と絵コンテで参加
富野由悠季は演出と絵コンテで参加[c]J.D&東北新社


「雪はリサより柔らかく、少し色っぽい感じで演じていました」

「ゼロテスター」を終えたあと、多くの作品に参加した一龍斎は、人気と実力共にアニメ界を代表する声優になっていく。そのキャリアを通し、特に印象に残る役を振り返ってもらった。「リサは初めてのレギュラーで、メインをやらせていただいた大切な作品です。今回、改めて観返すまで『きっと下手だろうな』とドキドキでしたが、まあ合格かな(笑)。いま、『宇宙戦艦ヤマト』も観返していますが、雪はリサより柔らかく、少し色っぽい感じで演じていました。『銀河鉄道999 ガラスのクレア』の時には、雪と同じにならないように意識したのを覚えています。『名探偵ホームズ』のハドソン夫人はちょっとシックにしたり、いろんな役を演じるうちに似たキャラクターでも個性を出せるようになったんです。いろんなアニメに育てていただきました」と言い、それまでになかった役として「ポールのミラクル大作戦」の妖精パックンも印象深い役だと教えてくれた。「どういう声が合うのかすごく考えて、あの声にしたんです。これでいいのか不安もありましたが、アフレコを観に来てくださったタツノコプロの方たちに『役に合う演技を作ってくださってありがとうございます』と言っていただけてすごくうれしかったですね」。

70年代のアフレコ現場の一体感を口にする一龍斎春水
70年代のアフレコ現場の一体感を口にする一龍斎春水撮影/野崎航正

いまや声優は多くのファンを持つスターだが、初めて声優にスポットが当たったのは1970年代中盤以降のことだった。声優を取り巻く状況の変化に戸惑ったこともあったという。「私が入ったころは、キャラクターのイメージを優先するため声優は表に出ないものだったんです。あくまでも影の人で、私も出ないのが楽だわと思っていたし(笑)。でも『宇宙戦艦ヤマト』のころから変わり始めて、『イベントに出なくちゃいけないの?』『私がサイン書くの!? 』って。やたら写真を撮られるようになり、変な所から撮ってほしくないな、みたいな(笑)。ちょうど狭間を生きてきた感じですね」。

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■一龍斎春水
講談師、声優、心理カウンセラー。1972年、黒沢良主催声優学校在校中から麻上洋子として声優活動を始め、1992年に講談師の一龍斎貞水に入門。2012年に声優としての芸名も一龍斎春水に改名。声優の代表作は「ゼロテスター」のリサ役、「宇宙戦艦ヤマト」の森雪役、『アメイジング・スパイダーマン』のメイおばさん役など。

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