亀梨和也の今後の展望は“本当の自分”と向き合うこと「自分を取り戻したいなって思うようになった」

インタビュー

亀梨和也の今後の展望は“本当の自分”と向き合うこと「自分を取り戻したいなって思うようになった」

第17回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した倉井眉介による小説を映画化した『怪物の木こり』(12月1日公開)は、サイコパスvs連続殺人鬼を描く超刺激サスペンス。鬼才、三池崇史監督がメガホンをとり、目的のためなら他者の命を奪うこともいとわない冷酷な弁護士、二宮彰を亀梨和也が演じる。

絵本「怪物の木こり」に登場する怪物の仮面を被った何者かが「脳を奪う」という、猟奇的な連続殺人事件が起こった。その標的となり負傷した二宮は、犯人がなぜ自分をねらったのかを突き止めるべく、協力者であるサイコパス脳外科医、杉谷(染谷将太)と共に動きだす。一方、プロファイラーの戸城(菜々緒)ら警察の捜査は、過去に起こったある殺人事件にたどり着く。

連続殺人鬼に狙われる二宮彰
連続殺人鬼に狙われる二宮彰[c]2023「怪物の木こり」製作委員会

「僕は、“亀梨くん”に身体をお貸ししている感じ」

二宮という役について、亀梨は「せつない」という言葉で表現した。そして本作は、「知ることの怖さ」について改めて考える機会になったと振り返る。

「いまこうして座って話しているけど、実は僕の後ろが崖だとするじゃない?知らなければ普通にしていられるけど、振り返って気づいた瞬間、急に怖くなる。知ってしまうことの怖さってあるし、知らないほうがいいこともある。そういうことも考えました」。

「ネタバレになるからあんまり言えないけど」と冗談を沿えたが、「知ることの怖さ」とその賛否は、鑑賞後に誰もが思いを馳せる点であろう。

成功でエリートな弁護士、二宮は誰にも知られていない一面がある
成功でエリートな弁護士、二宮は誰にも知られていない一面がある[c]2023「怪物の木こり」製作委員会


亀梨本人と二宮というキャラクターについて、三池監督が印象的な言葉を寄せた。「経験豊富なアーティストであり、俳優であり、そしてイメージを売るアイドルという仕事をしてきて、外に出れば街を歩いていても買い物をしていても“亀梨くん”でいないといけない。実際にそうやって生きてきた彼の強さが、今回の役柄に自然に発揮されている」。このコメントについて亀梨はこう語る。

「確かに、僕自身のパーソナルな部分が傷づいていたり、元気がなかったりしても、『いまは“亀梨くん”の時間だ』という場面においては、やっぱりそれは伏せなきゃいけない。いわば僕は、“亀梨くん”に身体をお貸ししている感じですよね」。

「僕はいま、“僕”じゃないですか」。そう言うとぱっと立ち上がり、言葉を続けた。

「僕の魂だけがここに立っていて、魂のない見てくれだけの僕がここに座っていたとする。“どっちが本当の俺か?”と考えたら、絶対に(立ち上がっている)こっちが“僕”なんですよ。そこにいるのは、肉体は亀梨和也だけど、“僕”じゃない。コンサートや舞台をやっている時、たまにそういう感覚に陥ることがあります。僕は確かにそこに立っているんだけど、心は(頭の横をぐるぐると指して)この辺にいる。自分を冷静に見ている誰かがいるんですよね」と、独特の感覚を明かした。“日常に潜むサイコパス”を演じるなかで、精神と肉体の共存、あるいは分離、何者かを演じて生きることについてなど、考えることも多かったという。

「本当の僕ならできないけど、“亀梨くん”としてならできることがあるんじゃないかな」

二宮彰は連続殺人鬼が唯一殺し損ねた男
二宮彰は連続殺人鬼が唯一殺し損ねた男[c]2023「怪物の木こり」製作委員会

そんな彼自身、いつからか“亀梨くん”である時間が長くなった自分の人生について、迷い、悩んだ時期もあったとも振り返る。

「芸能生活25年、37歳、ある時から人生の半分以上が芸能人なんですよね。生きているなかで、“亀梨くん”としての時間のほうが長いんです。僕が生まれ育った家は決して裕福ではなかったし、6畳2間に家族6人、寝る時にはテーブルを片づけて布団を敷いて、家族みんなでゴロ寝をする。それが僕の本質だと思っていたのに、いまやキングサイズのベッドで寝て、ダイニングテーブルを買って(笑)、そういう時間のほうが、人生において長くなっているんです。昔は野球のグローブも買えなかったのに、いまは、家にいただきもののグローブが何十個と並んでいる。『僕ってなんなんだろう?でも、いまの僕ってこうなんだよね』と、すごく迷った時期がありました」。

とはいえ、“亀梨くん”である時間も決して偽りではないと言い切った。“亀梨くん”であることはいま、彼のなかで「常識というか、思考」なのだそうだ。それを、三池監督は「強さ」と評した。亀梨自身、それを強さと思うかと問うと、「うん」と、拍子抜けするほどけろっとした答えが返ってきた。

「だって、“亀梨くん”だったら基本、なんでもできますから。例えば僕は、高いところも嫌いだし、ジェットコースターも好きではないけど、うち(KAT-TUN)で言うとそれは中丸(雄一)くんのキャラだからそこは譲って(笑)。僕は『(簡単そうに)ああ、飛べますよ」という自分を作りあげていきました。“亀梨くん”でいる時は全然怖くないですもん。舞台からぴょんっと飛び降りるのも、実はめちゃくちゃ怖いんですよ?前日までは『嫌だな、嫌だな』って思うけど、いざドームに行ってスタッフさんがいる前に立てば、“亀梨くん”でいなきゃいけない。そうすると、不思議と怖さが軽減されていくんですよね。そういう強さはあると思います。本当の僕ならできないけど、“亀梨くん”としてならできることって、あるんじゃないかな」。

ヤバいサイコパスの狂気を体感せよ!『怪物の木こり』特集【PR】

『怪物の木こり』公開記念"サイコパス"キャラ診断テスト【PR】
作品情報へ

関連作品

  • 怪物の木こり

    3.9
    2217
    斧で脳を奪い去る猟奇殺人犯に狙われたサイコパスの弁護士が追い追われを繰り返すサスペンス
    Netflix