恋人に笑顔を向ける姿、空をまっすぐ見上げる姿…『市子』アザービジュアル6種が公開
監督の戸田彬弘が主宰する、劇団チーズtheaterの旗揚げ公演作「川辺市子のために」を、杉咲花を主演に迎えて映画化した『市子』(12月8日公開)。このたび、主人公、市子の人物像に迫るアザービジュアル6種が解禁となった。
過酷な家庭環境に翻弄されながらも「生き抜くこと」諦めなかった女性、川辺市子の物語を描く本作。3年間ともに暮らしてきた恋人の長谷川義則(若葉竜也)からプロポーズを受けた翌日、市子はこつ然と姿をくらましてしまう。市子を探しだすため、長谷川は彼女の昔の友人や幼なじみ、高校時代の同級生と、これまで彼女と親交があった人々を訪ねていく。彼らの話を聞くうち、長谷川は、かつての市子が違う名前を名乗っていたことを知る。そして部屋のなかで見つけた1枚の写真に書かれた住所を訪れた長谷川は、彼女が生きてきた壮絶な半生を知ることになる。
今回解禁されたのは、とある過去と真実を隠し生きる市子を切り取ったアザービジュアル。無防備な笑顔を浮かべ振り向く姿や、長谷川と笑いあいながら歩く姿など、市子と長谷川のなんてことのない日常を切り取ったカットは、切なく悲しい宿命を背負う市子に、幸せな時間があったことを感じさせる。笑いながら振り返る市子を捉えた、フォーカスのあっていない写真は、劇中で実際に長谷川を演じた若葉が撮ったものとなっており、何気ない2人の会話が聞こえてくるような仕上がりに。恋人、長谷川とのシーンについて杉咲は「若葉さんが演じる長谷川の前に立っているだけで、不安が一気に払拭されて、この人に見つめられる世界に存在できていることを心の底から幸福に感じたんです」と市子として幸せな時間を過ごしたことを明かした。
一方で、生命力を感じさせる表情でまっすぐ空を見上げる姿や、暑い夏の日に汗をぬぐう姿といった、市子の底知れなさを伺うことのできるビジュアルや、部屋の隅で座る姿、部屋のなかから外を眺める市子の背中を捉えたビジュアルも。自身が演じた市子について市子について杉咲は「(演じていても)自分でもわからない感覚が重要でした。市子が自分に近づいてきてくれたと感じた次の瞬間には、離れていってしまう。それがとても怖くもあり、体感した出来事を本当のものとして信じられる瞬間でもありました。その繰り返しが『市子』という映画だったと思います」と振り返る杉咲。「役をわかった気になってはいけない」と常々考えるという杉咲だが、市子に翻弄されていたことを明かした。
第28回釜山国際映画祭、第36回東京国際映画祭に正式出品され、国内外から高い評価を受ける本作。はたして恋人との幸せな時間を手放した市子に隠された真実とは?彼女が生き抜いてきた壮絶な人生をぜひスクリーンで見届けたい。
文/サンクレイオ翼