『翔んで埼玉』脚本家、徳永友一が初小説を上梓! 映画の舞台裏から脚本家に必要なことまでインタビュー!

インタビュー

『翔んで埼玉』脚本家、徳永友一が初小説を上梓! 映画の舞台裏から脚本家に必要なことまでインタビュー!

大ヒット公開中の映画『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』。本作の脚本家、徳永友一が初小説を上梓。「DVD&動画配信でーた」で連載を開始し、MOVIE WALKER PRESSに場所を移し、足掛け2年の連載を経て発売した「未成線 崖っぷち男たちの逆襲」だ。MOVIE WALKER PRESSの公式YouTubeチャンネルで映画番組「酒と平和と映画談義」に登場していただいた徳永さんが語ってくれた、脚本と小説の違い、『翔んで埼玉』のウラ話、脚本家にとって大切なことなど、普段はなかなか知りえない脚本家の本音を公開!

「未成線」徳永友一著が発売中。脚本家、テレビプロデューサーたちのリアルを描いた奮闘記!
「未成線」徳永友一著が発売中。脚本家、テレビプロデューサーたちのリアルを描いた奮闘記!

「業界の裏話的なものを入れ込んでいます」

――小説を書くきっかけはなんだったんでしょうか?

「連載しないかというお話をいただいて、もともと小説なんて書いたことなかったんで、いやちょっと難しいかなと思いつつも、でも新しいことにチャレンジしたいと思い、『書きます!』と」

――小説と脚本、大きく違うところはどんなところでしょうか?

「キャラクターの描写、服装とか髪型とか、どういう目つきをしてるかとか小説でよく書いてるじゃないですか。脚本家って演者さんを思い浮かべて書くので、そういう表現は一切ない。そういう仕事って監督の仕事なんですよね。監督がどういう服を着させるか考えてくれるので、脚本家は考えなくていいんですよ。脚本家はセリフとト書きの動きだけで書いていくので、そこは大きな違いですよね」

――主人公は徳永さんと同じ脚本家です。

「身近なものじゃないと書けないな、と思ったんです。初めてのことなので。新進気鋭の脚本家が主人公ですが、やっぱり目線を変えないと場面展開ができないので、脚本家とプロデューサーと脚本家を目指してるおじさん、という3人が主人公のお話にしました。入り組みながらのちょっとミステリー調になってたりだとか。業界の裏話的なものを入れ込んでいますので、脚本家志望の方はもちろん、それ以外の方にも楽しんでもらえると思います。脚本家ってこんな生活しているんだな、とか、こんなプロデューサーヤダなっていう典型的なプロデューサーがいたり。僕を担当したプロデューサーではなく聞いた話ですけど(笑)」

【写真を見る】大ヒット公開中の『飛翔んで埼玉』最新作はこちら
【写真を見る】大ヒット公開中の『飛翔んで埼玉』最新作はこちら[c]2023 映画「翔んで埼玉」製作委員会

――映画「翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~」が大ヒット中ですが、こちらの脚本も徳永さんがお書きになっています。

「パート1は関東で埼玉をディスったので、今回はプロデューサーと監督と関西に行こう、と決めてました。関西はやっぱり大阪が強いじゃないですか。大阪を悪者にしようというところまで決めて、都構想ってあったじゃないですか。都構想でモメてたなと思って。都構想で大阪を首都にしようとする主人公を思い浮かべて、そこから広げていきましたね。粉物使ったりだとか(笑)。出てくる歌の歌詞も書いてます」

――どんな準備があったのですか?

「滋賀が今回舞台だったのですが、琵琶湖博物館に行ったり、琵琶湖の先生たちにお話を聞きました。
琵琶湖の歴史や滋賀の歴史もたくさん勉強しましたね。現地で滋賀や京都に住んでる方たちを集めてもらって、『さぁ、ディスってください』って笑。それをメモして準備していきました」

――脚本家になったきっかけは。

「中学時代にトレンディドラマブームがありまして。『東京ラブストーリー』とか『101回目のプロポーズ』とか、もうドハマりしてました。その時はドラマ日記を書いてましたね。ドラマを見て今日は何を学んだとか(笑)。なので、いずれこの世界に携わろうと中学の時から思ってました」

売れっ子脚本家でありながら驕ることなく人の好さがにじみ出る徳永さん
売れっ子脚本家でありながら驕ることなく人の好さがにじみ出る徳永さん

「脚本家とはやはり直しの美学というか、ひたすら直していく練習をしなければいけない」

――これから脚本家になりたい人へ伝えるとしたら、どんなことがありますか?

「書きたいものがあるのが大前提。それを形にしたら直していくのが重要です。脚本家とはやはり直しの美学というか、プロデューサーさんや監督、いろいろな人の意見やいいものを入れて、ひたすら直していく練習をしなければいけないです。そうして作品に仕上げていくものなので。いろいろな人の意見が入ると、もうぐちゃぐちゃになるんですが、そこは書きたいものがあるかどうか。書きたいものがあるとブレずに仕上がります」


――最後に、いい脚本とはなんでしょうか?

「スタッフさんがみんな乗って動いてくれる脚本。プラス、演者さんもこれはおもしろいね、って乗って演技してくれる脚本じゃないと、ほんと、『なんだこんなこと書いて、ふざけんなよ脚本家!』ってなっちゃうので。何百人っていうスタッフさんとキャストの力がないと、おもしろい作品って絶対生まれないので。スタッフとキャスト、この両輪がこの脚本だったら頑張りたい、と思ってもらえるものがいい脚本だと思います」

取材・文/編集部

■「未成線 崖っぷち男たちの逆襲」
著者:徳永友一
発売日:発売中
定価:¥1,300(税込¥1,430)
仕様:B6(128×182mm)/160P
発行:株式会社ムービーウォーカー
発売:株式会社KADOKAWA

■販売店
・全国の書店  発売中
・Amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4040006607
・カドカワストア https://www.kadokawa.co.jp/product/302308005590/

■徳永友一 プロフィール
脚本家。2005年、テレビドラマ「電車男」第6話で地上波デビュー。その後、コメディ、サスペンスとジャンルを問わず、多数の作品を手がける。映画『翔んで埼玉』(19)で第43回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞。23年は、続編となる『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』や、ドラマ「ONE DAY ~聖夜のから騒ぎ~」の脚本を務める。

関連作品