「モナーク」製作陣が明かす、新怪獣の生み出し方とスーツアクターへの敬意「ゴジラは永遠に生き続ける」
「ゴジラはジェームズ・ボンドのような存在です」(フラクション)
――ゴジラ映画に登場した怪獣のなかでお気に入りを教えてください。
ブラック「ゴジラは別格で、という前提で『ゴジラvsデストロイア』のデストロイアです。わりと最近の怪獣ですが、両肩から生えたクリスタルのような結晶体などデザインや、悪のゴジラのような見た目も大好きです。私の家にはコツコツ集めたデストロイアのグッズがたくさんありますよ(笑)」
シャックマン「つまらない答えになってしまいますが、やっぱりゴジラですね。怪獣の元祖であり、彼こそがシリーズの主役だからです。最近の作品では『シン・ゴジラ』のゴジラがとても好きです。映画のなかでゴジラが進化することで形態が変化していくのですが、そのデザインが挑戦的ですばらしいんです。あとはラドンもお気に入りです」
ブラック「ラドンといえば『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の炎はかっこよかったですね」
フラクション「やっぱり私もゴジラですね。子どものころに観た初期作品から『シン・ゴジラ』まで様々なゴジラを何度も繰り返し観てきましたが、ゴム製のスーツに人が入っているなんて思ったことは一度もありません。ゴジラはジェームズ・ボンドのような存在です。たくさんの俳優がボンドを演じてきましたが、ボンドは1人のキャラクターなのです」
シャックマン「つまりゴジラは永遠に生き続けるわけですね」
ブラック「日本の東宝に行った時、歴代ゴジラを演じた中島春雄さん、薩摩剣八郎さん、喜多川務さんが並んだ写真を見ました。3人ともスーツを着ないで歩いている写真なんですが、彼らの演じたゴジラがよくわかる写真でした」
フラクション「東京で一番印象に残っているのが、東宝スタジオの前で写真を撮ったことです。スタジオの前にゴジラのブロンズ像が置かれているのは知っていたので、僕らは絶対に写真を撮ろうと決めていたんです。まさしく聖地巡礼でした」
「東京でゴジラから避難するシーンを撮れたことが思い出深いです」(シャックマン)
――「モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ」にはみなさんのゴジラ愛が込められている、ということですね。
シャックマン「私は東宝のゴジラ映画が大好きで、子どものころにプラスチック製のゴジラの人形で遊んでいました。手が飛び出したり頭の後ろを押すと口から舌のような小さな炎が飛び出したりする仕掛けがあるものです。手をなくしてしまいましたが、まだその人形を大切にしています。映画製作者としてゴジラを現実のものにしているのは夢のようであり、巨大な遊び場で遊んでいるようでもあり、とにかく信じられないような想いです」
フラクション「私も同じで、このシリーズに参加してゴジラで遊んだ子どものころと同じ喜びを感じています。製作に関して東宝もレジェンダリーも寛大で、『おもちゃを貸してあげるから、これで遊んでいいよ。ただし壊さないようにね』と言ってもらったような感じです(笑)。自分がゴジラに携わっていることが、まだ信じられないような気持ちもあります」
ブラック「いまは自分の子どもたちにゴジラ映画を見せる立場になり、彼らが興奮したり、枕を並べて作った建物をゴジラになったつもりで壊して遊んでいるのを眺めています。ゴジラ映画が作り続けられポップカルチャーのなかに存在し続けることで、こういう喜びがずっと続いていくんです」
シャックマン「今回の撮影で思い出深いのは、東京に訪れて人々がゴジラから避難するシーンを撮れたことですね。東京で映画を撮影することは私が死ぬまでにやりたいことの一つだったので、それが実現できてうれしかったし夢のような瞬間でした。いまもモンスター・ヴァースとしてすばらしい怪獣映画が製作されています。ゴジラは生き続け、これからも魅力的なキャラクターとして愛され続けていくと思います」
フラクション「私もそう願います。昨日も少しマットと話をしていたんですが、新しい世代の視聴者には、『モナーク』で初めてゴジラや怪獣に触れる人もいるはずです。それに気づいた時、責任の重さに少し身がすくむ想いがしました」
ブラック「身が引き締まりますね」
フラクション「歴史ある怪獣映画のレガシーを正しく引き継ぎ、その重責を果たしていきたいと思っています」
取材・文/神武団四郎