アリ・アスター監督、「いつかアニメを撮りたい」と笑顔!映画『ボーはおそれている』 Q&A 付き試写会に登壇

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アリ・アスター監督、「いつかアニメを撮りたい」と笑顔!映画『ボーはおそれている』 Q&A 付き試写会に登壇

映画『ボーはおそれている』(2024年2月16日公開)のアリ・アスター監督Q&A付き試写会が12月20日、ヒューマントラスト有楽町にて行われ、本作のプロモーションで3年ぶり2度目の来日を果たしたアスター監督が登壇した。

【写真を見る】「富士山も見た!」と笑顔で報告したアリ・アスター監督。日本滞在を満喫中と語った
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18日には本作の日本最速上映イベントに、19日には『ミッドサマー』(19)のQ&A付き特別上映に出席。日本が大好きだというアスター監督は、前回の初来日より少し長く滞在しているそうで、前回同様京都に足を運び、その後富士山も見たという。「本当は登りたかったけれど、今回は見ただけ」と微笑み「その後1週間東京で過ごしています」と報告した。

最新作『ボーはおそれている』で描かれるのは、日常の些細なことでも不安になる怖がりの男ボー(ホアキン・フェニックス)の物語。ある日、さっきまで電話で話していたはずの母が突然、怪死したことを知る。母のもとへ駆けつけようとアパートの玄関を出ると、そこはもう“いつもの日常”ではなかった…。これは現実か、それとも妄想、悪夢なのか。里帰りの道のりで次々に奇妙で予想外の出来事が起こり、いつしかボーと世界を徹底的にのみこむ壮大な物語へと変貌していく。

アイデアは次々と浮かんでくるそう
アイデアは次々と浮かんでくるそう

Q&Aではアスター監督がどのように物語を思いつくのかという質問が。「作品によってアプローチが違います」と話したアスター監督は、「今回の狙いは“不安を抱えた男を描いたコメディ”でした。最初に思い浮かんだのは、行きたくないけれども行かなければいけない旅に出るというイメージです。イメージは時としてパッと思い浮かぶこともあるけれど、あれこれ細かく考えながら脚本に落とし込んでいくような形で進める時もあります」と説明。今回は「バカげた映画」というひとつのトーンが浮かび、そこから不安な男の行動を脚本に詰め込んでいったとしていた。

突拍子もないアイデアが出る理由についての質問では、死体が好きなのかと問われる場面も。「死体は好きです」とニヤリとしたアスター監督は「今度はどんな死体を出そうか、どう表現しようか。そんなことをいつも考えています。“なるべくしてなる”という感覚でやっています(笑)。結構やりがいのあることで、今度は頭部を破茶滅茶にしてやろうと考えていると、また別の新しいアイデアが3つほど思いつくみたいな感じなんです」とアスター監督ならではの世界観が生まれる背景を明かしていた。

お茶目なポーズを次々と披露し盛り上げた
お茶目なポーズを次々と披露し盛り上げた

今回、劇中にはアニメーション表現が登場する。アニメーションを手掛けたのはストップモーション・アニメ『オオカミの家』(23)やアスター監督が制作総指揮を務めた短編『骨』(23)で知られるチリの二人組、クリストバル・レオン&ホアキン・コシーニャ監督。「当初は舞台劇でまとめようと思っていたんだけど、予算が足りないとわかり、作り込めない部分はアニメでやっていくしかないと思いました。今回は僕が絵コンテを描き、その枠内で作るように発注したので、(2人は)やりにくかったと思います。ご自身の作品を作っている人たちなので」と話し、「いろいろ折れてくれました(笑)。フラストレーションはあったと思うけれど…」と制作過程を振り返りながら推察。「長いプロセスだったけれど、とても楽しかったです」と充実感を漂わせ、コラボはとても学びになり、いつかアニメを撮りたいとも話していた。


Q&Aでは作品の内容への細かい質問が飛ぶ場面も。「ここに来てくれた人たちだけに教えるけれど、公開までは口外しないでね!(笑)」と前置きし、ひとつひとつ丁寧に答えたアスター監督。最後の挨拶では「作品を気に入っても気に入らなくても『絶対に観るべき!』とおすすめしてください。ここにいるみなさんもあと2回は映画館で観てください」と呼びかけ、大きな拍手に包まれながらイベントを締めくくった。

取材・文/タナカシノブ

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