ドナルドダックに野獣、イケボの子ヤギバレンティノまで!山寺宏一がディズニー作品で魅せた“七色の声”を振り返る

コラム

ドナルドダックに野獣、イケボの子ヤギバレンティノまで!山寺宏一がディズニー作品で魅せた“七色の声”を振り返る

現在公開中のウォルト・ディズニー・カンパニー創立100周年記念作『ウィッシュ』日本語吹替版で、主人公アーシャの相棒である子ヤギのバレンティノ役を好演している山寺宏一。“七色の声を持つ男”と評され、人気実力を兼ね備えた山寺の功績は枚挙に暇がないが、なかでもディズニー作品とは特に深い関わりを持つ。そこでドナルドダックをはじめ、『美女と野獣』(91)の野獣や『アラジン』のジーニーなど、これまで山寺が演じてきたバラエティあふれるディズニー・キャラクターをおさらいしていこう。

『ウィッシュ』日本版で子ヤギのバレンティノ役を演じた山寺宏一
『ウィッシュ』日本版で子ヤギのバレンティノ役を演じた山寺宏一[c] 2023 Disney. All Rights Reserved.

タレント、声優、歌手など様々なフィールドで八面六臂の活躍を見せる山寺。朝の子ども向けバラエティ番組「おはスタ」では2020年までMCを務め、数多くのレパートリーを持つモノマネで、定期的にモノマネ番組にも参加。俳優としても、近作では大河ドラマ「鎌倉殿の13人」などにも出演している。声優デビュー作は1985年のOVA作品「メガゾーン23」だが、声優歴はすでに38年となり「かいけつゾロリ」のゾロリや「それいけ!アンパンマン」のジャムおじさん、チーズなど長寿番組の人気キャラクターの声も多数担当している。そんな山寺のキャリアにおいて絶対に外せないのがディズニー作品だが、初めて吹替えを務めたのは、アニメーション史上初めてアカデミー賞作品賞にノミネートされた不朽の名作『美女と野獣』の野獣役だった。

本作には特別な想い入れがあったようで、過去に実施したインタビューでは「僕にとって『美女と野獣』は、ディズニー作品で最初に関わらせていただいた記念すべき作品。この作品をやることで、これから声優としてやっていけるんじゃないかという自信を持てた作品です」と自身のキャリアにおいて重要な作品になったことを明かしていた。

【写真を見る】あの役も山ちゃんだった!ディズニーに欠かせない声優、山寺宏一が演じたキャラクターを振り返り
【写真を見る】あの役も山ちゃんだった!ディズニーに欠かせない声優、山寺宏一が演じたキャラクターを振り返り『シンデレラ』ディズニープラスで配信中[c] 2023 Disney

いまや声優スキルの高さから“七色の声を持つ男”と言われている山寺だが「期待されるのはいいことだと思うし、それに応えたいとは思います。でも、声の仕事って、そんなに完璧にできるわけがないんですよ。微妙なニュアンスまで僕に出せるのか?ほかの人がやった方がもっとよかったんじゃないか?と思う時も多々あります。でも、期待されることがうれしいので、やってやろう!とは思います」と、1つ1つの仕事に対してあくまでも謙虚な姿勢で、試行錯誤をしながら期待に応えてきたことがうかがえる。

愛らしい動物たちから、真実の愛を囁くいい声すぎるキャラクターまで

『ムーラン』の守護龍ムーシューも山寺宏一が吹替声優を担当
『ムーラン』の守護龍ムーシューも山寺宏一が吹替声優を担当『ムーラン』ディズニープラスで配信中[c] 2023 Disney

ディズニー作品における山寺といえば、ドナルドダックなどの動物の鳴き声系から、『アラジン』のジーニーなどの愉快なマシンガントークキャラ、“イケボ”を最大限に生かした『美女と野獣』の野獣などのシリアス系キャラまで、様々な役柄を好演してきたがどれも印象に残るものばかり。

例えば、ウォルト・ディズニー・カンパニー本社のお墨付きであるドナルドダック役は、声帯を使わず息を使って楽器のようなイメージで声を出しているそうだが、まさに山寺にしかなし得ないようなスキルの高さだ。そういう愛らしい動物らしさを絶妙な塩梅で入れ込んだ「リロ&スティッチ」シリーズのスティッチも、愛くるしさとやんちゃさを内包した声色がすばらしかった。

『シンデレラ』(50)では、シンデレラのためにドレスをあつらえる愉快なネズミのジャック役を、野獣役では孤独さや尊厳と共にベルへの至高の愛を表現。アニメ版、実写版ともに演じた『アラジン』のジーニーや『トレジャー・プラネット』(02)のロボットB.E.N(ベン)、『ムーラン』の守護龍ムーシューなど、おしゃべりなお調子者キャラにも定評があるし、「シュガー・ラッシュ」シリーズのラルフなど、ヒロインを支える重要なポジションのキャラも数多く演じてきた。特筆すべき点は、山寺は似たようなキャラクターを演じる時も、少しずつ声色を変えていて、きっちりと演じわけているところで、これぞ匠の技といっても過言ではないだろう。


「シュガー・ラッシュ」のラルフ役では、無骨ながらも優しいキャラクターを見事に表現
「シュガー・ラッシュ」のラルフ役では、無骨ながらも優しいキャラクターを見事に表現『シュガー・ラッシュ』ディズニープラスで配信中[c] 2023 Disney

とはいえ、「シュガー・ラッシュ」のラルフ役を演じた際に実施したインタビューでは「いままでのディズニー作品だったら、ほかの人は出せないであろう声のキャラクターが多かったんです。ドナルダックとかスティッチとか、たいてい発声自体がやっかいなものが多くて。でも、今回はラルフ役ってことで、『これ、僕でいいんですか?』と思いました。というのも、ラルフのようなガタイのいいキャラクターを、主役としていただいたことはあまりなかったので」と最初は戸惑いもあったとか。

でも、結果的には「本当にやり甲斐のある役でうれしかったです」と語る山寺。「ラルフは悪役ですが、ゲームの中で悪役を演じているだけで、今回はそのバックステージ、すなわち私生活を描くわけで。本当はとても優しく、ちょっとマヌケなところもあるラルフ。いろんな面を持っているので、それをまとめて出すのに苦労しました」というコメントからも、常にキャラクターの内面に寄り添い、声を当ててきたのかという姿勢が垣間見える。


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