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「木材が頭部を突き刺すトラックを設計した」イーライ・ロス監督が語る、R18+ホラー『サンクスギビング』で挑んだ殺戮の極意

インタビュー

「木材が頭部を突き刺すトラックを設計した」イーライ・ロス監督が語る、R18+ホラー『サンクスギビング』で挑んだ殺戮の極意

「殺しがうまくいった時は本当に最高の気分です」

長編映画『サンクスギビング』の舞台となるのは、感謝祭発祥の地であるマサチューセッツ州のプリマス。年に一度の感謝祭に人々が湧き立つなか、ダイナーで働く女性が何者かに惨殺される事件が起こることから物語は始まる。

その後も一人、また一人と消えていく住民たち。彼らは皆、料理器具を凶器に、感謝祭の食卓に並ぶご馳走に模した残酷なやり方で殺害されていた。街中が恐怖のどん底に突き落とされるなか、地元の高校の仲良しグループのジェシカたちは、ジョン・カーヴァーを名乗る謎のインスタグラムの投稿にタグ付けされていることに気が付く。そこには豪華な食卓が用意され、自分たちの名札が意味深に配されていた。

感謝祭発祥の地で、感謝祭の食事に見立てた残虐な殺人事件が勃発
感謝祭発祥の地で、感謝祭の食事に見立てた残虐な殺人事件が勃発

「すべての殺戮は、私たちの恐怖と血の基準を満たしていなければなりませんでした」と、ロス監督はスラッシャー映画の醍醐味と、それに対する飽くなきこだわりを貫いたことを力説する。「もし映画がその約束を果たせなければ、私たちは死んでいたでしょう。フェイク予告編で自分が成し遂げたレベルに合わせようとするだけでなく、可能な限りそれを上回ろうとしました」。

そこでロス監督は、絶大な信頼を置くプロセティック(補装具)の権威であるエイドリアン・モロットと話し合いを重ね、“いままでで最も美しい頭部と体の部位”を作りあげていったという。「どんなに美しくても、肉叩きで潰されなければなりません。どうすれば自分たちを凌駕できる殺戮ができるのか。自分たちだけでなく、他のどの映画をも超えなければなりません。最高の殺しをするのは、私たちにとって名誉なこと。すべての死において、私たちは傑作を生み出そうとするのです」。

ジョン・カーヴァーという殺人鬼の正体は…
ジョン・カーヴァーという殺人鬼の正体は…

劇中に登場する数多の殺戮シーンのなかでもロス監督が「最高の殺戮」と語るのは、“ピノキオの死”と呼ぶ感謝祭のパレードでのシーン。「車の後部ウィンドウから木材を突っ込み、偽物の頭部に突き刺すトラックを設計しました。そこには孫役の子どもたちに血と脳みそを吹きかけるチューブが仕掛けられています」と説明し、「言うは易く行なうは難し、というやつです」と続ける。

「最初の3回は木が血のチューブに絡まってしまいました。間違った方向に顔が裂けたり、顔が外側に爆発するのではなく伸びているように見えてしまったり。最終的にエイドリアンが船首のサイズを変える必要があると判断し、見事に顔が裂けて子どもたちに血の雨が降り注ぎました。そのように、うまくいかないことはいくらでもあります。無事にカメラに収まったと分かるまではリラックスなんてできません。でも殺しがうまくいった時は本当に最高の気分です」。

残虐な殺戮シーンがたっぷり!早くも続編の制作が決定している
残虐な殺戮シーンがたっぷり!早くも続編の制作が決定している

こうしてストーリーから殺戮シーンまでこだわりを貫き、16年越しの夢を結実させたロス監督は「毎年、感謝祭の夕食のたびに皆が悲鳴を上げてくれることを願っています。これ以上の映画は撮れない。もう思い残すことはありません」と断言するほど。それでも先日、北米での大ヒットを受けて早くも続編の制作が決定。ロス監督は自身のSNSで「絶対にいい脚本を書き上げ、自分たちが作ったものを超えるつもりです!」と、殺戮シーンをさらに進化させることを宣言。


まずはこの年末年始、ロス監督が強い自信を持って放つ怒涛のスラッシャーを映画館のスクリーンで目撃してみてはいかがだろうか。

構成・文/久保田 和馬

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