幻の不採用デザインも公開!『ザ・クリエイター/創造者』で渡辺謙らが演じた“AIシミュラント”ができるまで
『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(16)のギャレス・エドワーズ監督が、実際に起こりうる人類とAIの戦いを描いた感動の近未来SF超大作『ザ・クリエイター/創造者』(23)が早くもディズニープラス「スター」で見放題独占配信中だ。2月7日(水)にはブルーレイ+DVDセット、4K UHDでも発売される本作のボーナス・コンテンツから、作品の肝ともいえるAIシミュラント(模造人間)のデザイン過程を追ったメイキング映像を独占入手した。
物語の舞台は、いまからそう遠くない近未来で、人類とAIの戦争が激化した世界。元特殊部隊のジョシュア(ジョン・デヴィッド・ワシントン)は、人類を滅ぼす兵器を創りだした“クリエイター”暗殺の命を受け向かった先で、純粋無垢な超進化型AIの少女アルフィー(マデリン・ユナ・ヴォイルズ)と出会う。暗殺対象だったはずのアルフィーだが、ジョシュアは“ある理由”から、彼女を守りぬくと誓い行動を共にする。やがて、人間のジョシュアとAIのアルフィーの間に絆が芽生えていく。
解禁された映像では、作品が成功するためのカギを握る要素だからこそ、AIのデザインについて決めるのに苦労したというエドワーズ監督が「(デザイナーと)気まずくなるくらいギリギリまで粘りました」と告白。プロダクションデザイナーのジェームズ・クラインは監督について、「早く結論を出すのが嫌いで、いろいろ試してみたいタイプだからこそ、デザイナーもあらゆる可能性を検討し続け、そのプロセスを守った」と語る。研究室で実験をするようにいろいろ試作しながら、次世代AIの姿を創りだす作業はワクワクしたそうだ。
また、アルフィーや渡辺謙演じるハルンといったAIシミュラントの姿を決める過程でのこだわりは、のどを胴体としっかりつなげて人間味を出すことだったという。映像ではたくさんのシミュラントのアイデアが紹介され、目の下と頭の間に空洞ができていたり、ほとんどが鉄でできていたりと、完成形のシミュラントに比べ“AIらしさ“が強いデザインが続く。難しかったのは「見た目でロボットとわからせたいのに、それをやりすぎると感情移入できなくなる点です」と監督は言い、だからこそのどを胴体とつなげることで、「見た目は異質でも人間らしさを出せた」と力強く語っている。
複雑な過程を経てついにできあがった完成形は、前から見ると耳がなく、髪で隠すと人間らしくなる一方で、横を向けばロボットだとわかる、というシミュラントだ。監督とデザイナーが試行錯誤の末に創り上げた過程や、残念ながら不採用となった幻のシミュラントも複数登場する貴重な映像は、実に興味深い。
かつてない世界観で描かれるAIと人間の関係を超えた、壮大な“愛”の物語『ザ・クリエイター/創造者』を、ぜひブルーレイ+ DVDセット、4K UHDやデジタル配信で楽しんでほしい。
文/山崎伸子