『ザ・クリエイター/創造者』の原点は20年前に観た「子連れ狼」!?ギャレス・エドワーズ監督が明かした制作秘話|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
『ザ・クリエイター/創造者』の原点は20年前に観た「子連れ狼」!?ギャレス・エドワーズ監督が明かした制作秘話

インタビュー

『ザ・クリエイター/創造者』の原点は20年前に観た「子連れ狼」!?ギャレス・エドワーズ監督が明かした制作秘話

『GODZILLA ゴジラ』(14)、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(16)と立て続けに超大作を手がけ、世界を圧倒したギャレス・エドワーズ。その監督最新作は、人類とAIが戦争状態に陥った近未来を舞台にしたSFアクション大作『ザ・クリエイター/創造者』(公開中)だ。フランチャイズの絶対王者を経て取り組んだのは、オリジナルストーリー。デビュー前から温めてきたというアイデアをベースに、これまでにない物語を作り上げたエドワーズ監督に、その映画術を聞いた。

AI搭載のヒト型ロボットが社会に浸透していた21世紀半ば。AIが引き起こしたロサンゼルスの核爆発を機に、アメリカを中心にした西側諸国はAIに宣戦を布告。いまだAIとの共存を続けようとする“ニューアジア”へも攻撃を繰り返していた。元特殊部隊員のジョシュア(ジョン・デヴィッド・ワシントン)は、人類を滅ぼす新兵器を生みだしたという創造者=クリエイターの暗殺を命じられ、ニューアジアに潜入。しかしクリエイターのラボで発見した兵器とは、幼い少女型のAI“アルフィー”(マデリン・ユナ・ヴォイルズ)だった。

「日本語の看板を見かけたことがきっかけなんです」

ある理由で、暗殺対象だったアルフィーを守ると決めたジョシュア
ある理由で、暗殺対象だったアルフィーを守ると決めたジョシュア[c]2023 20th Century Studios

エドワーズ監督が本作の元になるアイデアを思いついたのは2000年のこと。卓越したアイデアとビジュアルセンスで絶賛された長編デビュー作『モンスターズ 地球外生命体』(10)より10年も前のことだった。「原点はテレビでたまたま観た日本の時代劇『SHOGUN ASSASSIN』(『子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる』と『子連れ狼 三途の川の乳母車』を再編集した海外版)だった。父親と小さな子どもが旅をするビジュアルや、2人の関係性もすごくよかった」とふり返る。カメラマンが社長令嬢を連れて巨大怪獣から逃げる『モンスターズ』も、「子連れ狼」を膨らませたものだったという。「でも子役を使うと撮影時間が限られてしまうなど手間や予算がかかるので、親子のアイデアはポケットにしまうことにしました」と、本作が20年越しの企画だったと明かしてくれた。

人間とAIの混在世界を描いた本作の時代設定は2070年。テクノロジーの進歩を考えると絶妙なさじ加減だが、その根拠をたずねると意外な答えが返ってきた。「SF映画で避けるべき要素の1つは、年代を限定しないことだと思います。『2001年宇宙の旅』を観てもわかりますが、天才スタンリー・キューブリック監督ですら未来の予測を誤ってしまうんです。とりあえず2070年にしておけば、その時に僕はこの世にいないはずだからなにを言われようと気にならない(笑)。でもAIを取り巻く状況を考えると、もっと近い未来にしておいてもよかったかもしれないですね」。

アジア各国の文化や言語が混在する『ザ・クリエイター/創造者』の世界観
アジア各国の文化や言語が混在する『ザ・クリエイター/創造者』の世界観[c]2023 20th Century Studios

環太平洋の国々からなる“ニューアジア”を舞台にした本作は、アジア各国の言葉やカルチャーが散りばめられた世界観も見どころ。そのなかで、特に大きく扱われているのが日本で、看板から映画テロップまで画面のいたるところに日本語が踊っている。ゴジラの大ファンで、「子連れ狼」の影響を受けたというエドワーズ監督ならではだが、この日本語表記についてはまた別の元ネタがあるという。「ある時、日本語の看板を見かけたことがきっかけなんです。『ローグ・ワン』を撮り終えたあと、アメリカ人である彼女の両親に会うため車で旅行をしている途中、農地の真ん中にポツンと工場が建っていました。日本語で描かれた工場のロゴが印象的で、そこからインスピレーションを受けたんですよ」。


東京の街とギャレス・エドワーズ監督。本作は日本での撮影も行われた
東京の街とギャレス・エドワーズ監督。本作は日本での撮影も行われた撮影/黒羽政士

日常のなかから映画のヒントを得ることも多いとエドワーズ監督はいう。「少し意識をしているだけで、普段の暮らしのなかからアイデアはどんどん浮かんできます。釣りをするような感覚かな(笑)。逆になにかを考えなきゃと思うとダメですね。追いかけると逃げていく蝶と同じ。昨日も音楽を聴きながら東京の街をぶらぶらしていたら、いろんな刺激をもらいました。そのすべてが使えるわけじゃないけれど、少しずつ蓄積したアイデアからピックアップするんです」と監督式の発想法を明かしてくれた。

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