森崎ウィンが語る「ガンダム」の本質「戦争や差別が描かれ続けているのは、人類が成長していない証」
テレビ放送から約20年の時を経て、「機動戦士ガンダムSEED」シリーズ待望の新作『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』が1月26日(金)に公開される。キラ・ヤマト役の保志総一朗、ラクス・クライン役の田中理恵、アスラン・ザラ役の石田彰などおなじみのキャストに加え、今作にはアウラ・マハ・ハイバル役の田村ゆかり、オルフェ・ラム・タオ役の下野紘など新キャストが多数参加していることも話題となっている。
MOVIE WALKER PRESSでは、新キャストであるグリフィン・アルバレスト役の森崎ウィンにインタビューを敢行!スティーヴン・スピルバーグ監督の『レディ・プレイヤー1』(18)では、ダイトウ/トシロウ役としてガンダムに乗って戦うシーンを演じた経験のある森崎に、ガンダムシリーズに出演することへの想いなどを語ってもらった。
「僕らが抱えている問題や考えるべき課題を代弁してくれている、実に深い作品」
『レディ・プレイヤー1』では『俺はガンダムで行く!』というセリフもありましたし、ガンダムに乗った役者というご縁もあって、今回キャスティングしていただけたと思っています。今回のお話をいただく前に、たまたま『ガンダムSEED』を観ていたのですが、『こんなに絵がきれいなガンダムがあるんだ!』と印象に残っていて。オファーをいただいた時は『あのSEEDの続編だ!』と驚きました」。
そう語る森崎は、『レディ・プレイヤー1』への出演をきっかけに、ガンダムの世界に魅了されたという。日本テレビ系「アナザースカイ」に出演した際には、『レディ・プレイヤー1』の撮影が行われたイギリスプラモデル店から、「νガンダム」のガンプラをプレゼントされ、作っている様子の動画をファンクラブのサイトにあげたこともある。今作の出演が決まった時は、改めて「機動戦士ガンダム」や「機動戦士Zガンダム」などを観直し、様々なことを感じたと話す。
「『ガンダム』というものの本質に触れたかったし、そもそも『ガンダム』とはどういうものなのか、歴史を辿りたいと思ったんです。観て思ったのは、これだけ長い間支持されているシリーズのどれもが、戦争や紛争、差別などに対する想いを描いていて、地球か宇宙かという領土的な問題もあったり…。本来は戦争も差別もなくなって、『こういうテーマはもう過去のものだよね』と言われなければいけないはずなのに、何度もこういうテーマが描かれ続けているのは、人類が成長していないことの証なのかもしれないなって思いました。ガンダムシリーズはそういう悲しい現実に対して、しっかりとメッセージを訴え続けてくれていて、とても意義がある作品だなと感謝の気持ちを覚えます。コロニーとかモビルスーツとか、現代ではまだ実現できていないたくさんの未来的なワードが出てきて、それは単純に格好いいし少年心をくすぐってワクワクするものですけど、蓋を開けてみると、いまの僕らが抱えている問題や考えるべき課題を代弁してくれている、実に深い作品だなと改めて思いました」。
「最初にシナリオを読んだ時は『うわ~キツイな~』と同情しました」
「機動戦士ガンダムSEEDシリーズ」は、遺伝子を調整され生まれながらにして優れた身体能力や頭脳を持つ人類(コーディネイター)と、自然のままに生まれた人類(ナチュラル)の戦いを描いた作品。今作は、2004年から2005年に放送されたシリーズ2作目となる『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の約2年後の戦いが描かれいる。いまだに続く戦いを沈静化するべく、“世界平和監視機構コンパス”を設立し各地の戦闘に介入していたキラたちは、新興国ファウンデーションから、反コーディネイター団体である“ブルーコスモス”本拠地への合同作戦を提案される。
森崎の演じるファウンデーションの精鋭部隊であるブラックナイトスコードの隊員グリフィン・アルバレストは、とても戦闘能力が高く、自分の信念を強く持っているのだと話す。「彼にとって女王アウラや宰相オルフェは生きる理由であり、アウラやオルフェのためなら自分が戦争の駒に過ぎないとわかっていても、死ぬのも覚悟して突っ込んでいきます。最初にシナリオを読んだ時は『うわ~キツイな~』と同情しましたが、誰かのために『死んでもいい』なんて、普通はなかなか言えないこと。彼の側に立って考えてみると、それは誇りで、それだけ壮絶な世界に生きているのだと感じました。ただ、僕はこういう世界に生きたことがないので、グリフィンの気持ちを100%理解することは難しかったです。けれど、自分の目標に向かって信念を持って突き進む姿勢は、僕自身も芸能界やこの仕事に対して持っているものだから、そこに気持ちを置き換えて『グリフィンはこれくらい強い気持ちでやっているのかな』と想像しながら役作りをしました」。