これから始める「ガンダムSEED」基礎知識!イラスト付きで『FREEDOM』までの世界観を解説
2度の戦乱を経験したキャラクターが育んだ絆
そして『FREEDOM』の舞台であるC.E.75では、キラたち登場人物の関係も「DESTINY」から大きく変化している。キラは、“世界平和監視機構コンパス”に所属し、ラクスが総裁を務める同組織には、マリュー・ラミアスやムウ・ラ・フラガといったアークエンジェルのクルーをはじめ、シンやルナマリアも参加している。
終わりのない戦乱に疲弊していたキラに、ラクスは寄り添おうとするが、すれ違いから徐々に心の距離が開いていった。また、かつてはキラと敵対していたシンだったが、当時のわだかまりは解消したようで、年相応の振る舞いを見せるようになっている。一方アスランはコンパスには所属せず、メイリンと共に国家間の情報伝達などを担う隠密組織の“ターミナル”に出向し活動していた。また、カガリはオーブに残り、国家の首長として政治の面で彼らを支えようとしている。
デュランダル議長が提唱する「デスティニープラン」とは
『FREEDOM』の物語に関わってくる要素である、「DESTINY」でデュランダル議長が提唱した「デスティニープラン」についても説明しよう。このプランの骨子は、遺伝子調査と分析により最適な職を提供する社会システムを構築するというものである。出自などに関係なく最適な職が与えられ、それが将来的な不安や差別意識を払拭、最終的には恒久的な平和が確立されるというメリットがあった。これは、コーディネイターとナチュラルの対立が、深刻な戦乱を生み出している経緯からは理にかなったもので、多くの国がプランに賛成した。
一方で、この遺伝子至上主義ともいえる社会の到来は、自由や自主性を損なうと同時に人の可能性を否定するというデメリットもあった。自身の持つ遺伝子によってその後の人生すべてを決定し、別の道を選ぶことは許されない。最終的にはデュランダル議長が戦死したため、プランは中止されたが、その萌芽は残されたままとなっている。
『FREEDOM』で描かれる新たな勢力と陰謀の胎動
ここまでで『FREEDOM』を楽しむためのポイントを解説してきたが、最後に改めて本作の物語を説明しよう。地球連合とプラントの2度目の戦争が終結したが、世界はまだ混迷した状態にあった。C.E.75においても各地では独立運動が起こり、そしてブルーコスモスによる破壊活動が行われていた。こうした状況に対応するため、オーブ、プラント、大西洋連邦は、世界平和監視機構コンパスを創設。ラクスは初代総裁に着任すると、キラたちと共に各地の戦争の沈静化にあたっていた。
コンパスは、ユーラシア連邦から独立を果たした新興国ファウンデーション王国から提案された、ブルーコスモスの拠点への合同作戦を受諾する。しかし、その裏ではファウンデーションによる策謀が隠されていた。
本作の福田己津央監督は、「ストレートに『「DESTINY」から2年後なんだな』とだけ思って観てほしい」と語っている。今回紹介した基礎知識や世界観をもとに、ぜひ劇場で『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』で描かれる深みあるドラマを堪能しつつ、「ガンダム」らしいモビルスーツによる迫力あるバトルシーンも味わってほしい。
文/高村泰稔 イラスト/チヤキ