アカデミー賞11部門ノミネート『哀れなるものたち』俳優陣が絶賛する世界最高峰の映画美術に迫る!
第80回ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞し、第96回アカデミー賞では作品賞や主演女優賞をはじめ11部門にノミネートされた『哀れなるものたち』(公開中)から、世界最高峰の映画美術に迫る特別映像が解禁された。
本作は『女王陛下のお気に入り』(18)を手がけたヨルゴス・ランティモスが監督を務め、主演にエマ・ストーンを招いた冒険譚。ロンドン、リスボン、広大な海に浮かぶ豪華客船、パリ…といった様々な土地や場所を舞台に、天才外科医の手によって奇跡的に蘇生した女性ベラ(ストーン)が映画史上もっとも大胆な旅を活写する。
本作の、壮麗かつ緻密な世界を作り上げていくうえで重要なポイントの1つとして美術セットが挙げられる。ベラが住む世界をゼロから構築した本作の美術に迫る特別映像では、ストーンをはじめ、マーク・ラファロ、ウィレム・デフォー、ラミー・ユセフ、そして監督のランティモスといった豪華キャストとスタッフが登場。ランティモスが「本作では、ベラが見て感じるままの世界を創造すべきだと思った」と語り始めると、スタッフが高所作業車でセットを組み立てる様子や、街の一角に水辺を作り上げる大規模なメイキングシーンが映しだされる。ロンドン、リスボン、パリの街並みや船内などのセットを捉えた散策映像と、バクスター家の最終セットの3D映像からは、本作のために作り上げられた世界の壮大さがうかがえる。
本作の美術を手掛けたのはジェームズ・プライスとショーナ・ヒース。ストーンは「最初にセットのカタログを見たときは感動しました。2人の異なる感性が見事に調和していた」と語り、続けてラファロは「彼らが作り上げた世界はビクトリア朝で夢のようできらびやか。視覚に強烈に訴えかける」、そしてデフォーは「我々が語る物語そのものです。洗練された美意識とユーモアがある」と、数多くの作品に出演してきた俳優たちが口を揃えて彼らの手腕に賛辞を贈る。
セットは壮大なだけではなく緻密さも兼ねそろえており、ストーンは“魚や海藻が描かれた天井”や“耳のついた鏡”、“街の景観が縫い込まれた寝室の壁”など本作でしか味わうことのできないオリジナリティあふれる美術を紹介しながら「ベラの寝室で暮らしたいです」と思い入れを語る。続けてユセフも「セットが自分と役をつなげてくれました。なにも作る必要はなかった。すべてそこにありますからね」と称賛。また、映像の最後には最新技術とミニチュア模型や風景画などの昔ながらの手法を組み合わせて撮影が行われたことも明かされ、唯一無二の世界観を作り上げるうえでの並々ならぬこだわりが見て取れる。
世界最高峰のスタッフとキャストが集結し、前代未聞の物語を強烈なビジュアルで映像化した本作。映画美術の魅力に迫った特別映像を見ると、この映画もスクリーンで見たくなるはずだ!
文/スズキヒロシ