殺人マスコットの惨劇を描いたホラー『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』など週末観るならこの3本!|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
殺人マスコットの惨劇を描いたホラー『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』など週末観るならこの3本!

コラム

殺人マスコットの惨劇を描いたホラー『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』など週末観るならこの3本!

週末に観てほしい映像作品3本を、MOVIE WALKER PRESSに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!
週末に観てほしい映像作品3本を、MOVIE WALKER PRESSに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!

MOVIE WALKER PRESSスタッフが、いま観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画「今週の☆☆☆」。今週は、襲い掛かるマスコットとの攻防を描いたホラーゲームの実写化、他人に理解されにくい生きづらさを抱える男女の特別な絆を描くヒューマンドラマ、事件解決率100%を誇る男が巨悪に挑む犯罪エンターテインメントの、困難を乗り越える主人公を描いた3本。

目や耳などの凝った動きがリアルさを盛り上げる…『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』(公開中)

【写真を見る】主人公マイクはとある廃墟レストランの夜間警備員として働き始める(『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』)
【写真を見る】主人公マイクはとある廃墟レストランの夜間警備員として働き始める(『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』)[c] 2023 Universal Studios. All Rights Reserved.

殺人マスコットの惨劇を描いたホラー映画。潰れたピザレストランの夜間警備員になったマイク(ジョシュ・ハッチャーソン)は、店内で機械仕掛けの動物マスコットたちが動きだすのを目撃する。原作は同名のゲームだが、殺人マスコットとの攻防戦を描いた原作に対し、映画のメインは心に闇を抱えたマイクの成長。弟が行方不明になった幼少期のトラウマや、妹の親権を奪おうとする叔母との確執を、マスコットとの争いを通して乗り越えていく姿が描かれる。

ニコラス・ケイジ主演の『ウィリーズ・ワンダーランド』(21)でもよく似た殺人マスコットとの死闘が描かれていたが、本作は心理スリラーの色合いが強く、「ハンガー・ゲーム」シリーズで心を病んでいくピータを好演したジョシュ・ハッチャーソンというキャスティングはドンピシャだ。スーツとアニマトロニクスによるマスコットは、「セサミストリート」など子ども番組から『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(19)など大作映画まで幅広く手がけているジム・ヘンソン・クリーチャー・ショップが担当。いい感じに安っぽい原作のデザインをみごと再現しただけでなく、目や耳などの凝った動きがリアルさを盛り上げる。こういったディテールへのこだわりが、ジャンル映画をレベルアップさせるのだとあらためて思い知らされた。(映画ライター・神武団四郎)

もがきながらも必死に前を向いていこうとする姿を見て救われる人もきっといるはず…『夜明けのすべて』(公開中)

同僚として出会った2人が特別な関係性へとなる様を描きだす『夜明けのすべて』
同僚として出会った2人が特別な関係性へとなる様を描きだす『夜明けのすべて』[c]瀬尾まいこ/2024「夜明けのすべて」製作委員会

この世界には同じ人間などいない。違っているのが当たり前だし、みんなそれぞれの人格や思考、独自の感覚や夢を持っていて、他人には分からない葛藤や悩みを抱えていたりするものだ。瀬尾まいこ(「そして、バトンは渡された」)の同名小説を『ケイコ 目を澄ませて』(22)の三宅唱監督が映画化した本作は、そんな若い男女の他人には理解されにくい、けれど、当人たちにとってはかなり大きな問題の障害にスポットを当てたヒューマン・ドラマ。上白石萌音が演じたヒロインの藤沢美紗は雨のバス停で座ったまま、壊れた傘の前で動かない。駆けつけた警察官の前でバッグやポケットの中の物を次々に投げ捨てる。一方、松村北斗が扮した山添孝俊は転職してきたばかりだというのに、やる気がなさそうだ。そんな彼にあることがきっかけで美紗がキレてしまうのだが…。

観客の多くは、最初のうちはなにが起きているのか分からないかもしれない。普段はおおらかなのに突然キレる美紗に戸惑うかもしれないし、他人を避けるような松村の言動を受け入れられないかもしれない。けれど、次第に美紗が月に一度、イライラを自分でも制御できなくなるPMS(月経前症候群)を抱えていて、孝俊がパニック障害で仕事の夢も恋も諦めてしまったことが分かってくる。そんな、同様の疵を持ったふたりが出会い、もがきながらも必死に前を向いていこうとする姿を見て救われる人もきっといるはずだ。昨年の『正欲』(23)、今年公開の『52ヘルツのクジラたち』(3月1日公開)にも本作の2人と同じような悩みを持つ人物が登場するが、個々の障害はその人の個性でもあるのだ。生きづらい世の中だからこそ、そのことに気づき、互いに寄り添えるようにしたい。そう思わせてくれる心優しい映画だ。(映画ライター・イソガイマサト)

気持ちよく騙され、思わずニンマリ…『ジェントルマン』(公開中)

チュ・ジフンが成功率100%の探偵チ・ヒョンスに扮する『ジェントルマン』
チュ・ジフンが成功率100%の探偵チ・ヒョンスに扮する『ジェントルマン』[c] 2022 CONTENTS WIVIE & TROOXSTER ALL RIGHTS RESERVED.

正直、既視感を覚える。特に韓国映画、ドラマと聞けばなおさら――でありつつも、どうして絶好調の韓国エンタメ界の勢いを感じずにはいられない、やっぱり余裕で及第点以上の面白さ。興信所の社長をする若い男が、捜査中に何者かに襲われ、あろうことか自分が事件の容疑者に。とっさに彼は、一緒に搬送された意識不明の検事になりすまし、捜査を続けるが――。社員はほぼ自分だけという一見ショボい興信所だが、依頼された事件は100%解決するという優秀な男、というのがミソ。何度も危険にさらされながらも、実は計算づく!?と思わせる切り抜け方が痛快。

スピーディーに展開していく事件や捜査状況にくらいつこうと、目の前の出来事をなにも見逃すまいとガン見していると、実は…と俯瞰していくとビックリ!「神と共に」シリーズの観眼麗しきチュ・ジフンの、シリアスとコミカル自在の空気感やカッコ良さに惚れ惚れ!悪役で目にすることの多いパク・ソンウンが、本作でもイヤ~な味で好演。政財界へと広がっていくこんな事件、日本でもありそうと思わずにいられず、その勧善懲悪のラストに喝采!気持ちよく騙され、思わずニンマリ。(ライター・折田千鶴子)


映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて。

構成/サンクレイオ翼

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