マシュー・ヴォーン最新作『ARGYLLE/アーガイル』が北米No. 1スタート!“2億ドル”で獲得したAppleの大作戦略の成否は?|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
マシュー・ヴォーン最新作『ARGYLLE/アーガイル』が北米No. 1スタート!“2億ドル”で獲得したAppleの大作戦略の成否は?

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マシュー・ヴォーン最新作『ARGYLLE/アーガイル』が北米No. 1スタート!“2億ドル”で獲得したAppleの大作戦略の成否は?

まだ閑散期が続いている先週末(2月2日から4日)の北米興収ランキングは、上位に食い込む新作タイトルが2本だけにもかかわらず、3週連続で首位を守り続けていた『Mean Girls』が一気に6位まで急降下。新たに首位に立ったのはマシュー・ヴォーン監督の最新作『ARGYLLE/アーガイル』(3月1日日本公開)だ。

凄腕のエージェントを主人公にした大人気小説を執筆している作家が、実在するスパイ組織の活動と偶然にも一致するストーリーを書いたことから追われる身となってしまうという『ARGYLLE/アーガイル』。3605館の大規模で公開を迎え、初日から3日間で興収1747万ドル。ヴォーン監督の出世作『キック・アス』(11)のオープニング興収をわずかに下回る数字で、少々物足りない出足に。まずは北米だけで興収5000万ドル超えが最初の大きな目標となるだろう。

Appleが2億ドルという破格の金額で権利を獲得したことで大きな注目が集まっていた本作。Appleといえば近年映画事業への参入に積極的で、リドリー・スコット監督の『ナポレオン』(23)やマーティン・スコセッシ監督の『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』(日本公開中)にも出資したことでも知られている。

興行的な成功よりも、配信サービスへの宣伝効果を重視!?Appleの戦略はこれまでの映画界の常識を覆す
興行的な成功よりも、配信サービスへの宣伝効果を重視!?Appleの戦略はこれまでの映画界の常識を覆す[c]Everett Collection/AFLO

この2作はどちらも第96回アカデミー賞で複数部門にノミネートされているのだが、前者は1億6500万ドルの製作費に対して全世界興収が2億1900万ドル、後者は2億ドル超の製作費に対し全世界1億5600万ドルと、興行面では赤字収支が確定的。それでもAppleは、これらの作品を通してApple TV+への加入者を増やすという“投資”に成功しており、今後も従来の映画界の常識にとらわれないかたちで参入を続けていくことになるだろう。

『ARGYLLE/アーガイル』がどのぐらいの収益に落ち着くかはまだ見通しが立たず、Appleの戦略をもってしてもかなり厳しい戦いを強いられていることは否めない。とはいえイギリスでは好調なスタートを切っており、ヴォーン作品の人気が高い韓国など海外での興行的な成功は充分に期待できると「Deadline」も報じている。公開前からシリーズ化の計画や「キングスマン」シリーズとのシェアード・ユニバース化の可能性が示唆されている作品だけに、今後の動向は要注目だ。

【写真を見る】マシュー・ヴォーン監督の“2億ドル映画”にはすでに続編計画も?一部では「キングスマン」とのリンクが話題に
【写真を見る】マシュー・ヴォーン監督の“2億ドル映画”にはすでに続編計画も?一部では「キングスマン」とのリンクが話題に[c]Universal Pictures

一方、2位に初登場を果たしたのは、2017年に放送がスタートしたイエス・キリストの生涯を描くドラマシリーズ「The Chosen」の最新シーズンの1話から3話までを劇場上映するイベント上映。同作は全世界で1億人以上が視聴したとされる人気作で、最初に劇場上映に踏み切ったのはコロナ禍の影響が残っていた2021年12月。クリスマススペシャルとして期間限定ながら興収1372万ドルを記録し、映画館への客足復活に一役買ったことでも知られている。


その後もFathom Eventsの提供のもと、2022年11月にシーズン3の1話と2話を、翌年2月には同シーズンの最終話を期間限定で劇場上映し、どちらも興行的な成功を収めている。今回上映されているのはシーズン4の1話から3話で、オープニング興収は594万ドル。シーズン4では3回に分けて全エピソードが2週間づつの期間で劇場上映されることがすでに決まっている。

「The Chosen」シーズン4は全エピソードが劇場上映される(写真は「Christmas with The Chosen: The Messengers」より)
「The Chosen」シーズン4は全エピソードが劇場上映される(写真は「Christmas with The Chosen: The Messengers」より)[c]Everett Collection/AFLO

劇場での鑑賞を念頭においた壮大な映像づくりなども盛り込まれているとのことで、そういった点に関しては現在日本でテレビ放送に先駆けて劇場上映されている「鬼滅の刃」ともどこか通じるものがある。先述のAppleの映画事業戦略も然り、テレビや配信サービスと劇場用作品の垣根は今後どんどん取り払われていくのだろう。

文/久保田 和馬

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