『パスト ライブス/再会』のグレタ・リー、役作りを支えたのは“ビリー・アイリッシュの曲“

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『パスト ライブス/再会』のグレタ・リー、役作りを支えたのは“ビリー・アイリッシュの曲“

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(22)を生みだしたA24と、『パラサイト 半地下の家族』(19)を配給した韓国のCJ ENMが初の共同製作で贈る『パスト ライブス/再会』(4月5日公開)。本作で主人公ノラ役を演じたグレタ・リーのコメントとともに場面写真が解禁された。

【写真を見る】自身が演じた役はビリー・アイリッシュの楽曲からインスピレーションを受けていると明かしたグレタ・リー
【写真を見る】自身が演じた役はビリー・アイリッシュの楽曲からインスピレーションを受けていると明かしたグレタ・リー[c]Twenty Years Rights LLC. All Rights Reserved

本作は、ソウルで初めて恋をした幼なじみの2人が、36歳となった24年後、ニューヨークで再会する7日間を描くラブストーリー。物語のキーワードは「運命」の意味で使う韓国の言葉“縁(イニョン)”。見知らぬ人とすれ違った時、袖が偶然触れるのは、前世(=PAST LIVES)でなにかの“縁”があったから。久しぶりに会った2人はニューヨークの街を歩きながら、これまでの互いの人生について会話を弾ませながら「選ばなかった道」に想いを馳せる。メガホンをとったのは、本作で鮮烈な長編映画監督デビューを飾ったセリーヌ・ソン。作品賞ほか4部門にノミネートされた第81回ゴールデン・グローブ賞では監督賞、脚本賞へのノミネートをはたし、第96回アカデミー賞では作品賞、脚本賞の主要2部門に見事ノミネートされた。

本作で主人公ノラ役を演じたリーは、ロサンゼルス出身の韓国系移民2世。韓国人の両親を持ち、コリアンタウンとビバリーヒルズという2つのコミュニティで生まれ育った。大学で演劇を学び、卒業後ニューヨークに渡ると、2006年にテレビシリーズ「LAW & ORDER」で俳優デビューし、翌年2007年にはブロードウェイの舞台を踏んだ。以降Netflixのドラマシリーズ「ロシアン・ドール」、AppleTV+のドラマシリーズ「ザ・モーニングショー」でブレイクし注目の的に。俳優活動以外に、「ファッションはアイデンティティの探求」と語るリーは、ロエベのコレクションキャンペーンにも起用されている。ファッションアイコンでありながら、本作ではゴールデン・グローブ賞主演女優賞にノミネートされ、いま最も勢いのあるアジア系俳優だ。

リーが演じたノラは、12歳の時に家族で北米に移住したソン監督の人生を投影したキャラクターである。生まれた時からアメリカ国籍を持つリー本人とは、その生い立ちは異なるが、アメリカ社会で置かれた立ち位置は非常に近い。リーは、「アジア系アメリカ人の役ばかりを演じてきました。アジア系とはどういう人たちなのかを説明するような役」とこれまでのキャリアを振り返る。

しかし、本作との出会いで状況は一変したという。「ノラという役は、韓国系アメリカ人という前に、まず女性であり、なによりも女性であるということが第一の役でした。これまでに私が演じてきた役はもっと性格が濃いキャラクターが多くて、そういう役は大抵派手な衣装を着ていたり、しゃべり方が特徴的だったり、独特なメイクをしていたり。ですが、ノラにはそういったエッセンスが無かったので、すべてがさらけだされている感じがしました。私にとって韓国語を話すことも難しかったですし、すべてのシーンがそうでしたが、だからこそ本作での挑戦は俳優として最高の喜びでもありました」。

“なにかを成し遂げたい”という強い気持ちを抱いているノラ。移民としてカナダに渡り、そして単身ニューヨークへ。アーティスト招聘プログラムで出会った作家のアーサー(ジョン・マガロ)と結婚し、劇作家になる夢を叶え、グリーンカードも取得した。リーは、「ノラには恐れがないし、自分がどんな男性を選ぶのかで人生が決まるとも思ってない。私よりもずっと感情的な面でも知的だと思います」と笑いながら話す。

「ノラは本当にかっこいい女性。だから大好き」と、演じた本人が語るノラ。実は、このキャラクターにインスピレーションを与えたのは、ビリー・アイリッシュの「My Future」という楽曲だという。リーは、「ビリーが、“I’m in love with my future. Can’t wait to meet her(私は自分の未来に恋してる 未来の私に会うのが待ちきれない)”と歌っている曲なんです。この歌詞はノラを演じるうえでとても参考になったし、撮影中ずっと聴いていました。私も自分の生きている人生を愛することこそ、最大のロマンスだと思っています」と話す。また、監督のソンはアイリッシュとサンダンス映画祭のオープニングで話す機会があったそう。リーが「My Future」を聴いて現場にいたことを思い出しながら、アイリッシュに対面した時のことを「最高にクールだった!」と語っている。

アメリカ系ユダヤ人の旦那を持つノラのように、私生活では俳優でプロデューサーのラス・アームストロングと結婚し、二児の母でもあるリー。そんな彼女が体現した、“移民としてアメリカ社会で揉まれながら、人生の選択を繰り返していくノラ”を支えたのは、Z世代の先駆者として世界に力強いメッセージを送り続ける最旬のディーバだった。


自分の人生を見つめ、未来に期待して愛することの大切さを、ぜひ『パスト ライブス/再会』で体感してほしい。

文/山崎伸子

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