『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』が初登場No. 1!盤石の地位を築く国民的アニメが見せたアップデート
3月1日から3月3日までの全国映画動員ランキングが発表。前週まで2週連続でトップを快走していた『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』(公開中)のV3を阻止したのは、春休みの風物詩でもある国民的アニメ「映画ドラえもん」シリーズの第43作となる『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』(公開中)だ!
春休みはやっぱり「ドラえもん」!安定した強さで初登場No. 1
見事に初登場でNo. 1を飾った『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』。初日から3日間の観客動員数は53万8000人、興行収入は6億5600万円。これは昨年公開された『映画ドラえもん のび太と空の理想郷』(23)の初日から3日間の成績に匹敵する好成績。同作が最終興収43億4000万円となったことを踏まえれば、今作も興収40億円超えのヒットが見込めそうだ。
今年の「映画ドラえもん」は、原作者である藤子・F・不二雄の生誕90周年記念作。シリーズ最大のヒット作となった『映画ドラえもん のび太の宝島』(18)や『映画ドラえもん のび太の新恐竜』(20)を手掛けた今井一暁監督がメガホンをとり、脚本を担当したのはアニメシリーズを手掛けてきた内海照子。“音楽”がエネルギー源となる惑星を舞台に、ドラえもんやのび太たちが地球の危機を救うために大冒険を繰り広げていく。
藤子・F・不二雄の生誕90周年に加え、テレビアニメの放送開始から45年。さらには2005年の春に声優交代をしてから、今年の春で20年目に突入するといういくつもの節目が重なった今年。かつての「ドラえもん」に育てられた世代の次の世代が主な視聴者となって久しく、近年では(コロナ禍のイレギュラーは多少あったにしろ)「映画ドラえもん」の興収、動員共にかなり安定してきたことが窺える。
そうしたなかで、今作は完全なオリジナルストーリー。2005年以降に作られた「映画ドラえもん」シリーズは、過去の人気作のリメイク作品や既存の短編エピソードからアイデアを膨らませた“セミオリジナル”作品が中心であり、今作のような完全オリジナル作品は『映画ドラえもん のび太のひみつ道具博物館』(13)、『映画ドラえもん のび太の宇宙英雄記』(15)と前作『のび太と空の理想郷』に続いて2年連続4作目。
その前作は原作読者にもなじみの深い“空への憧れ”に満ちた作品だったのに対し、今作では宇宙やロボットといった「映画ドラえもん」らしい要素が備わっているとはいえ“音楽”を主題にした冒険という点でこれまでとは趣が異なる。題材の新鮮味、オリジナルへの挑戦と、これはまさしく新たな「ドラえもん」世代に向けてアップデートを図ろうとしている兆しと考えられる。次々と新たな国民的アニメが生まれ、映画興行も盛大に賑わせている昨今ではあるが、“春休みは「映画ドラえもん」”という絶対的な地位はそう簡単に揺らぐことはないだろう。