LiLiCo「年齢や立場で躊躇しないで!」アカデミー賞ノミネート映画『パスト ライブス/再会』トークイベントで選択の大切さを語る
第96回アカデミー賞作品賞、脚本賞ノミネート映画『パスト ライブス/再会』(4月5日公開)の特別試写会が3月8日、ニッショーホールにて開催され、LiLiCoが上映後のトークイベントに登壇。作品で描かれている運命や縁(イニョン)について語った。
本作は海外移住のため離れ離れになった幼なじみの12歳の少女ノラと少年ヘソンが、24年経った36歳の時にニューヨークで再会する7日間を描く、アメリカ&韓国合作の大人のラブストーリー。本作が長編映画監督デビュー作となるセリーヌ・ソンが、自身の体験をもとにオリジナル脚本を執筆。ノラ役にNetflixのドラマシリーズ「ロシアン・ドール 謎のタイムループ」のグレタ・リー、ヘソン役に『LETO レト』(18)、『めまい 窓越しの想い』(19)のユ・テオを迎えメガホンをとった。
本作がなぜアカデミー賞作品賞、脚本賞にノミネートされたのか、周囲で話題になっていると話したLiLiCo。その理由のひとつに、アメリカ人にとって「心のなかの通いが新鮮に映ったのではないか?」と分析。ホラー映画をたとえに「アメリカのホラー映画はクローゼットを開けたら(怖いものが)飛び出してきたり、音や長くて大きな鋭利なものを持って脅かす。でも、日本のホラーは(映画館で)観ている時ももちろん怖いけれど、家に帰った後の方が怖い。押し入れを開けると誰かいるんじゃないか、怖くて一人でお風呂に入れないとか(笑)。想像できる怖さがある。アメリカのホラーとは全然違う」と違いを指摘。1990年代から「リング」シリーズを筆頭に海外、特にアメリカで日本のホラー作品は人気だが、今度は韓国や日本、アジアの恋愛観が注目されるのではないかと予想していた。
24年のすれ違いを経て再会を果たすノラとヘソンについて、舞台がアメリカであればこの物語は出来上がらなかったかもと話したLiLiCo。「アメリカなら2人が12歳の時でもハグやキスはしていたかもしれない。(2人の間には)『なにもなかったじゃん!』みたいなところが美しいんのだと思います」と解説した。
物語のキーワードは「運命」、劇中では韓国語で「縁(イニョン)」という言葉が使われる。忘れられない恋を思い出し、「もしもあの時……」と考えた経験についてLiLiCoは20代での恋愛を振り返る。「振られることも多かったし、『捨てないでー!』としがみついたこともあったけれど、いまとなってはその人の名前も覚えていない」とケロリ。自分にとって重要な出会いではなく、後悔はまったくないといった様子。
一方、夫の小田井涼平については「この人と結婚するだろうな」と縁を感じたが「ビビビと来たわけでも、一目惚れでもない。『結婚するんだろうな』と感じただけ」と特別ロマンチックではなかったとニヤリ。結婚して7年、新しい発見があって楽しいと話したLiLiCoは「主人のことをすごく尊敬しています。グループをやめて地方でレポーターをやりたいと言っていたけれど、それができていることがすごいなって思って」と笑顔。さらに、国際女性デーに「HAPPY WOMAN AWARD 2024 HAPPY WOMAN賞」受賞のお祝いに小田井からプレゼントされた指輪を披露。プレゼントを選ぶ際に「素敵じゃん!」と思った夫のスマートな言動も明かし、満面の笑みでのろける場面もあった。
この日の国際女性デーにちなみ、自身の「選択」についても言及。年齢や立場で選択や、一歩踏みだすことに躊躇する人が多いとし、「自分で自分を止めている。2024年ももう3月。まだ口のなかにおせちの味が残っている気分なのに、あっという間にクリスマスが来ちゃう(笑)」と時の流れの速さに触れ、後悔しないように行動してほしいとリクエスト。なにもしないことで、美しい思い出になるケースもあるけれど、失敗しても自分で動いたこと、選択したことで免疫もできて、素敵な大人になれるとコメント。「どちらかを選ぶこと、選択の大切さなどいろいろと気づかせてくれる作品。自分の選んだ道だからと、誰のせいにもしないところがいい!」と本作をおすすめポイントを熱弁し、イベントを締めくくった。
取材・文/タナカシノブ