北米V2の『Kung Fu Panda4』を『デューン2』が猛追!全世界興収も5億ドル突破で前作超え達成
先週末(3月15日から17日)の北米興収ランキングは、前週に引き続き「カンフー・パンダ」シリーズ最新作『Kung Fu Panda4』と『デューン 砂の惑星PART2』(日本公開中)が熾烈なデッドヒートを展開。週末3日間興収ではわずか164万ドルの差で、ふたたび『Kung Fu Panda4』に軍配が上がった。
初登場だった前週からおよそ半減の興収3014万ドルを記録した『Kung Fu Panda4』は、はやくも北米累計興収1億ドルを突破し、全世界興収では2億ドルに到達。一方『デューン2』のほうは前週比61.7%とまずまずの興収を維持し、北米累計興収で2億ドルを超え、全世界興収ではあっさりと前作を上回り5億ドルを突破。どちらも申し分のないパフォーマンスで順調に興収を積み上げている。
両者の戦いで興味深いのはデイリー興収での推移だ。『Kung Fu Panda4』は最初の週末3日間こそリードしたが、平日に入るとサービスデーを導入している劇場が多い火曜を除く平日ではかなり僅差で『デューン2』に首位の座を明け渡す。この記事の当該週末の金土で『Kung Fu Panda4』が再び盛り返すも、日曜にまたしても僅差で『デューン2』が逆転。18日以降の平日もすべて『デューン2』が制しており、着実にその差を広げようとしている。
ここに次週末4345館という超大規模で公開を迎える『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』(3月29日日本公開)が加わることで三つ巴の激戦となるのだろうか。『ゴーストバスターズ〜』は21日木曜日のプレビュー上映で470万ドルの興収をあげ、週末の予測では4500万ドル前後になると見られている。1位の座を明け渡すことになるのは確実だが、『デューン2』と『Kung Fu Panda4』のどちらが2位に入り、そしてどこまで首位に食い下がることができるのかは注目である。
ところで先週末は、第96回アカデミー賞の発表後の最初の週末。やはり『オッペンハイマー』(3月29日日本公開)一色に染まった年とあって、受賞効果が顕著に興収に繋がっているのは同作のみといった印象だ。前週から681館ほど上映劇場を増やし、オスカー直前の週末の27位から14位へ一気に浮上。それでも興収は前週のおよそ3倍の30万ドルとやや控えめ。やはりサマーシーズンの公開で、すでに北米累計興収3億ドルを突破していること、そして3時間の長尺であることなどが響いたのだろうか。
参考までに過去10年ほどの作品賞受賞作のオスカー後最初の週末の成績を見てみると、劇場数の増加が最も大きいのは『グリーンブック』(18)の1388館増、飛躍率と単純な数字では『パラサイト 半地下の家族』(19)の前週比345.3%で3日間興収568万ドルが最高値となる。かたやサプライズ受賞、かたや歴史的快挙と、今回のような超順当な勝利では、あまり興収に結びつかないのかもしれない。
それでも北米興収1億ドルを突破している作品賞受賞作は『アルゴ』(12)以来11年ぶり。歴代の作品賞受賞作を並べてみても、『タイタニック』(97)、『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』(03)、『フォレスト・ガンプ/一期一会』(94)に次いで歴代4位の高興収(『フォレスト・ガンプ』超えはまだ充分可能な位置にいる)。ようやく公開を迎える日本で好成績をあげ、あと4000万ドルを切った全世界興収10億ドルの壁を突破することがこの映画の最大の目標であろう。
文/久保田 和馬