東村アキコ「SHOGUN 将軍」は「『愛の不時着』以来の衝撃!」ムーブメントに乗り遅れるなと大熱弁

インタビュー

東村アキコ「SHOGUN 将軍」は「『愛の不時着』以来の衝撃!」ムーブメントに乗り遅れるなと大熱弁

「“わからないから観ない”はもったいない、『わからんことは、己で調べよ!』と言いたい」

武将、上杉謙信が女性であったという説を題材とした「雪花の虎」で戦国時代を描いていた東村。その連載中は常に、「なぜ戦で人を殺すのか」「なぜお寺を壊すのか」「なぜこんな苦行をみんな背負って生きているのか」とたくさんの「なぜ?」が頭をよぎったという。「キャラクターの感情面、行動原理が知りたくて、歴史学者の井沢元彦先生との対談で質問をしました。その時に“なにを信じているのか”に大きな理由があると教えてもらって、なるほど、と。要するに、信じるものが違うから争いが起きるんです。神、自分の殿、宗教、信じる対象は人それぞれ。しかも日本には天皇という存在もいる。一つだと思っていたキリスト教は実はプロテスタントとカトリックで対立していることを知る。この時代って、信じるものが結構バラついていたんだなって。それぞれに信じるものがあり、それを通す意地がある。だからこその戦いなんです」。

石堂によって追い詰められながらも生き残る道を模索する虎永
石堂によって追い詰められながらも生き残る道を模索する虎永[c] 2024 Disney and its related entities

時代背景が複雑で苦手な人は敬遠するかもしれないが、必ずしもそれらを把握していなくても大丈夫だと説明する。「私の感想はマニアックなところもたくさんありますが、歴史がどうとか細かいことがわからなくてもいいと思うんです。少女漫画家的なことを言うなら、ラブストーリー的な展開もおもしろいので、そういう視点で観るのもいいと思います。でも、せっかくここまでのすばらしい作品なので、時代劇ならではの部分も楽しんでほしい。SNSで疑問を投げれば詳しい人が答えてくれる時代です。みんなで考察しながら補い合って楽しめばいいんです。わからないから知りたい、知るからおもしろい、面倒がらずに楽しんでほしいです。“わからないから観ない”はもったいない、『わからんことは、己で調べよ!』と言いたいです(笑)」と力説。

「このドラマを観なかったら、大ブームに乗り遅れる。私の感覚的には『愛の不時着』以来の衝撃。こんなふうに言えば、どれだけ観ておくべき作品なのか韓ドラブームを経験した人ならわかるはず。最終回は確実に私の周りは大集合して、みんなで鑑賞会になるはずです。最終回まで終わったところで、また改めていろいろ語り尽くしたいという気持ちでいっぱいです!」。

少女漫画家的にはラブストーリーな展開も注目ポイントと指摘
少女漫画家的にはラブストーリーな展開も注目ポイントと指摘[c] 2024 Disney and its related entities

「日本の美、完璧な調和を、イギリス人が切り裂くように線を引いて乱していく」

今回のMOVIE WALKER PRESSのインタビューに際し、「SHOGUN 将軍」のコラボイラストを描いてくれた東村。イラストの題材に選んだのは、「一番鳥肌が立ったシーン。歴史に残る名シーンです!」と虎永に命じられた按針が枯山水に世界地図を描いたシーンを挙げる。「勝手にキャッチコピーも考えさせていただき、イラストにも入れています」と話し、このシーンに心打たれた理由を説明する。

「枯山水に描かれた、将軍の知らない世界地図…」イラストに加えてキャッチコピーもあわせて考えてくれた東村アキコ
「枯山水に描かれた、将軍の知らない世界地図…」イラストに加えてキャッチコピーもあわせて考えてくれた東村アキコイラスト/東村アキコ

「綺麗に敷き詰められた日本の美、完璧な調和を、イギリス人が切り裂くように線を引いて乱していく。日本の静寂を波立たせるみたいな演出がすごく象徴的でいいなと思いました。オープニングでも枯山水にどんどん線が引かれていく構図になっているのがカッコいい。帆船がバーって進んでいく姿たまらなかったです」とうっとり。「アメリカのドラマにはカッコいいオープニングが結構あるけれど、震えたのは久しぶりです。(NHKで放送された)『人形劇 三国志』のオープニングで砂の中から“三国志”の文字が浮かび出てきたのを観た時くらい震えました(笑)。壮大なところを切り開いていくみたいな映像って、なんか気持ちいいですよね。ロマンです」と言うと目を閉じ、噛みしめながらオープニングの衝撃を思い浮かべる。


「関ヶ原の戦い」前夜の戦国時代を描く「SHOGUN 将軍」
「関ヶ原の戦い」前夜の戦国時代を描く「SHOGUN 将軍」[c] 2024 Disney and its related entities

戦国時代を完全再現し、当時を生きる人たちが抱える想い、身のこなしまで、徹底的にこだわって作り上げられた「SHOGUN 将軍」。そのクリエイティビティには、漫画家として作品を生みだす東村自身にも大きな刺激を与えたようだ。「せっかく潤沢な予算があってもこんな仕上がりかと残念な気持ちになる作品も多かったのですが、このドラマにはそれが一切ない。リアリティを追求したクリエイティブ。このゾーンの作品を久々に観たし、私自身、身につまされました」。

取材・文/タナカシノブ

西岡徳馬の「徳」は旧字体が正式表記

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