スーパースターと恋に落ちた少女の目線で描く『プリシラ』恋模様を写した新場面写真

4月12日(金)より全国公開されるソフィア・コッポラの監督最新作『プリシラ』から新たに場面写真が解禁された。

本作はエルヴィス・プレスリーの元妻プリシラが1985年に出版された回想録「私のエルヴィス」をもとに、プレスリーと恋に落ちる少女がたどる魅惑と波乱の日々を描く物語。劇中をシャネル、ヴァレンティノの衣装が華やかに彩るほか、フランス出身のロックバンドPhoenixが音楽を担当。美しく精巧な美術とともに1960～1970年代の空気を映像化している。主演のケイリー・スピーニーは、本作で第80回ベネチア国際映画祭最優秀女優賞を獲得したほか、第81回ゴールデングローブ賞主演女優賞(ドラマ部門)にノミネートされるなど、恋の恍惚とせつなさを経験する少女の繊細な表情とたたずまいで表現している。

監督のコッポラは「私はモノづくりを行う人間として、先入観ではなく、登場人物の目を通して世界を見せることに尽力している」と語る。このたび解禁となった新たな場面写真は、エルヴィスを一心に見つめるプリシラやドイツでの兵役を終え、離ればなれになる彼を見送る悲しげな表情、互いを情熱的に見つめ合う2人の姿など、恋に落ちたプリシラの心の動きが伝わってくる。一方、取り巻きに囲まれる様子や、ベッドの上でカメラをむけるエルヴィスとの甘美な時間を映しだしたカットからは、華やかだが、どこか“彼の世界”に生きることになったプリシラの閉塞感も見え隠れする。そしてどのカットもプリシラが見つめる先にはエルヴィスがいる。まさにプリシラの目線から描くという、コッポラのこだわりが垣間見られる。

これまでもコッポラは伝記を独自の解釈で映画化してきた。『マリー・アントワネット』(06)は、悪びれることもなく若さにあふれた、歴史的に不遜な作品だ。ヴェルサイユの放縦を、権力の領域に追いこまれ、自身の慰めを見つけなければならなかった世間知らずな子どもの目を通して斬新に描きだしている。本作においてもコッポラは、伝記についての自身の見解について「映画の醍醐味は、誰かの世界に完全に入り込んで自分の世界と結びつくものや、驚かされるもの、心乱されるものが見えてくるところです。私はそういう映画をつくりたい。だから、観る人には100％プリシラになりきって観てほしいのです」と語っている。

また『プリシラ』のオリジナルグッズが発売決定。映画のテーマカラーであるスカイブルーにロゴをあしらったトードバッグとポーチが公開日の4月12日(金)よりTOHO シネマズ シャンテ、WHITE CINE QUINTO、蔦屋銀座店、ギャガ公式オンラインストアで販売される。

すでに公開された北米では大ヒットを記録し、高い評価を得ている本作。スーパースターと恋に落ちる少女の甘くてせつない日々を映画館のスクリーンで味わいたい。

文/スズキヒロシ