人生でしんどくなった時に見返したくなる『ソウルフル・ワールド』など週末観るならこの3本!
MOVIE WALKER PRESSスタッフが、いま観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画「今週の☆☆☆」。今週は、生まれる前の魂たちの世界で出会った正反対の2人の物語、世界的スーパースターと恋に落ちた少女を描くラブストーリー、「THE WITCH/魔女」シリーズの監督&製作陣が新たに放つ韓国ノワールの3本。
人生でしんどくなった時に見返したくなる…『ソウルフル・ワールド』(公開中)
ソウルたちの世界観が独特で、視覚的にも面白いところもポイント。音楽教師のジョー(声:浜野謙太)と、未知の世界を探検している感覚が味わえる。
人間として生まれる前のソウル(魂)である22番(声:川栄李奈)のメンターが、ジョージ・オーウェルやアルキメデスなど、学校の授業や図書館で見かけたことがある名だたる偉人。映画を観ているうちに覚えておいて、帰りに思いだしながら本屋に寄ると楽しいかも。22番の気持ちも、ジョーの気持ちも、生きているとどこかでぶち当たる感情なので、人生でしんどくなった時に見返したくなる映画。(映画ライター・詩舞澤沙衣)
危うくも甘美なシンデレラ・ストーリー…『プリシラ』(公開中)
エルヴィス・プレスリーの元妻であるプリシラ・プレスリーの回想録「私のエルヴィス」を映画化。『ロスト・イン・トランスレーション』(04)で旅先のホテルに一人取り残された妻の焦燥感を映し、『マリー・アントワネット』(07)で異国に単身嫁いできた少女の孤独に迫ったソフィア・コッポラ監督が新たに描く、ガーリーでビターな“青春マリッジ・ストーリー”だ。
プレスリー(ジェイコブ・エロルディ)と恋に落ちた14歳のプリシラ(ケイリー・スピーニー)は、数年後、彼の大邸宅で暮らし始める。黒髪をこんもりと盛ったヘアスタイルに目尻を強調したアイメイクを施し、豪華だけれど自分の好みは一切考慮されないドレスを着て“プレスリー色”に染まっていくプリシラ。物語は稀代のスーパースターに愛されたことで、夢の国の住人となる少女の危うくも甘美なシンデレラ・ストーリーを色鮮やかに映しだし、もう一方で孤独や嫉妬、社会通念による束縛から閉塞感に苛まれていく波乱の日々もつまびらかにしていく。ファッショニスタとして知られるコッポラ監督がこだわり抜いて再現したシャネル、ヴァレンティノなど60~70年代のグラマラスな衣装の数々に見とれつつも、ティーンエイジャーの少女が様々な経験を積んで自立した女性へと成長していく姿に共感させられるエモーショナルな珠玉作。(ライター・足立美由紀)
正体不明の男と青年の予測不可能な運命…『貴公子』(公開中)
血しぶき飛び交うアクションと、複雑に絡み合う人間模様が際立つ作品で韓国ノワールの可能性を追求してきたパク・フンジョン監督。今作では、怪しい笑みをたたえた正体不明の男と、突然、暴力の渦のなかに巻き込まれた青年の予測不可能な運命をノンストップで描きだしていく。
作品ごとにユニークなキャラクターを誕生させ、演じた俳優の魅力を引きだしてきたフンジョン監督は、ドラマでの爽やかなイメージが強かったキム・ソンホをファッショナブルかつ戦闘能力抜群の主人公に起用。「俺はプロだから」と何度も口にしながら見せる容赦のないアクションとそこはかとなく漂うユーモアのギャップに驚かされる。病の床にあるフィリピン人の母を助けるため、韓国人の父を訪ねてやってきた韓国で何者かに命を狙われる青年マルコを新人カン・テジュが好演している。(映画ライター・佐藤結)
映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて。
構成/サンクレイオ翼