アリアナ・グランデ、シンシア・エリヴォにミシェル・ヨーも!『WICKED』の舞台裏をたっぷり語ったシネマコンステージをレポート
現地時間4月8日から11日にかけてラスベガスで行われた、劇場経営者やメディア向けのコンベンションの「CinemaCon 2024」を現地レポート。ユニバーサル・ピクチャーズのスタジオプレゼンテーションに、ミュージカル映画『WICKED』からメインキャストのシンシア・エリヴォ、アリアナ・グランデをはじめとした豪華キャスト、監督を務めた『クレイジー・リッチ!』(18)のジョン・M・チュウらが登壇。このシネマコンでのステージが、公の場で本作についてしっかりと語る初めての機会だというエリヴォやグランデは、なにを明かしたのか?“オズの国”の舞台裏が垣間見られた、ステージの様子をお届けする。
本作は、グレゴリー・マグワイアの「オズの魔女記」を原作に、2003年初演を迎えたブロードウェイ・ミュージカル「ウィキッド」を映画化。児童文学「オズの魔法使い」で描かれた不思議なオズの国に迷い込んだ少女、ドロシーの冒険の”裏話”で、西の悪い魔女エルファバと南のよい魔女グリンダの知られざる友情を掘り下げている。
今回のステージは、オズの魔法使いの巨大な顔(知ってのとおり、実際は機械仕掛け)が「オズのような世界はほかにない!」とおどろおどろしく宣言するオープニングムービーでプレゼンテーションがスタート。オズの魔法使いを演じるジェフ・ゴールドブラム本人が登場し、軽快なトークで会場を惹きつけた。「(私はこれまで)恐竜に追いかけられたり、愛する私たちの地球を脅かすエイリアンの船艦の中に飛び込んだりしてきました。しかし、魔法世界の一員になったことはありませんでした。私はおいしそうな緑色のロングコートを着て、演技したり、歌ったり、踊ったんです」と華麗なステップまで披露。
続いてゴールドブラムによってステージに招かれたのは、プロデューサーのマーク・プラットとチュウ監督。プラットは『WICKED』がブロードウェイになる前から作品に携わってきた人物であり、ここまでの長い道のりを振り返る。「私自身の“黄色いレンガの道”の旅は約25年前に始まりました。初めて『オズの魔女記』を読んだ時から映画にしたいと思ってきたのです」。チュー監督は、サンフランシスコで行われたミュージカル版「WICKED」のワークショップにも参加していたそうで、今回メガホンを取ったことは「運命的」と感無量の様子。「20年後、この作品を大画面で監督するという夢の仕事に就くことができるなんて、想像もできませんでした」。
続けてフィエロ王子役のジョナサン・ベリー、チュウ監督が『クレイジー・リッチ!』で共演し「私の友人」と紹介した、マダム・モリブル役のミシェル・ヨーも登壇。ヨーはチュウ監督と対面するなり、「彼に尋ねようと思っていたんですよね。『クレイジー・リッチ!』に今度は『WICKED』。同じような(いじわるな)役にキャスティングしているように思えるんですが?」という愛のある皮肉をぶつけるも、チュウ監督は笑いながら「確かに彼らはほんのちょっと卑怯なところもあるけれど、あなたなら魅力的に演じることができると思ったんですよ」と返し、培われた信頼関係が伺えた。
チャーミングながらクセの強い一面も持ち合わせているフィエロ王子について、ベリーは「たしかに自己中心的な面もありますが、自分たちの権力については無知で、自身の魅力については十分にわかっている人物を演じるのは解放的な気分になります。フィエロを演じるのはとても楽しかったです」と語った。ヨーは美しく壮大な世界を作り上げた本作について、「本当にいままで観たことがないような映画です。職人たちはすばらしく偉大な挑戦を経て、衣装、何千ものセットを作り、音楽を作り、リアルとしか思えないファンタジーの世界を作りだしました」と、期待感をあおる。
本作の2人の主人公にふさわしい人物を見つけだすのは、果てしない旅だったと語るスタッフ陣。プラットは「世界の隅々までたくさんの才能に溢れた女性たちを探しました。最終的に2人の女性に出会った時、私たちは理想的な組み合わせであり、多くの点でこの役を演じる運命にあって、非常に才能のある強く若い女性たちにたどり着いたのです」。
続いてステージに招かれたのは、エルファバを演じるエリヴォとグリンダを演じるグランデ。初の公の場に感極まったのか、グランデは「私の手を握ってくれない?」とエリヴォとしっかりと手をつなぎながら本作への並々ならぬ想いを語った。「10歳の時に初めてブロードウェイでこの作品を観ました。その時のことを鮮明に覚えています!グリンダを演じることは私の夢になりました」。エリヴォも「私は25歳の誕生日に作品を観ましたが、まさかこのアイコニックな『WICKED』の魔女を実際に演じるチャンスを得られるなんて思ってもいませんでした」。
同時に、多くのファンを持つ作品だからこそ、大きな責任を感じながら全身全霊を懸けて本作に臨んだという。グランデは「私たち2人とも心と魂と涙、それにたくさんのまつげや…」「たくさんのあざもね」と付け加えるエリヴォ。「それに折れた爪」「1回ほうきも壊して」「…などを役に注ぎ込みました(笑)。私たちにできる限りのすべてを捧げたんです」と、絶妙な掛け合いでハードな撮影を振り返る。「ここまで来られたことが信じられない!」と満面の笑みを見せるグランデと、「私たちが一緒に歩んできたこの旅に本当に感謝しています」と語ったエリヴォに、会場からは惜しみない祝福が送られた。
『WICKED』は2024年の11月29日に第1作、2025年に第2作が米公開される予定。日本での公開情報も楽しみに待ちたい!
取材・文/MOVIE WALKER PRESS編集部