【ネタバレレビュー】「SHOGUN 将軍」圧巻の最終話へ。ついに明かされる、虎永が目指す地平
最終話で訪れる様々な“別れ”と続編への期待!
最終話にふさわしく舞台は大坂から、第1話の舞台、伊豆へと戻り、様々なエピソードが収束に向かう。一度は虎永のもとを離れた按針が再び虎永と対峙し、ハラキリ覚悟で村を惨状から救おうとするのは、鞠子スピリッツが彼の心に芽生えた表われか。そもそもはプロテスタントとしてカトリックを相手に海の覇権を争っていたイギリス人の按針が過酷な経験を経て、虎永の前で“ワタシノイクサ、ツマラヌイクサ”とたどたどしい日本語で訴える場面にグッときた。
按針が正室、藤(穂志もえか)と別れる一連のエピソードも涙ナシでは見られない。日本語をまじえ、英語で語る按針と、英語がわからない藤とのやりとりはスリリングではあるが、そこに通じ合ったものを確かに感じさせる、俳優たちの演技がすばらしい。彼らの最後の共演場面である、船の上での2人だけのやりとりも胸にこみあげてくるものがある。
虎永と、切腹を命じられた藪重の主従関係も、ここに終焉を迎える。先にも述べたように、藪重はつねに主君の目的を知らぬまま動かされてきた。切腹を前にして、虎永が描いてきた未来を見たかったと語る藪重。これは命乞いでもなんでもなく、純粋な本音だろう。虎永役の真田広之と藪重役の浅野忠信は共演経験も豊富で、製作を兼任した真田によれば、浅野にとにかく自由に演じて欲しかったという。それはこの死別のシーンでも変わらず、死を前にしてなお藪重に悲壮感が見えないのは、浅野がシリーズを通じて藪重にあたえてきたバイタリティのおかげだろう。
そして、もちろん虎永の天下取りの物語もこれにて一応の終幕となる。石堂と戦うことは目的達成の一過程に過ぎない。これまでに実行してきた様々な策はその先にある、戦のない太平の世を作るため。正直なところ、どこまでが虎永の策で、どこまでが偶然の産物であるのかはわからない。しかし、そんな大儀のために命を落とした者たち――7話の息子、長門、8話の腹心、戸田広松(西岡徳馬)、9話の鞠子――を無駄死にさせまいとする強い意志にアツいものを覚えずにいられない。
かくのごとく、エモさもピークに達する完結話。え、完結!?もっと観たいぞ。そりゃあジェームズ・クラベルの原作にも限度はある。しかし日本には江戸幕府の始まり、すなわち虎永(=徳川家康)が国のてっぺんに上り詰めるまでの歴史があるじゃないか!決して、続きを作ろうと思えば作れない物語ではない。関ヶ原の戦いをチラ見せに留めたのは、シーズン2への布石に違いない。ついでにシーズン3では大坂の陣まで行ってみよう!…そんな妄想にとらわれてしまうほど、筆者は「SHOGUN 将軍」ロスにとらわれている。
文/相馬学
※西岡徳馬の「徳」は旧字体が正式表記
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