クエンティン・タランティーノの監督引退作『The Movie Critic』、心変わりで製作中止へ
クエンティン・タランティーノ監督の引退作として準備が進められていた10作目(「キル・ビル」は2本で1作とカウントされている)の長編映画『The Movie Critic』が、このほど製作中止となる見込みであることがわかった。「The Hollywood Reporter」など全米複数メディアが報じている。
2023年春にプロジェクトの発足が報じられた『The Movie Critic』は、1977年のカリフォルニアを舞台に、ポルノ雑誌で映画批評を書いていた無名の男をモデルにした物語。当初は2023年秋に撮影が開始される見通しだったがストライキの影響で延期となり、今年2月になって『イングロリアス・バスターズ』(09)や『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(16)でタッグを組んだブラッド・ピットが出演交渉中であることが報じられていた。
今回の報道によれば、この数か月にわたって『The Movie Critic』の開発を進め、何度もシナリオを書き直してきたタランティーノ監督の心変わりが製作中止の大きな要因とみられている。関係者の談話では、ピットが『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』に続いてスタントマンのクリフ・ブース役を演じる物語に変化しつつあったとか。これによって2025年初頭の撮影開始予定もなくなり、タランティーノ監督の引退作は振りだしに戻ることに。
10作での監督引退を発表して以降、「キル・ビル」の“Vol.3”や「スタートレック」など開発に着手した作品が次々と企画倒れになってきたタランティーノ監督。しかし過去には『ヘイトフル・エイト』(15)が一度中止と発表されながら完成に至ったこともあり、『The Movie Critic』が今後形を変えて日の目をみる可能性もゼロではなさそう。今後の動向に引き続き注目していきたい。
文/久保田 和馬