浅野忠信が明かす「SHOGUN 将軍」出演オファー時に感じた納得と確信。「藪重を僕に任せてくれれば絶対にイケる」
「新しい時代が始まったという感じがしました」
そういうチャレンジができたのも、現場での柔軟な対応があったからだという。撮影はカナダのバンクーバーを中心に行われ、スタッフの多くはアメリカ人。そういうなかで、自分の考えがしっかりと届くというのは理想的な現場だったということができる。「新しい時代が始まったという感じがしましたね。僕は、日本の映画人はどんどん海外に出て仕事をすべきだと考えているので、『SHOGUN 将軍』の意味はとても大きいと思う。日本映画の場合も、映画人がそういう他流試合を経験することで大きな刺激を受け、日本映画に必要なものがなんなのかを考えることができる。日本映画の現場が変わるチャンスにつながると思います」。
『モンゴル』(07)で若き日のチンギス・ハーンを演じて以来、海外でも熱い視線を浴びるようになった浅野。ハリウッドの大作『マイティ・ソー』(11)や『バトルシップ』(12)、『47RONIN』など、枚挙にいとまがないほどの出演作を誇る。同じように海外で活躍する真田広之は、そこで経験したおかしな日本描写に違和感を感じ、プロデュースも務める本作ではそれを払拭するよう尽力している。浅野もそういう違和感や憤りを味わったことがあるのだろうか。
「正直に言えば、そういうところはたくさんありますよ。でも、僕はそういうのをあまり気にしないほうなんです。『47RONIN』を例に挙げると、時代劇なのに英語だし、僕が出るシーンにも日本っぽくないものが映っていたけれど、僕は『これはファンタジーだから』というふうに思える。だから僕の場合は、なぜそういう日本っぽくないものがそこにあるのか?その理由を自分なりに探すというやり方。めちゃくちゃなことはたくさんあるけれど、それにリアリティを持たせるためにはどうすればいいのかと考えるんです」。この柔軟さ!そういう役者だからこそ、藪重を魅力的にかつ重層的に演じることができたのだろう。
「本名とまるっきり同じ名前の武将を演じてみたい」
ところで、浅野は戦国時代や武将に興味はあるか。この時代と、そこに生きた彼らが、いまでも多くの日本人の心を掴んでいる理由をどう考えているのだろうか。「“if小説”というジャンルがありますよね。歴史上の実在した人物や、すでに知られているキャラクターを使って“もしこうだったら、こうなっていたのではないか”というような小説。戦国時代は、そういう物語の可能性を探ることできるんじゃないかな。僕も出演した北野(武)さんの映画『首』も同じ戦国時代が舞台だとは言え、これまで様々な形で描かれてきた物語とはまるで違う。“こうだったかもしれないぞ”という自由な解釈から生まれた映画ですよね。実際、僕もそういう想像力を思い切り拡げて藪重像を作っていきましたから。それに、(戦国時代や武将に)男性のファンが多いのは、フィジカルな戦いのみならず頭脳戦も繰り広げるので、そういうところが男心を刺激するんだと思います。僕自身はそれほど歴史に詳しくはないんですけど(笑)」。
ということは、演じてみたい歴史上の人物はいない?「いや、いるんですよ。僕の本名は佐藤忠信なんですが、まるっきり同じ名前の平安時代末期の武将がいて、浄瑠璃の『義経三千桜』に出てくる。彼は義経の家臣として知られています。別に父親が意識してつけたわけではなく偶然、同じ名前になっただけなんですけどね。でも、そういう因縁みたいなものを感じて、彼にはとても興味がある。その浄瑠璃の忠信は若い武将で、僕の年齢で演じるのは難しいかもしれないけれど、興味があるとなるとやっぱり彼。大河ドラマで是非とも僕に演じさせてほしいです!(笑)」。
取材・文/渡辺麻紀
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