アン・ジェホン、映画『リバウンド』との運命的な出会いを語る「とても不思議な経験でした」
「実話の力を信じ、話を生々しくリアルに伝えることが私の主眼点でした」
アン・ジェホンは、演じたカン・ヤンヒョンコーチとの共通点を問われると「実際、カン・ヤンヒョンコーチと同じ町に住んでいました。実は映画のモデルになった釜山中央高校のすぐ隣の高校に通っていたので、あの時代の熱気や雰囲気は誰よりもよく知っています。いまは兄弟のように近くて親しい間柄になりましたが、実は多くの趣向が似ていて、食べ物の好みまで似通っているんです」と明かした。
実際のカン・ヤンヒョンコーチとアン・ジェホンのシンクロ率も高いと評価されているが、演じる時に気を配っていることについて聞くと「基本的にどの作品でも良い演技をしようと心がけていますが、作品ごとに着目する点は違います。特に『リバウンド』は実話の持つ力が非常にドラマチックでした」と語る。
「驚くべき点は、あまりにも劇的なこの物語が実際に起こったということです。実話の力を信じて話を生々しくリアルに伝えるのが、この作品に対する私の主眼点でした。まずは実話と映画の一体性を高めるのが最初に役作りとしてすべきことであり、当時の試合映像をすべて分析し、カンコーチのジェスチャーと話し方を研究しました。なによりも俳優として、カンコーチが秘めた熱情を描き出したかったんです」と並々ならぬ想いで役と向き合ったようだ。
また、イ・シニョンら釜山中央高校の選手役を演じ俳優たちについては「選手役を演じていた後輩たちをとても誇りに思います。バスケットボールは最もスタミナ消費が激しいスポーツだとも思いますが、多くの試合シーンを生き生きと伝えるために、実際にすべてのシーンを俳優自身で演じました。情熱と真心で、どんな作品よりも楽しく迫力あふれるスポーツシーンになったと思います」と後輩たちを称え、心からねぎらう。
特に思い入れがあるのは「最後の試合でのロッカールームのシーンです」と語る。
「スポーツ映画には数多くのロッカールームでのシーンがあると思います。僕はその名シーンの壁を越えるためには、真心を尽くすしかない、という気持ちで臨みました。カンコーチの真心が選手役の俳優たちにも伝わり、そして観客にもこの真心が伝わっていくと信じて、誠実にあのワンシーンを撮影しました。実際に完成した映画を観ても、ロッカールームのシーンでジーンとして涙が出そうになります」。
映画の後半でコーチが選手たちに「好きなことを諦めるな」と語るシーンがとても印象的だが、アン・ジェホンにとって「これだけは諦められない」というものについて聞くと「演技だと思います。演技する時が一番楽しくて、一番感情が高ぶります」と力強く答えてくれた。
そんなアン・ジェホンに、好きな日本映画やドラマについて聞くと「あまりにも好きな作品が多いのですが、映画『カメラを止めるな!』が大好きですで、映画のグッズまで持っています」と笑顔を見せる。
さらに好きな日本の俳優について聞くと「安藤サクラさんが好きです」と語り「彼女が作品に登場するたびに、その瞬間が本物だと感じられるような貴重な体験をします。ファンです」と安藤サクラを称賛した。
最後にいよいよ公開される『リバウンド』について、日本の観客へのメッセージをもらった。
「『リバウンド』で日本の観客の皆さんにご挨拶することができ、とても幸せでワクワクしています。みんなが一丸となり、心を込めて撮影した想いが詰まった作品です。この熱くエキサイティングな物語が、皆さんにもとても特別な作品として届きますように。たくさんの愛と応援をお願いします」。
文/山崎伸子