「『シティーハンター』だから新宿で撮るしかない」プロデューサーが明かす、作品愛あふれる鈴木亮平もこだわった新宿ロケ撮影の裏側|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
「『シティーハンター』だから新宿で撮るしかない」プロデューサーが明かす、作品愛あふれる鈴木亮平もこだわった新宿ロケ撮影の裏側

インタビュー

「『シティーハンター』だから新宿で撮るしかない」プロデューサーが明かす、作品愛あふれる鈴木亮平もこだわった新宿ロケ撮影の裏側

北条司の大人気コミックを日本で初めて実写化した映画『シティーハンター』がNetflixにて世界独占配信中。主人公の冴羽獠を鈴木亮平、ヒロインの槇村香を森田望智、獠の相棒である槇村秀幸を安藤政信、獠とは腐れ縁の刑事・野上冴子を木村文乃が演じる本作は、配信直後から「日本の週間TOP10(映画)」で1位を獲得。「週間グローバルTOP10(非英語映画)」で初登場1位を記録し、フランス、韓国、香港、ブラジルなどを含む世界50の国と地域でも週間TOP10入りを果たしている。

『シティーハンター』の世界観を見事に表現!
『シティーハンター』の世界観を見事に表現![c] 北条司/コアミックス 1985

東京の大都市、新宿の裏社会で起こる様々なトラブル処理を請け負う、超一流のスイーパー、冴羽獠の活躍を描く本作。原作では1980年代中盤が舞台となっていたが、映画版では舞台を現代の新宿に設定し、原作コミックスの序盤のエピソードをベースに現代的な設定、要素を取り入れ物語を再構築。人間を凶暴化させる麻薬“エンジェルダスト”をめぐる争いによって相棒の槇村を失った獠が、犯罪組織ユニオン・テオーペとの戦いのなかで、槇村の妹、香を新たなパートナーにするまでの物語が描かれる。

作品の舞台となる新宿は最もロケ撮影が難しい場所として知られているが、本作はこれまでにない大規模な新宿ロケが行われた。本作のプロデューサーを務めた株式会社オフィス・シロウズの押田興将は、映画やテレビドラマの撮影が可能なロケ地の情報を提供し、案内・調整を行う東京都の窓口となる組織「東京ロケーションボックス」の協力を得ながら、難しいはずの新宿ロケを敢行し、作品の世界観を見事に表現した。

「『シティーハンター』を新宿で撮影せずにどこで撮影する」

公開中の映画『コットンテール』や李相日監督作『許されざる者』(13)など、数々の話題作を手掛けてきた押田。「新宿の街中では大規模な撮影許可が下りる可能性は極めて低い。歌舞伎町ではまず許可が下りない」が当たり前となっているなかで、どのようにロケを実現させたのか。

ヒロイン槇村香役の森田望智の衣装にも注目!
ヒロイン槇村香役の森田望智の衣装にも注目![c] 北条司/コアミックス 1985

「例えば、撮影ができないと言われていた成田空港や、環境保護地区での撮影も時間はかかったけれど突破してきたので、今回の突破先は歌舞伎町だなって思っていました。撮影がダメな場所だから最初から諦める、大したシーンじゃないから(ほかの撮影方法で)逃げられるということはしたくない。映画をやっている人間の矜持として、『シティーハンター』を新宿で撮影せずにどこで撮影する、という気持ちがあったので、やるつもりではいました。ただ、気持ちだけではどうしてもうまくことが進まない。そこで、東京ロケーションボックスの遠藤肇さんに協力を仰ぎ、2人でいろいろなものを突破してきました」と振り返る。「シネシティ広場、ゴジラロード、歌舞伎町一番街、できればさくら通り。ここは絶対突破しようと思っていました」と気合い十分だったという。「この10年で歌舞伎町は相当変わりました。ほんの数年前にはゴジラはいなかったし、コマ(劇場)を再現しなきゃいけないとなったら、ものすごく大変だったはず。現代が舞台になったことは、逆にありがたかったですね」。


獠とは腐れ縁の刑事、野上冴子役は木村文乃
獠とは腐れ縁の刑事、野上冴子役は木村文乃[c] 北条司/コアミックス 1985

歌舞伎町の地元商店街、新宿行政関係者、警視庁新宿署など各関係者の全面協力を得て新宿ロケを実現。勝因は「進め方が非常に的確だったから」と説明する。

「どこから話をするのか、誰に話を通すのか。その道筋を間違えると実現への道は遠くなる。僕たちはどこに話を通すべきなのか、それを探るのに時間がかかるんです。僕が交渉の最前線に立ったのは、撮影の2か月ほど前のこと。時間が足りないなかで、“このやり方ならどうでしょう?”など相手の反応を見ながら、“仮”の形で提案をしていきます。結果、ありがたいことに全面協力のような形になりましたが、すごく得したなと思ったのは『シティーハンター』という作品だったこと。『シティーハンター』だから新宿で撮るしかない、という前提で向き合ってくださった方たちばかりでした。作品の力はとにかく大きい。(許可書に)ハンコを押す立場の方が原作世代、僕たちの許可書を上司に渡す、窓口の方はアニメ世代。非常に好意的に進めていただけたことも大きかったと思います」と充実感を漂わせる。

【写真を見る】令和の新宿に冴羽獠が降臨!プロデューサーも感心した、鈴木亮平が『シティーハンター』に対する熱意
【写真を見る】令和の新宿に冴羽獠が降臨!プロデューサーも感心した、鈴木亮平が『シティーハンター』に対する熱意[c] 北条司/コアミックス 1985

「警察の方たちも、単に“撮影させない”と言っているのではない。住民の方からの苦情が出なければいい。夜中の撮影で、住民の方に迷惑をかけることになったら、苦情の行き先は警察。夜中に苦情の電話は受けたくないですよね。だから逆に“地元の人がいいなら”という感じで許可が下りることが多かったです。加えて、内閣府の海外誘致の流れもあって、撮影の後押しをする空気もあったりして。ここで苦情が出ずにロケができれば、次につながる。ロケをやらせてもらえる場所もやれる内容も増えていく、と思いながら交渉していました」。


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