「『シティーハンター』だから新宿で撮るしかない」プロデューサーが明かす、作品愛あふれる鈴木亮平もこだわった新宿ロケ撮影の裏側

インタビュー

「『シティーハンター』だから新宿で撮るしかない」プロデューサーが明かす、作品愛あふれる鈴木亮平もこだわった新宿ロケ撮影の裏側

「“諦めずにやってよかった”と思えたシーンの一つです」

許可をとってシネシティ広場、TOHOシネマズ新宿の前を走るロケを実現したことは「本当によかったです」と微笑む。「過去にあの場所の撮影で失敗してしまった事例がある。そういう経緯があるなかで、ロケをやりづらくなっていた場所なだけに、いい事例を作れたのは本当にうれしかったです。今後、できるようになる可能性を作れたかなと思っています」。このシーンでの工夫はエキストラの配置だった。

令和にアップデートされた『シティーハンター』の工夫とは
令和にアップデートされた『シティーハンター』の工夫とは[c] 北条司/コアミックス 1985

「歌舞伎町の目立つ場所での撮影。東京は撮影をひと目見ようという人集りは地方に比べればできにくいもの。とはいえ、やはりテストの時には撮影に興味を持った方が結構な数、集まってしまって。どうしたものかと思ったのですが、テストで撮影場所を走っていたのはスタッフだったので、映画の撮影とは思わなかったようで、見物をする人の数がいい感じで減っていってくれて。鈴木くんたちが実際に走る時には人はほとんどいなくなっていたし、なにより、エキストラをたくさん準備したので、ぶつかるのもすり抜けるのも全部エキストラの人。最初はエキストラの数が多いことに難色を示されたけれど、結果、エキストラがいたほうが安心。獠たちの追いかけっこの動線を埋めるくらいのエキストラを準備して、その周りの通行人を止めずにスムーズな撮影ができました。出来上がった映像を観た時に“諦めずにやってよかった”と思えたシーンの一つです」。


「鈴木くんから出てくるアイデアは“ああ、本当に考えているんだな”と納得するものばかり」

脚本にも参加した鈴木は「僕らは」とコメントしていたという。その理由とは?
脚本にも参加した鈴木は「僕らは」とコメントしていたという。その理由とは?[c] 北条司/コアミックス 1985

美女に目がなく、「もっこり」と叫ぶような男だが、スイーパーとしての腕前は超一流。ハードボイルドとコミカルのブレンドが絶妙な冴羽獠を演じた鈴木の本作への思い入れは特別だ。「僕は鈴木くんを本当にリスペクトしています。佐藤(祐市)監督とも話し、鈴木くんがやりたいことをどう表現するかというのを大事にしました。作品への向き合い方はすばらしかったし、彼が思い描く世界観を形にするために、佐藤監督がどう演出していくか。そういうやり方にシフトしたのもすごくよかったと思います。『シティーハンター』ってコメディとシリアスの切り替えがすごく難しい。漫画ならデフォルメしたり、画のルック自体を変えられるけれど、実写では簡単にいかない。でも、鈴木くんから出てくるアイデアは“ああ、本当に考えているんだな”と納得するものばかりでした」。

「こんなふうにやりたいです!」と鈴木から次々とアイデアが送られて来たという
「こんなふうにやりたいです!」と鈴木から次々とアイデアが送られて来たという[c] 北条司/コアミックス 1985

作品への向き合い方として、一番印象に残っているのは鈴木が発するある言葉だったという。「今回鈴木くんは脚本にも参加しています。毎回コミックス全巻をゴロゴロ(カートに乗せて)持ってきて脚本打ちをするのですが、それぞれが意見を言う時に鈴木くんは必ず“僕らは”って言うんです。ファン代表として参加してるんですよね。それがちょっとおもしろくて(笑)」と思いだし笑いの押田は、鈴木の作品への思い入れの強さは並々ならぬものだったが、プレッシャーも大きかったと推測。

安藤政信演じる獠の相棒、槇村秀幸の描き方についても「たくさん考えた」とのこと
安藤政信演じる獠の相棒、槇村秀幸の描き方についても「たくさん考えた」とのこと[c] 北条司/コアミックス 1985

「作品がよかった時はいいけれど、悪かった時に一番ダメージを受けるのは彼。相当プレッシャーもあったと思います。しかもずっとやりたいと言い続けてきた役だから、“鈴木亮平がやりたかった冴羽獠はこれだったのか”って言われる可能性もあるわけで。そういう状況でファン代表として彼のような振る舞いで作品に向き合えるのは本当にすばらしいこと。よく頑張ったと思います。現代を舞台にすることで要素や設定を調整した脚本に関しては、いろいろな意見が出るかもしれません。でも、冴羽獠というキャラクターを実写でどう造形するか、ということに関してはこれしかないと思ってもらえるとはず。ファンの方も異論はないんじゃないかな」。


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