『悪魔のいけにえ』『ポルターガイスト』…ホラーの名匠トビー・フーパー監督の功績を振り返る
ホラー映画史に残るキャラクター“レザーフェイス”を生み出し、スプラッター映画の原点となった名作『悪魔のいけにえ』で知られるトビー・フーパー監督が、現地時間8月26日、米カリフォルニア州の自宅で死去した。享年は74歳。
1943年生まれのフーパー監督は、1974年に公開された『悪魔のいけにえ』で監督デビュー。5人の若者たちが、人間の顔の皮を被り、化粧をした大柄の殺人鬼“レザーフェイス”に、無残にも殺されていく様を、乾いたタッチで描いたこの作品は、無名の役者の演技と16mmフィルムのざらついた画面が放つ異様なリアリティにより、制作費わずか4000万円(現在の日本の通貨レートによる、以下同)という低予算ながら、現在までに、アメリカ国内だけで150億円以上の興行収入を稼ぎ出している。
その後も『ファンハウス/惨劇の館』『スペースバンパイア』『スペースインベーダー』など、80年代のホラーブームの中、第一線で活躍し、自身のメガホンで『悪魔のいけにえ2』も発表した。
1982年の『ポルターガイスト』は、『ジョーズ』『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』などが世界的ヒットになっていた、スティーヴン・スピルバーグが脚本・プロデュースを手掛けたホラーという事で大きな注目を集め、結果アメリカ国内で250億円以上を稼ぐヒット、映画は全3作のシリーズとなった。後年には、テレビシリーズ版、リメイク映画も制作されている。
ホラーブームが沈静化した90年代以降は、低予算映画やテレビムービーなどを中心に活躍したが、中でも『スポンティニアス・コンバッション/人体自然発火』『マングラー』などは、往年のファンを喜ばせた。その後も、遺作となった2013年の『悪魔の起源 ジン』まで、コンスタントに作品を送り出している。
今回の訃報に際しては、モダンホラーの帝王、スティーヴン・キングを始め、ジョン・カーペンター(『ハロウィン』)、ウィリアム・フリードキン(『エクソシスト』)ら大物はもちろん、エドガー・ライト(『ベイビー・ドライバー』)、ジェームズ・ガン(『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』)、スコット・デリクソン(『ドクター・ストレンジ』)、ギレルモ・デル・トロ(『パシフィック・リム』)などの、フーパーに影響を受けた若手監督たちがそれぞれコメントを発表し、哀悼の意を表している。【MovieWalker】