『好きでも嫌いなあまのじゃく』小野賢章が高校1年生役のオファーに衝撃!「人とのコミュニケーションってすごく難しい」と学生のお悩みに真摯に回答
スタジオコロリド最新作『好きでも嫌いなあまのじゃく』(5月24日よりNetflixにて世界独占配信開始&日本劇場公開)の完成披露試写会が5月14日に新宿バルト9で開催され、小野賢章(柊役)、富田美憂(ツムギ役)、柴山智隆監督が登壇した。
『ペンギン・ハイウェイ』(18)、『泣きたい私は猫をかぶる』(20)、『雨を告げる漂流団地』に(22)続く、「スタジオコロリド」の長編第4弾となる本作は、“少年”と“鬼の少女”が紡ぐ青春ファンタジー。“みんなに嫌われたくない”という想いから、気づけば“頼まれごとを断れない”性格になってしまった高校1年生の柊が、物心付く前に別れた母親を探す“鬼“の少女ツムギと出会い、旅に出る姿を描く。この日の会場には、学生を中心とした10〜20代前半の観客が来場。小野は「若いパワーを吸い取りに来ました」と挨拶し、会場も大笑い。和やかな雰囲気で舞台挨拶がスタートした。
柊役の小野は、以前『泣きたい私は猫をかぶる』にも出演していたこともあり「またオファーをいただけてすごくうれしかった」と喜びを吐露。脚本を読んで「(演じる役柄が)こ、こ、こ、こ、高校1年生だぞ!ということが、まず一番の衝撃でした」と振り返って会場の笑いを誘いながら、「気持ちの部分でどれだけ若くできるかなというところがポイントだと思いつつも、柊とツムギの心情の変化が丁寧に描かれていたので、流れに身を任せれば大丈夫だなと思いました」と脚本を信じて、アフレコに臨んだという。
一方、ツムギ役の富田は「オーディションを受けて、作品に関わらせていただくことが多いなか、今回はオファーをいただけた。事前に作ってきたものが合っているのかなとそわそわしながら、初回の収録に行ったことを覚えています」とにっこり。「若い2人が主人公。自分もこれくらいの年齢の時には、反抗期があったなと思いだした。自分のちょっと苦い思い出や、キラキラとした気持ちを思いだしながら、演じさせていただきました」と役作りについて明かした。
監督を務めたのは、『泣きたい私は猫をかぶる』で長編監督デビューを飾った柴山智隆。小野と富田へオファーした理由について、柴山監督はこう語った。
「賢章さんは、『泣きたい私は猫をかぶる』でもご一緒した。最初から信頼していました。真面目で誠実な人柄と、奥底に秘めた想いを感じる深みのある声。柊にぴったりだなと、最初から決めておりました」と信頼しきり。小野は「ありがとうございます。すごくうれしいです。それに応えるために、一生懸命に頑張りました」と喜びを伝えた。さらに「富田さんについては、音響監督さんと密に話をして、この作品の内容とツムギのキャラ性を考えて、候補を出してもらった。そこで富田さんのボイスサンプルを聴いたり、過去作も観させていただいて、迷わずにぜひお願いしたいと思いました」とこちらも躊躇なく、ツムギ役を託したという。柴山監督は「ツムギは、人間世界に来た鬼の少女。特別な声の方にお願いしたいと思っていた」そうで、富田は「小さなころから『変な声』だと言われてきた。この声に産んでくれてありがとう、ママって思いました」と感激しきり。実際に始まったアフレコでも、柴山監督は「最初から、柊とツムギだった。感心するばかりでした」と2人が第一声からすばらしい演技を披露したと話していた。
またこの日の会場には、学生を中心とした10〜20代前半の観客が来場。“隠した想い”が映画のテーマとなることにちなみ、来場者から事前に悩みごとを募集して登壇者がアドバイスを送る場面もあった。「どうすればうまく人と話せるようになりますか?」という質問には、小野が「知り合いにすごい“コミュニケーションお化け”の友達がいる」とにっこり。「すごいなと思ったのは、その人は『好きな色はなんですか?』とか聞くんです。なんでもいいから質問してみるのは、一つの手だと思う」と回答。さらに「無言になるのが苦手。無言になってしまった時は、どう対処されますか?」とコミュニケーションについてのお悩みが続き、これには小野が「自分は、無言のままです」と素直に話して笑いを誘いながら、「一旦トイレに行くとか(笑)。その間にリセットする。無言でも大丈夫な関係性を作れるようになったら、すごくいいですよね。『俺、無言でも全然平気なんだよね』と言ってしまうとか」と相手を焦らせたり、気まずくならないためのあらゆるアイデアを繰り出して、会場を盛り上げていた。
最後に小野は「人と人とのコミュニケーションってすごく難しいなと思いますし、ほかの人の気持ちが可視化できたらいいなと思うこともあるけれど、そうもいかない。だからこそ、コミュニケーションって面白いのかなと思います。この映画には、悩んでいることへの解決のヒントが散りばめられている」とメッセージ。富田も「この作品を観た後には、自分も勇気を出してもいいのかなと思える」と心を込め、大きな拍手を浴びていた。
取材・文/成田おり枝