なりたい大人像は新垣結衣!『違国日記』の早瀬憩らが新垣を「周りを気遣える大人」と称賛
「さんかく窓の外側は夜」などで知られるヤマシタトモコの人気コミックを、新垣結衣、早瀬憩のダブル主演で実写映画化した『違国日記』(6月7日公開)の特別試写会が、5月21日に神楽座で開催。主演の早瀬、小宮山莉渚、伊礼姫奈ら次世代を担うフレッシュなキャストが登壇した。
本作は人見知りの小説家、高代槙生(新垣)と、その姪である田汲朝(早瀬)という対照的な2人の同居譚。2人は理解し合えない寂しさを抱えながらも、丁寧に日々を重ね生活を育むうちに家族とも異なるかけがえのない関係を築いていく。この日のイベントでは、エネルギーにあふれる等身大の姿を演じきった高校生役の面々が集まった。
新垣とダブル主演を務めた早瀬は「先日の完成披露は私にとって初めての舞台挨拶でもあったので、とても緊張していました。今日は同世代の3人ということもあって、イベントの前にも3人でお話をして、久しぶりに会ったとは思えないくらいずっと笑っていました。リラックスして挑めそうです」と語った。
朝の親友、楢えみり役を演じた小宮山、朝と同じクラスの優等生、森本千世役の伊礼も「がんばります!」と続き、3人で笑顔を見せ合った。
その後、撮影当時の印象に残っている瀬田なつき監督からの演出に話が及ぶと、早瀬は「撮影当時は朝と同じ、15歳だった」と切りだし「監督は『15歳のそのままでいていいから』とおっしゃってくださったので、肩の力を抜いて、撮影に臨むことができました。監督はとてもフレンドリーで、やさしい方。いつでも質問に答えてくださって、監督に悩みを共有できるのはすごく心強かったです」と感謝しきりだ。
小宮山と伊礼が体育館や教室のシーンが思い出深いと話すと、早瀬は「実際に学校にいる感じで、わちゃわちゃと楽しく撮影ができました」とうれしそうに目尻を下げた。
劇中で描かれる、10代特有の悩みに共感できることも多かったという3人。早瀬は「朝は自分に自信がないんですが、そこはものすごく共感できました」と、小宮山は「10代のころは、周りと比べがちだなと思います。本作からありのままの自分を受け入れて、一緒に色々な悩みを抱えながらも、それぞれが自分らしく生きていく大切さを感じました」と語り、続けて伊礼は「やりたいことがあるのに、他人によって道をふさがれてしまうこともある。でも本作から、遠回りすることは自分の成長の材料になるんだと大切なことを教えてもらいました」と語った。
また「なりたい大人像は?」と聞かれた早瀬は、「周りを気遣える大人になりたいです。それは、まさしく結衣さん」と共演した新垣にとても憧れていることを打ち明けた。1か月ほどの撮影期間には「結衣さんのそばにずっといさせてもらった」そうで、「結衣さんは『いま、こう思っているでしょ』と私の思っていることを的確に言ってくれたり、周りのキャストやスタッフさんにも親切に接していて。いまの私は自分のことでいっぱいで、周りが全然見えていなくて、突っ走っている感じだと思います。いつか結衣さんのように、周りを気遣えるステキな大人になれたらいいなと思います」と未来を見つめた。
小宮山は「槙生さんは自分の意見をしっかりと持ちながらも、相手のことを理解する。共感はできないけれど、相手を理解して一緒に寄り添う人。そういった大人には憧れます」と新垣が演じた槙生が“なりたい大人像”だという。さらに「えみりも槙生さんを憧れとして見ていたけれど、私も槙生さんに憧れます。新垣さんと一緒にお芝居をするシーンでも、真っ直ぐでステキだなと思うところがたくさんありました。自分もそういう大人になれたらいいなと思っています」と宣言。新垣に羨望の眼差しを向けた早瀬と小宮山は「ステキな大人になろうね」と声を揃えてこぶしを握り、会場をほっこりとした空気に包んでいた。
続く伊礼は「食後に、温かいお茶やコーヒーを飲める落ち着いた大人になりたい」と告白し、会場も大笑い。「私はまだ、アイスやチョコレートとか甘いものを食べてしまう」とはにかむと、早瀬も「私もアイス」とにっこり微笑み「コーヒーはもうすぐ飲めるようになる予定なんですが、まだ飲めなくて。いまは甘いものです」と語った。
また3人が、本作の公式TikTokに集まった質問に答える場面も。「キャラクターを演じるうえで参考にしたものは?」という質問に、3人ともが「原作」と前置きしつつ、早瀬は「原作に忠実にと思いながら、撮影前も撮影中も原作を読み込んでいました。結衣さんもそうなんですが、現場にも漫画を持ち込んで一緒に読んでいたりしました」と振り返った。
小宮山は「えみりが、槙生さんに似た話し方をする台詞があります。そこは監督とお話ししたり、新垣さんの演技を見ながら、『こういう感じで言っているんだ』と参考にしながら演技をしていました」と回想。自身の演じた役柄は「自分を持っていてかっこいいと思いました」という伊礼は、「周りにいる自分の尊敬できる人を探して、『こういった人間ならば、かっこいいと思ってもらえるんだろうな』と一生懸命に想像しながら演じていました」と役作りについて明かした。
続いて中学生から「中学生でも映画は楽しめますか?」との質問に「もちろん楽しめます」と一同即答。早瀬は「登場人物それぞれ悩みを抱えていて、学生特有の悩みだったりもするので、観ていて共感してもらえる部分があると思いますし、観終わった後だったり、観てる時に気持ちが前向きになれる映画だと思います」と、しっかり中学生の心も捉えるものになっていると太鼓判を押した。
最後に、一番印象に残っている台詞について伊礼は「屋上のシーンで言った『無力』という言葉があるんですが、それは私たちが普段少し軽く口にしてしまうようなネガティブな意味ではなく、本当に千世本人ではどうしようもないことに対して使った言葉で"千世かっこいいな"と感じて印象に残っています」としみじみと語り、小宮山は「朝に『大嫌い』と言われてしまうシーンがあるんですけど、これまで私は言われたことがないので、こんなにも心が傷つくものなんだと知りました。そしてそれほどまでに相手を想っているということでもあるので、不思議な体験でした」と撮影を振り返る。
早瀬は「大切な台詞はいっぱいあるんですけど、お葬式で槙生ちゃんが言った『たらい回しはナシだ』という言葉です。あのシーンは私が演技に苦戦していたのですが、結衣さんが槙生ちゃんとして存在してくれたからこそ乗り切れました。その後の撮影中も撮影が終わったあともその台詞に救われています」と告白した。
最後に早瀬は「このイベントを通して『違国日記』の魅力がより皆さんに伝わっていれば、うれしいなと思います。この映画の魅力をご家族やお友達にぜひ伝えていただいて、1人でも多くの方にこの映画を届けることができたらうれしいです」と心を込めて締めくくり、拍手のなか、3人で手をつなぎながらステージを降りた。
文/山崎伸子