【ネタバレレビュー】ついにシスらしき黒幕も登場!「スター・ウォーズ:アコライト」前半戦総括&今後の展開を考察

コラム

【ネタバレレビュー】ついにシスらしき黒幕も登場!「スター・ウォーズ:アコライト」前半戦総括&今後の展開を考察

黒幕の正体は?ソルとオーシャの修行時代も描かれる?後半戦の注目ポイント!

ざっとあらすじを追ったが、ここからは気になるポイントを挙げていきたい。まずはオーシャとメイの間にある葛藤。第1話、2話でフラッシュバックの形で提示されてきた惑星ブレンドクでの悲劇は、第3話で明確に描かれる。ならば、それから16年を経た現在の彼女たちは、お互いをどう思っているのか?それが今後のドラマを左右することは容易に想像がつく。

幼いころ離れ離れとなってしまったメイとオーシャ。互いを死んでいるものと思い込んでいたが、運命的な再会を果たす
幼いころ離れ離れとなってしまったメイとオーシャ。互いを死んでいるものと思い込んでいたが、運命的な再会を果たす[c] 2024 Lucasfilm Ltd.

ソルとオーシャの師弟関係も大いに気になるところ。『ファントム・メナス』で語られていたように、ジェダイになるための訓練開始に最適な年齢は無垢な赤子のころであり、少女となっているオーシャは『ファントム・メナス』のアナキン・スカイウォーカーと同様に、少々歳を取り過ぎている。それでも、クワイ=ガン・ジンと同様、ソルはオーシャのなかになにかを見いだし、彼女を弟子にする。だが、オーシャは結果的にジェダイ・オーダーを去った。そこでなにが起きたのかも今後、明かされるだろう。

強力なフォースを持つメイとオーシャに、ジェダイの素養を見いだしたソル
強力なフォースを持つメイとオーシャに、ジェダイの素養を見いだしたソル[c] 2024 Lucasfilm Ltd.

一方の師匠と弟子、まだ正体がわからないシスの暗黒卿と思われる人物と、メイの師弟関係は悪の側だけあってより複雑だ。ジェダイを暗殺するのだから、メイが凄腕であることは間違いないし、その原動力である復讐心をシスが利用するのも、すんなり飲み込める。シスに師弟愛などあるはずがなく、用済みとなった弟子をバッサリ切るのは、これまでのシリーズで描かれてきたとおり。第4話でジェダイの重鎮ヴァーネストラ・ロウ(レベッカ・ヘンダーソン)が予見しているが、メイはシスの大きな計画の一部に過ぎないのかもしれないのだ。

強大な力を見せつけた謎の人物…正体が気になる!
強大な力を見せつけた謎の人物…正体が気になる![c] 2024 Lucasfilm Ltd.

そしてシスと思われる人物はメイに、“武器を使わずにジェダイを殺す”という難題を課している。第1話のラストでその人物はメイにこう語る。「侍者(=アコライト)なら、武器を使わずにジェダイを殺せる」――メイをそそのかすための方便の可能性もあるが、メイはアコライトとなることを目指しているのは間違いない。しかし、第2話で死んだと思っていた妹に再会したメイは明らかに動揺し、第4話ではなによりも彼女のために自身の生き方を思い直す選択をする。それがどうなるのかも、今後の見どころだ。

理想の上司すぎるマスター・ソルに、クセ者なカイミール。気になるキャラクターばかり!

理想の上司すぎる…韓国スター、イ・ジョンジェが演じるマスター・ソル
理想の上司すぎる…韓国スター、イ・ジョンジェが演じるマスター・ソル[c] 2024 Lucasfilm Ltd.

また、本作には多くのジェダイ・マスターが登場するが、ダントツに目立っているのはマスター・ソル。とにかく、人間ができすぎているほどできている。反抗的な態度をとりジェダイを去ったことを謝る、かつての弟子オーシャに対して、心から「私の教え方が悪かったのだ」という度量の大きさ。オーシャに「おまえが向き合うべきはメイではなく、自分の過去。それは私も同じだ」という、高位に就いても驕らず自己鍛錬を続ける意識。ジェダイたる者、かくあるべしというべきキャラで、「スター・ウォーズ」ファンなら誰もが彼を好きになるだろう。それだけに、メイの標的となったジェダイの最後の1人という立ち位置がどう変化していくのか、「イカゲーム」で脚光を浴びたイ・ジョンジェの好演ともども、目が離せない。

【写真を見る】キャリー=アン・モスもイ・ジョンジェもちょっと若い?16年前に惑星ブレントクを訪れた4人のジェダイたち
【写真を見る】キャリー=アン・モスもイ・ジョンジェもちょっと若い?16年前に惑星ブレントクを訪れた4人のジェダイたち[c] 2024 Lucasfilm Ltd.

ソルもそうだが、ブレンドクに赴いた4人のジェダイは、このミッションを心から後悔しているようだ。なにしろ、トービンは良心の呵責に耐えかねてジェダイとしての活動を離れ、いつかメイがやってくることを悟り10年も瞑想を続けたあげく、メイに「許してくれ。正義だと思っていた」と言い残して毒をあおる。ケルナッカはジェダイとのつながりを完全に断ち、隠遁暮らしをしている。「過去とは折り合いをつけた」というソルにしても、メイの出現により、それが十分ではないことを知る。彼の新たな“折り合い”も、今後を占ううえで重要なエッセンスとなるだろう。


メイに力を貸すカイミール
メイに力を貸すカイミール[c] 2024 Lucasfilm Ltd.

ほかにも気になるキャラは多い。メイに味方するカイミールは最初こそ軽薄な青年に見えたが、彼女の師匠のことも把握しており、チャラい見た目以上に多くを知っている様子。ソルの現在のパダワンで、オーシャと同世代と思われる女子ジェキ・ロン(ダフネ・キーン)も味のあるキャラで、ジェダイを辞めてから6年が経過したオーシャを“真のジェダイ”と評し、「なにを失うかより、なにを生き延びるかよ。あなたは多くを生き延びた」と励ます。彼らの今後にも注目したい。

本作は「スター・ウォーズ」シリーズ初のミステリー作品という触れこみだったが、その看板に偽りはない。アクション面なども含み、新たな試みに取り組んでいる一方で、心震わすエモーショナルなドラマや、よりダイナミックになったフォース対決、様々な星への旅など「スター・ウォーズ」らしさが、しっかりと息づいている。後半は一体どうなるのか?コアファンもシリーズ初心者にとっても衝撃の展開が予想される本作を、引き続き、ウォッチしていきたい。

文/相馬学

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