巨匠チャン・イーモウ監督が「三体」を映画化へ!開催中の上海国際映画祭で発表
中国映画界の巨匠チャン・イーモウ監督が、劉慈欣のSF小説シリーズ「三体」の映画化に挑むことが決定。現在開催中の第26回上海国際映画祭で行われたフォーラムにおいて、中国の大手スタジオ「エンライト・メディア」のワン・チャンティエンCEOが発表したと、「Variety」など複数メディアが報じた。
“SF界のノーベル賞”ともいわれるヒューゴー賞に輝き、現在までに20以上の言語に翻訳。累計発行部数3000万部を突破する大ベストセラーとなっている「三体」。文化大革命で父親を殺されたとある科学者が、極秘裏に進行していたプロジェクトに関わり、異星人の“三体星人”と交信。それから数十年後、研究者の汪淼は世界中の科学者たちが次々と自殺する奇怪な事件の調査にあたるなかで、様々な異常現象に直面していく。
2017年に初めて映画化が試みられたものの、2億元の製作費がかけられたプロジェクトは現在も完成に至っておらず、事実上のお蔵入り状態。その後、2022年にアニメシリーズが製作され、2023年に中国の配信大手テンセント製作で実写ドラマシリーズ化。原作シリーズ第1作の内容を忠実に映像化したことで、原作ファンからも熱烈な支持を獲得した。
今年3月には「ゲーム・オブ・スローンズ」のクリエイターの手によって、Netflixシリーズ史上最高額の製作費がかけられ再び実写ドラマシリーズ化。こちらでは複雑な原作小説の世界観を保ちながら、原作を知らない視聴者でも楽しむことができるようにと、原作者の監修のもとで時系列やキャラクター設定、ストーリーなどを大きく改変。世界中で好評を博し、シーズン2の制作も決定している。
そして今回、満を持して発表されたチャン・イーモウ監督による「三体」の映画化。報道によればプロジェクトはまだ準備の初期段階とのことで、原作小説の3部作をすべて映像化するのかなど詳細は未定。ワンは「チャン・イーモウ監督が『三体』の小説の真髄に画期的な進歩と革新をもたらし、国際的なマーケットで成功を収めてくれることを願っています」と期待のコメント。
巨額の製作費がかけられる超大作になることはほぼ間違いなく、近年活況がつづいているアジア映画界にこれまで以上に世界から熱視線が送られることだろう。この一大プロジェクトから届けられる続報が楽しみだ!
文/久保田 和馬