“自由死”を選んだ母の本心を知るべくAIで蘇らせる青年の物語『本心』11月公開、主演は池松壮亮

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“自由死”を選んだ母の本心を知るべくAIで蘇らせる青年の物語『本心』11月公開、主演は池松壮亮

このたび、石井裕也監督最新作『本心』が11月8日(金)より公開されることが決定。主演を池松壮亮が務めるほか、三吉彩花、水上恒司、仲野太賀、田中泯、綾野剛、妻夫木聡、田中裕子の出演が明らかとなった。

【写真を見る】池松は、AIを用いて“母を作る”うち、自分の心や尊厳を失っていく朔也に扮する
【写真を見る】池松は、AIを用いて“母を作る”うち、自分の心や尊厳を失っていく朔也に扮する[c]2024 映画『本心』製作委員会

昨年10月公開の『月』が同年度の各映画賞を総なめにした石井監督が主演に池松を迎え、「マチネの終わりに」や「ある男」の作家、平野啓一郎の傑作長編小説「本心」を映画化した本作。「大事な話があるの」、そう言い残して急逝した母が、実は“自由死”を選んでいた。幸せそうに見えた母がなぜ自ら死を望んでいたのか?どうしても母の本心が知りたい息子の朔也は、最先端のAI企業に「母を作ってほしい」と依頼。ただ母の本当の心を知りたかっただけだった朔也だが、やがて自分の心や尊厳さえも見失っていく。石井監督が、技術が発展し続けるデジタル化社会の功罪を鋭く描写。いまと地続きにある少し先の将来、“自由死”を望んだ母の“本心”を知ろうとすることをきっかけに、進化する時代に迷う青年を映しだす。

主演の池松は、今年のカンヌ国際映画祭で話題をさらった『ぼくのお日さま』(9月13日公開)や『シン・仮面ライダー』(23)ほか、近年ますます活動領域を拡張している。時代に置いてけぼりにされた青年、石川朔也を、地に足の着かない不安定な演技で見事に体現。石井監督作品へはこれまで『ぼくたちの家族』(14)や『アジアの天使』(21)など映画、ドラマを合わせ8作品に出演しているが、9作目のタッグとなる本作では、原作を読んだ池松が全幅の信頼を寄せる石井監督に「いまやるべき作品」と企画を持ち込み、俳優歴24年にして「気の抜けない脚本だった。こんなに集中した夏は初めて」と語っている。

池松演じる朔也の母、秋子役には数多くの名作映画に出演してきた田中裕子が扮し、生身とVF(ヴァーチャル・フィギュア)という未知の“2役”に挑戦。石井組初参加となる彼女が圧倒的な存在感を見せつける。そして、Netflixシリーズ「今際の国のアリス」、Amazon Original映画『ナックルガール』(23)で本格アクションを披露し、『先生の白い嘘』(7月5日公開)ほか成長著しい三吉が、秋子の素顔を知るキーパーソンであり、過去の傷を抱えるミステリアスな女性、三好を好演。

さらに、朔也の幼馴染の岸谷を演じるのは、昨年の大ヒット作『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(23)で主演を務め、第47回日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞した水上、最新AIのVFの開発を行う技術者の野崎将人に妻夫木、ある出来事をきっかけに朔也に興味を抱くアバターデザイナーのイフィーに仲野、VFの中尾役の綾野、リアル(現実)のアバター(分身)として依頼主の代わりに行動する仕事を始めた朔也の依頼人、若松に田中泯と、それぞれ池松演じる朔也の心情を大きく揺さぶる重要な役どころを担う。


AIや仮想空間、日々著しく進化するテクノロジーが日本のみならず世界中を席巻し、生活様式が目まぐるしく変貌していく時代を彷徨う人間の“心”と“本質”を描いた革新的なヒューマンミステリーとなる本作。現代人が直面している課題を浮き彫りにし、愛と幸福の真実を問いかける平野文学の到達点となる名作の行方を、ぜひ劇場で見届けてほしい。

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