杉咲花、『あぶない刑事』タカ&ユージからのサプライズメッセージに感激!原廣利監督は「背中で語って、みんなを引っ張っていく」と杉咲の俳優力を絶賛
柚月裕子による小説を実写映画化した『朽ちないサクラ』の公開記念舞台挨拶が6月22日にTOHOシネマズ日比谷で開催され、杉咲花、萩原利久、豊原功補、安田顕、原廣利監督が登壇した。
原作は、「孤狼の血」や「佐方貞人」「合理的にあり得ない」など数々のシリーズが映像化されている、大藪春彦賞作家の柚月による「サクラ」シリーズのはじまりとなる「朽ちないサクラ」。県警の広報職員という、本来は捜査する立場にない主人公の森口泉(杉咲)が親友の変死事件の謎を独自に調査し、真相に迫っていく姿を描く。公開中の『帰ってきた あぶない刑事』(24)の監督にも抜てきされた原廣利が、監督を務めた。
上映後の会場から拍手を浴びて登壇した杉咲は、「映画が届いたんだなと、いま実感しています」と感無量の面持ち。「うれしいし、緊張します。口コミが気になってしまって、調べています」と笑顔を弾けさせていた。
安田が、泉の上司で元公安の富樫役を演じた。感想を聞かれた杉咲は、「どのようにコミュニケーションを取ったりできるのか緊張していたんですが、気さくに話しかけてくださった」と感謝しきりで、「ご飯にも連れて行ってくださった」といい関係を築けた様子。安田が「そういう時はすごくケラケラ笑ってくれる、すごいいい子。でも本番に入ると急に黙っちゃう」とこぼすと、杉咲は「そういうシーンなんです」と目尻をさげるなど、安田の飄々としたトークに会場も大爆笑だった。
安田と、県警捜査一課の梶山役を演じた豊原のやり取りも印象深いシーンとして描かれるが、安田は「豊原さんは大先輩。初めてご一緒させていただいて、本当に光栄でした。ここの会話のやり取りはピリピリとしているので、緊張しました」と苦笑い。「同期という設定。豊原さんはお若く見えますが、僕は年相応。なにをしようかなと思って、髪の毛を後退させようと思って、おでこのあたりを剃りました」と特別な役作りを打ち明けた。一方の豊原は「食事に行ったと聞いて(撮影から)1年越しですが、話しかければよかったなといまちょっと後悔しています」と杉咲と安田の交流に嫉妬をにじませ、周囲も大笑い。続けて「僕はコンビニでピーナツを買って、ウイスキーを飲んでいました。夜、つまらなかった」と一人で過ごした夜を振り返っていた。
この日は、「後悔の念」が描かれる映画の内容にちなみ、それぞれが「最近失敗したこと」を発表した。「ちょっとバタバタしていて」と切りだした杉咲は、「久しぶりにゆっくりとコーヒーをいれて、現場に行ける日があって。現場に着いてリュックを開けたら、(水筒が)空っぽになっていた」と回想。「パッキンを入れ忘れてしまって、お財布が全部コーヒーを吸い込んでいた」と惨事を明かして、「ああ…」と会場の共感を集めていた。泉のバディ的な存在となる年下同期の磯川役を演じた萩原は、「最近、ユーロというヨーロッパの大きな大会をやっていまして。ここ最近は、試合が観たくて4時に起きている」と現状報告しつつ、「今日は、前日の22時から試合を観てから寝て、見事に起きれなかった。今日、寝坊しました」と告白。「マネージャーさんからの電話で起きました。『すみません!』といいながら来ました」と反省していた。
また登壇者にはサプライズで、原監督がメガホンを取った『帰ってきた あぶない刑事』に主演するタカ役の舘ひろしと、ユージ役の柴田恭兵からメッセージが到着する場面もあった。舘からの手紙には「一人の人間としての正義と、警察組織としての大義。杉咲花さん演じる主人公、泉の勇気、まっすぐな眼差しがすばらしかった」という絶賛の言葉や、「原監督とご一緒した『帰ってきた あぶない刑事』とは同じ刑事モノでも、真逆の世界観。共通するのは、登場する刑事たちの魅力を存分に引きだすすばらしい演出力。原監督の映画作りの力を感じました」と原監督への敬意がつづられていた。柴田からは「『あぶ刑事』の次の作品が、またも警察が舞台のミステリー。間違ってもハーレーとショットガンで事件を解決しないように」とちゃめっ気あふれるコメントに続いて、「原監督はスタッフみんなといい作品を撮るぞという空気を作りあげて、これからもすてきな映画を作りだしていくと思います。またどこかでお会いしましょう」と再会を願う言葉がしたためられており、これには原監督が「泣きそうです」と大感激。「びっくりしました。すごくうれしいですね。垣根を越えてそういうふうに観ていただけるのは、大変光栄。本当にやってよかったなと思います」と胸を熱くした。
杉咲は「こんなことってあるんだなと思って」と驚きながら、「監督のお人柄や積み重ねてきたものが、こうやって作品と作品が超えたところでつながったりすることがあるんだなと、感動しました」としみじみ。すばらしい俳優たちとの出会いに感謝した原監督は、「杉咲さんは背中で語って、みんなを引っ張っていく。その姿勢がかっこいい。利久くんは気さくに話もできるし、癒し。安田さんは実直に泉に対峙していく姿が、すばらしくかっこいい。豊原さんはイメージのまんま。頼りにさせていただきました」と彼らの魅力を熱っぽく語っていた。
取材・文/成田おり枝