38年を経て明かされる『エイリアン』制作秘話!巨匠R・スコットの創作の秘密に迫る
広大な宇宙の、狭い宇宙船内を舞台に“完璧な生命体”と人類の遭遇をスリリングに描き、その後のSF映画の歴史を変えたともいえる『エイリアン』(79)。ジェームズ・キャメロン、デヴィッド・フィンチャー、ジャン=ピエール・ジュネといった名だたるヒットメーカーを輩出した伝説的な「エイリアン」シリーズだが、第1作を監督し、シリーズの創造主とも言えるリドリー・スコット監督が、38年ぶりに自らメガホンをとった『エイリアン:コヴェナント』が、9月15日(金)に公開となる。この度『エイリアン』の制作秘話が、スコット監督へのインタビューによって明らかになった。
第1作『エイリアン』で製作総指揮と原案を務めたロナルド・シュセットは、ダン・オバノンと共に執筆した本作の原案について「皆くだらないと言い、作品の世界観を理解する一流監督はいなかったよ」と明かす。そんな状況の中、当時『デュエリスト/決闘者』(77)でカンヌ国際映画祭新人監督賞を受賞したばかりのスコット監督に、本作のオファーが届いたという。
「脚本を読み、26時間後には監督に決まった。すんなり引き受けたら“本当に?”と驚かれたよ」と当時を振り返る。「ストーリーボードを描くのは本当に楽しくて、3週間半、昼夜を問わず夢中で描いた。そのストーリーボードを映画会社に見せたら、制作費は420万ドルから、840万ドルに引き上がったんだ!」。
スコット監督は、この映画にどんなビジュアルが必要かを、誰よりも理解していた。「ゴム製の着ぐるみを着たエイリアンが暴れても、間抜けに見えるだけだ。ストーリーボードを見て、お偉いさん方も作品のスケールの大きさをやっと理解したんだろうね」。
デビュー40周年を迎え、79歳となった今も自身でストーリーボードを書くスコット監督。「私はデザインが大好きだ。でもモンスターのデザインは難しい。もうパターンは出尽くしているけど、少しでもいいから新しいものを取り入れたい。納得するまでデザインを変えたいんだ」と、そのこだわりを語る。
新作『エイリアン:コヴェナント』においても、スコット監督はデザイン面で新たな挑戦をしており、その衰えない創作性は、長年のパートナーすら驚かせるという。『グラディエーター』(00)以来、タッグを組み続けている視覚効果スーパーバイザーのチャーリー・ヘンレイは「リドリーの描くストーリーボードは素晴らしい仕上がりで、とても正確に書かれている。まるで、彼がカメラを通して見ているかのようにシーンが展開するんだ!ボードを見ただけで、照明の感じまで伝わってくる」と、スコット監督の仕事ぶりを絶賛する。
『グラディエーター』で念願のアカデミー賞作品賞を受賞した後、今世紀に入ってからの17年で、実に13本の監督作を発表したスコット監督。興収面でも、2015年に公開された『オデッセイ』は自身最高となる全米興行収入を記録した。監督作としては、マーク・ウォールバーグを主演に迎えたクライム・スリラー『All the Money in the World(原題)』が仕上げ作業に入っており、プロデューサーとしても『ブレードランナー2049』『オリエント急行殺人事件』、トム・ハーディを主演に迎えたTVシリーズ「Taboo(原題)」などを、並行して手掛けている。
そんなスコット監督が38年ぶりにシリーズに復帰を果たした『エイリアン:コヴェナント』は、これまで謎のベールに覆われてきた、エイリアン誕生の秘密を解き明かす物語。人類の希望を背負って航海に出たコヴェナント号の乗組員たちが、ミステリアスな惑星の調査中に遭遇するのは、クルーの身体に寄生して生み出されるエイリアンの想像を絶する悪夢。シリーズの原点に回帰し、極限の緊張感とショック描写が続く中「誰がエイリアンを創造したのか?」という疑問の答えが明らかになってゆく。
80歳を目前に、ますます勢いの止まらないスコット監督が、自信作と胸を張るシリーズ最新作『エイリアン:コヴェナント』は、ファンならずとも必見と言えるだろう。【Movie Walker】