清原果耶、ロングラン御礼舞台挨拶に「皆さんから愛をもらった」と感激!『青春18×2 君へと続く道』がくれたのは、“諦めずに生きる力”
日台合作映画『青春18×2 君へと続く道』(公開中)のロングラン御礼舞台挨拶が7月5日にTOHOシネマズ日比谷で開催され、清原果耶と藤井道人監督が登壇。5月3日の公開初日から2か月が経ってもなお、上映後の熱い反応と共に迎えられた2人。清原は「公開から2か月が経って、舞台挨拶をさせていただくことはない。すごくドキドキしています」と笑顔。本作に愛情を傾ける観客からの質問にも答え、温かなひと時を過ごした。
『余命10年』(22)の藤井監督による、初の国際プロジェクトとなる本作。台湾で暮らすジミー(シュー・グァンハン)が高校生のころに想いを寄せた日本女性アミ(清原)と交わした約束を果たすため、彼女の故郷へと向かう青春ロードムービーだ。リピーターも多く駆けつけている本作だが、この日の会場には「18回観た」という観客もいた。
ロングランヒットを果たし「9週目で舞台挨拶をするのは初めて」だという藤井監督は、「次も頑張ろうと思って、監督をやってきた。今回は僕にとって第2章だと思って、国を越えて映画を撮って。それがこれだけの人に愛されるというのは、論理的に分析してもそんなものじゃない気がする。皆さんの人生と、この映画の出会い。すごくうれしい」としみじみ。清原は「こんなにも長く愛されている映画に出演させていただいた。幸せだし、光栄。役者にとっての励みになる」と感無量の面持ち。「女優という仕事をいままでやってきてよかったなと、皆さんから愛をもらったような気がします」と感謝を述べた。
この日は、観客からの質問にも回答。会場からはたくさんの手があがった。まず「この作品が大好きで、衣装も大好き。果耶ちゃんはどんな衣装が好きですか?」と聞かれた清原は、「アミちゃんの衣装でお気に入りだったのは、ずるっずるのデニム。ワイドパンツに、お花のTシャツのスタイルがすごく好き。ランタンの時のものです」とにっこり。「アミはバックパッカーなので、衣装の数もそんなに多くはなかったんですが、そのなかのひとつのコーデとしてはすごく好きでした」と目尻を下げた。
さらに「思い出に残っている景色は?」との質問には、「ジミーとアミが、展望台に行くところからの景色」と清原。「あの場所に、ジミー&アミの展望台という名前がついたんです。その出来事も含め、印象に残っています」と聖地となった場所について、うれしそうに語った。
また「電車のなかでジミーとアミがミスチル(Mr.Children)の曲を聴く。2人がイメージしている曲はなんですか?」という問いかけには、清原が「主題歌の気持ちでした」と答え、藤井監督は「僕のなかでは『くるみ』が鳴っていた」という。「あそこは音楽を入れたくないと思っていた。みんなそれぞれ(イメージするものが)違うんです。『HERO』じゃない?という人もいて、『HERO』か、いいね!と言ったりして。みんなにそれがあっていいなと思う」と続けつつ、「お兄さんはなんですか?」と逆質問。男性は「『抱きしめたい』でした」とやはりそれぞれの曲が頭のなかで流れている様子。
「台湾から、今日のために来ました。久しぶりにこんなに温かい映画を観られてとても幸せです」と台湾からのファンが、日本語で映画への熱い想いを吐露する場面もあった。「ええ!ありがとうございます!」と笑顔を弾けさせた清原は、「台湾で撮影をしておもしろかったこと」と尋ねられ、「藤井監督抜きで、現場のスタッフの皆さんと夜市に遊びに行きました」と茶目っけたっぷりに回想していた。
「この物語と出会ってから、価値観が変わったこと」というお題には、それぞれが晴れやかな表情で胸の内を明かした。「自分がつくった映画が教えてくれることは、すごく多い」と切りだした藤井監督は、「この映画をつくってから、たくさんの出会ってきた人、別れてきた人が教えてくれたものを大事にしようと思いました。どうしても忙しいと忘れてしまうし、必要か、不必要かで生活を選んでしまう瞬間がある。不必要なものはないんだなと、自分の映画を通して学んだ」と熱を込めた。清原は「生きていたら楽しいこと、幸せなことばかりではない。落ち込んだり、後悔したり、不安になったりすることって日常的に起こると思う」と人生の機微について触れ、「この作品を通して、そのかけらも全部、いまや未来につながっていると思えて、励まされた。全部に意味はあるし、諦めないでこれからも生きていこうと思いました」とまっすぐに前を見つめていた。
劇中の衣装や音楽、撮影の思い出や心境の変化などあらゆる質問に返答しつつ、観客から映画への愛情をたくさん伝えられた2人。最後に清原は「俳優をやっていて、こんなにうれしい瞬間の数々に出会わせてもらって、私は幸せ。こうして(公開から)2か月経ったいま、藤井さんと舞台挨拶をして皆さんと出会えたことをすごくうれしく思いますし、これからも藤井監督とご一緒させていただけるように日々努力します。皆さんにまたステキな作品をお届けできるように、役者としても頑張りたいと思います」と宣言。「映画が旅を始めて、旅が終わりに近づいているところにまたご挨拶できた」と喜びをかみ締めた藤井監督は、「ちゃんとお客様に届いて、皆様の生活の一部になてくれることを目標に日々映画をつくっています。自分にとっての第2章のつもりで、『青春18×2 君へと続く道』を撮った。これからも頑張っていきます」と誓い、大きな拍手を浴びていた。
取材・文/成田おり枝