眞栄田郷敦ら『ブルーピリオド』チームが渋谷に降臨!「熱く、泣ける撮影だった」と充実感たっぷり
累計発行部数700万部を超える人気漫画を実写映画化した『ブルーピリオド』(8月9日公開)の渋谷プレミアイベントが7月10日に東京・渋谷の稲荷橋広場で開催され、眞栄田郷敦、高橋文哉、板垣李光人、桜田ひより、萩原健太郎監督が登壇した。劇中で主人公が美術の世界に飛び込むきっかけとなる重要な場所である渋谷の街に降り立った登壇者陣は、ブルーカーペットを晴れやかな笑顔で闊歩。ファンから大きな声援を浴びた。
2017年に「月刊アフタヌーン」で連載が開始され、「マンガ大賞2020」を受賞するなど国内外で絶賛された山口つばさの人気コミックを実写映画化する本作。そつなく器用に生きてきた高校生の八虎が1枚の絵をきっかけに美術の世界に本気で挑み、国内最難関の美術大学を目指して奮闘していく姿を描く。
メンバーが渋谷ストリームの大階段を降りながら登場すると、会場からは大歓声が沸き起こった。ロケも行われた渋谷に“凱旋”した形となったキャストと監督だが、主人公の八虎役を演じた眞栄田は「映画のなかでも大事なロケ地となる渋谷でこういうイベントができて、皆さんに少しでも映画の魅力を伝える機会をいただけて、本当にうれしく思います」と感無量の面持ち。自分の“好き”について葛藤する八虎の同級生、ユカちゃんこと鮎川龍二役の高橋は「渋谷にお集まりいただいてありがとうございます」、驚異的な画力を持つ高橋世田介役の板垣は「この暑さに負けないくらい、熱い映画」と挨拶し、会場の熱気をさらに高めた。
切磋琢磨していく関係性を演じた面々と並び、眞栄田は「パワーをもらえる作品。それぞれの登場人物が自分の好きなことに向き合って、いろいろな感情になる。その美しさを描いているので、観終わった後に頑張ろうと思える作品になった」と完成作に胸を張っていた。
クランクイン前からそれぞれが絵画の練習をして、撮影に臨んだ。萩原監督は「絵は描くだけではなく、見るということも大事。実際に絵の練習をしてもらうことで、そういった視点や、目の芝居も変わってくる。皆さんにお願いして、吹替えなしでやってもらいました」と意図を解説。「郷敦は集中力がある。ずっと絵に向かっていた」と続けるなど、絵を描いてもらうことでそれぞれの個性が見えてくるという発見もあったという。眞栄田が描いた絵は劇中にも登場しているそうで、眞栄田は「八虎自身も絵を始めたばかりのところから、受験まで成長していく。僕自身もそれと照らし合わせながら、初めて画材を触った時の感覚なども大事にできた。(練習を)やってきてよかったなと思います。表現の幅も広がった」と充実感をにじませた。
さらに八虎を演じるうえでは、「すごく苦しんだ」と明かした眞栄田。「八虎は高校2年生から藝大受験をすると決める。僕自身も受験が苦しかったですし、そういった苦しみ、葛藤は強く表現したいなと思っていました。その対比として、認められたり、結果が出た時に、やりがいや喜びに変わるというのを大事にしたいなと思っていました」と話す。女性的なファッショに身を包んでいるユカちゃんを演じた高橋は、「自分と役を分けないことを意識していた」と役作りを回想。「『高橋文哉自身がかわいくなるためには、なにをしたいか』と思うように、ユカちゃんの気持ちを理解して。エステに行ってみたり、かわいくなる努力をしたり、歩き方や姿勢、つま先から手の指先まで、お芝居をしている時に一瞬も気を抜くことがなかったくらい、全身に神経を渡らせてユカちゃんとしての美学を詰め込みました」と力強く語る。眞栄田は「かわいかった!」と高橋がこだわりを込めて演じたユカちゃんを絶賛していた。
板垣は「原作を読んだ時から、世田介というキャラクターが一番好きだったし、愛していた」ともともとファンだったことを明かし、「愛されるキャラクターになったらいいなと思っていました。原作でも世田介の絵の描き方は特徴的に描かれている。絵画練習のたびに、世田介の姿をスクリーンに落とし込むためにはどのようにしたらいいのかを、美術を指導してくださった先生と相談していました」と原作愛も注いだ様子。
八虎が苦難にぶち当たるたびに乗り越えるきっかけをくれる美術部の先輩、森まる役の桜田は「オファーをいただいた時は、萩原監督とまたご一緒できる喜びを感じた。ヘアや衣装も森まるちゃんに寄せていただいて、私はそこを信じて飛び込むのみでした。言葉のひとつひとつが、八虎の心にきちんと届くことを意識して演じていました」とスタッフへの感謝を口にしていた。
イベントの途中から雨が降り出し、登壇者陣がファンを気遣う場面もあった。眞栄田は「雨男なので…」と申し訳なさそうに語り、会場も大笑い。「熱く、泣ける」という感想もあがっている本作だが、「本作の熱く、泣けるポイントは?」と聞かれると、板垣は「現場の熱気がオーバーヒートしていた。いままでどの現場でも経験したことのないくらいの熱さで。プロフェッショナルである皆さんが、この作品に命を燃やしている姿を現場で味わった」と証言。眞栄田も「僕も八虎と一緒に絵を始めて、そこから八虎と一緒に苦しんで。撮影自体が、熱く、泣ける撮影だった」と演じた役柄同様に、熱く駆け抜けたと話していた。トーク後にはブルーカーペットに集まった観客にサインをしつつファンサービスに専念するなど、渋谷の街を大いに盛りあげていた。
取材・文/成田おり枝